「23歳で大学進学。遅すぎるのでしょうか?」の回答

「質問箱」にこんな質問が来ていました。

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質問者さんは私のフォロワーの中におり、かつTwitterで返信が来るという想定でこの質問を寄せてくれたのだと思います。今回は、とても140字で考えが収まる内容ではなかったので、Twitterよりアーカイブ性が高く、見やすいnoteにて私なりの考えを書いていきます。

■23歳で大学入学は遅いのか?

遅いという定義から必要かもしれません。私の周りには25歳で私大文系の大学に入学した友人もいますし、社会人になってから再入学する人もいるので「遅くない」と思います。

OECDの「図表でみる教育」では、日本の大学教育の課題が指摘されています。

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上の図を見ると、学士課程プログラム(大学教育)の入学者は日本が20歳以下の18〜19歳あたりにポイントが打たれており、OECD加盟国の中で最年少です。

OECD加盟国の平均は20歳以上ですし、日本が教育面で模倣すべきと言われることの多い北欧・スウェーデンでは25歳が平均値です。

この図から、日本では生涯学習が他国に比べて普及していないこと、そして学生の年齢が均一的なことなどが指摘できます。

確かに目に見える世間では、23歳での大学進学は遅く感じるかもしれません。でも、世界的に見ると「そんなに遅くない」ことがわかります。

■大学に行くコストと得られるもの

私は私大文系なので、質問者さんが目指す場所と環境が全く違いますが、個人的には大学に行けてよかったと思います。

メリットは、その分野で一流の先生たちの授業が受けられたこと。戦後の文化史の嗜み方や、音楽の聴き方、現代社会の読み解き方、インタビューの問の立て方、文献の探し方などを知りましたし、先生たちの繋がりから編集者の方を紹介してもらうなど、今の職業に結びつく出会いに恵まれました。

あとは、新卒カードを得られるぐらいでしょうか…。でも、結局、就活を経て得られた「内定先」も2年ほどで辞めてしまい、アルバイトから叩き上げで今に至るので、それが有効だったのか微妙です。新卒カードの有効性は、志望する職種と進路によって強度が違ってくると思います。

一方、大学は非常にコストがかかる場所です。パッと検索すると、4年制の大学は、平均して国立では242万円ほど、私立では396万円ほどが卒業までに必要だそうです。加えて一人暮らしをするとなると、ここに生活費などがプラスされます。ちなみに、平成29年度の平均世帯年収(厚労省)は560万円。大学進学はかなり高額な投資です。

私の周りには大学を出ていなくとも各業界で活躍している知り合いが何人かいます。すごく昔に出会った、某社のエンジニア(21歳でマネージャー職だったかな…)の最終学歴は中卒でした。会話の詳細は忘れてしまったのですが、「大卒でもヌルい人はいる」と言っていたのが印象に残っています。彼はとても頭の回転が早く、博識で発言に説得力とキレがあり、かなり衝撃を受けました。彼については「本当に仕事ができる人」と、いろんな人が語っているのを聞くので、私が思う以上に優秀な方なのだと思います。

そういえば、note株式会社にエンジニアの友人がいるのですが、彼は社会人になってからプログラミングを学び、ジョブチェンジしていました。

私自身、学生の時は「大学行かないと…」と強迫観念に駆られていたので、無駄な不安に苛まれていました。でも社会に出てからは、学歴に関係なく活躍している人を目の当たりにすることがあるので、考えも変わっていきました。もっと多くの選択肢があったのだと、ちょっぴり後悔することもあります。

現在では大学でなくとも勉強できる場所はいくつかあります。例えば、N高42 Tokyoなどです。

■親の言葉はどう受け止める?

きっと、お父様の「今更大学行ってどうする」という発言は、質問者さんのことを心配しての発言だと思います。学校という組織で再び傷付いたり悲しんだりしてしまうのではないか。だったら心安らかに暮らしてほしい、というような。

愛ゆえの発言であろうとも、受け手を萎縮させてしまうこともあります。私は口が悪いので、そのようなことが多く、よく反省してます。多分、話し方とか言葉のチョイスが悪いのかと…。

また、親世代と私たちの世代では、社会のしくみが大きく異なり、親世代で「正解」とされていたことが、現代では「不正解」になってしまうこともあります。終身雇用が前提の時代と現在では「幸せ」の定義も大きく変わってきていると思うのです。

