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死ぬほど悩んでいたら、明晰夢を見るようになった

消えたい気持ちを麻痺させるために酒を飲む。

マズイ。胃腸がキリキリ痛む。
それでも飲まないと正気を保てない。


食事も水分も下痢嘔吐ですぐに排出されるため、常に脱水状態。

ひどい頭痛と筋肉痛。
めまいであちこちにぶつかって痣だらけ。

歯磨きもできない。
歯ブラシを口に入れるだけで吐いてしまう。

口腔摂取できない。

ブドウ糖を点滴して欲しい。


寝ついてから一ヶ月経過した。
筋肉も皮下脂肪もげっそり落ちて、真夏日和と言われても寒い。


どんなに努力して行動してても、次から次へと裏切り、見下されて暴言、嫌がらせ、嘲笑、無視に遭う。

仕事で契約しているのにも関わらずだ。

同時多発で起こるので、もう何から手をつけていいのか分からない。

生きていたって何も良いことないな。


ひどい悪夢にうなされる。
殺されてもすぐに蘇り、また殺される永遠のループ。

目覚めて「良かった。夢だった」と安堵するが、現実の悩みは何も解決していない。

布団をかぶって身悶える。



ある日、一番信頼しているヘルパーさんに愚痴った。

「とりあえずテーブルの書類を片付けましょう。まず要る物と要らない物の仕分けから」

「これは要りますか?」と一つ一つ確認してくる。

「あ、これ忘れてた。こっちは分からないな。どっちが良いと思う?」

「では後で確認するのboxに入れておきます」


書類が整理されてくると、自分の頭もスッキリしてきた。

早急に解決しなければいけない事と、後回しにしてもいい事が明確化された。

それに沿って行動する。


数日後、子どものダンスレッスンに付き添った。

ずっと寝込んでいたため身体の動かし方も振り付けも忘れていた。

背筋伸ばすのってどうしてたっけ?
お尻振るのってどうするんだっけ?

見よう見まねでゆっくり思い出していった。
途中スムーズに回転できなくて、膝を痛めてしまう。

終了後、先生が声をかけに来てくれた。

「お母さん、日に日にダンスが上手になってますね!すごい!」

そんな訳はない。
私の運動神経の悪さには定評がある。自覚している。
ちなみに音痴でもある。

この先生は私を評価してくれる数少ない人の一人だ。

嫉妬され嫌がらせされ足を引っ張られ、それでも自分のやりたいことを実現してきた人にしか見えない。

誠実さ、他人を明るい気分にさせる雰囲気、小さく弱いものを尊重する心。
言いたいことをはっきりと、でもさらっと伝えるアサーティブさ。

表では評価されないが、私たちはそんな人に励まされて生きている。




主治医との毎月の面談。

私「もう嫌です。全てが嫌。どんなに頑張っても報われない」

医師「それでも花さんは頑張