私は親戚から、「一般職で働くべき」と言われたり、インターネット業界で働くといったときは「怪しい」「危ない」と言われました。でも、無視しちゃいました。生意気ですね。

親戚から懸念されていたキャリアですが、今では「リモートワークができるのかっこいい」と言われたり、「電子マネーの使い方を教えて」と言われるようになっています。時代の変化だなと。新しい職業や概念に不安定はつきものですが、続けていれば定着していくなぁと最近になって実感しました。

親は世代の違う人。血がつながっていようとも、そもそも他人だし、間違うこともある。厚意だけはありがたく受け取って、適当に受け流すと肩の力が抜けると思います。

ただ、学費を支払って貰う場合、お父様には「卒業するから」という旨を話す責任があるかなと思います。

■不登校と自己肯定感について

質問者さんは、いじめによる不登校という過去にトラウマがあるように見えます。お父様の言葉を悲観的に捉えてしまうのも、「不登校だったご自身」について、劣等感のようなものを抱いているからかもしれません。

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上の図(警視庁 少年のいじめの検挙・補導状況)によると、いじめの動機は力が弱いだとか、転校生だとか、本人がどうしようもない原因が多いです。たしかに、私が覚えている学生時代の自分に対する悪口は「調子にのってる」だったので、大人になってみると、しょうもない理由だな…と思ったりします。

また、私自身は不登校にはならずとも、社会人になってから会社の先輩とそりが合わず、精神疲労と過労が重なって休職(今思えばパワハラだったかも)しました。その時は、罪悪感でいっぱいになったり、社会復帰できるのかと憂いたりしました。

家に引きこもっていると、「みんなはちゃんとできているのに、自分はできない」と考えてしまって、自己肯定感が無限に下がっていくのです。もしかすると、質問者さんも、過度に自分を下げていってしまっているのかもしれません。

大丈夫です。案外、異なる環境に身をおいたらスッと馴染めることもあります。不登校の過去を持ちながら一線で活躍する人もたくさんいますし、悲しい経験を持ったことがある人にしか出来ないこと、生み出せないものはあります。

■予想されるメンタリティ問題

コスト面で問題がなければ、大学は行った方が良いと思います。私にとって、大学での経験が少なからず今の仕事に結びついているうえ、大学で出会った書籍や人が人生にとって大きな支えになっているからです(友だちはほとんどできませんでしたが)。勉強は「しない」より、「する」方がいいですし。

ただ、コスト以外にも懸念される点があります。それは他人の目を気にして過度にストレスを感じることです。

すでにお気づきだと思いますが、大学入学した時にご自身が「23歳」である事実は、劣等感を生みやすそうです。周りが10代で自分は20代。意思の強い人でしたら、年齢なんて関係ないと割り切れると思いますが、居心地が悪くなりそうです。年上だとわかった瞬間に目の色が変わることが容易に想像できるからです。

私は新卒の会社をやめて、Webメディアの編集部にアルバイトとして潜り込んだときに、大学の同期たちにはその旨を話せませんでした。一緒にアルバイト入社したのは、女子大生。周りが会社員でボーナスをもらう中、「このまま一生バイトなのかな」と壮大過ぎる不安を抱えたこともあります。

周りの目を気にして、劣等感で頭をいっぱいにしていたのだと思います。幸いにして、仕事に熱中できたので、そのような考えは消えていきましたし、「正社員でなくてもめちゃくちゃ活躍できる」と考えも変わりました。今振り返ると、視野が狭かったなぁと微笑ましくなります。

■まとめ

つらつらと書いてきましたが、「23歳での大学進学」は、世界的に見ても遅くないし、冒頭で書いたように、私の感覚でも遅くないです。質問者さんのようなチャレンジしようとする方は、ご自身の周りにあまりいないかもしれませんが、社会には本当にいろんな経歴を持った魅力的な人が大勢いるので、大丈夫です。

他人の目を気にしてしまうのはある程度仕方がないことだと思いますが、結局「自分の人生に満足する」ことが何よりも大事。何をもって人生に満足するかは個々人で異なりますから、誰も批判できないはずです。もし、余計な不安に苛まれたら「でもこれが私の一回きりの人生だし」と言い聞かせてみてください。

質問者さんのような方が一歩踏み出すことが、これから誰かの背中を押すかもしれません。それってとても素敵なことだと思います。

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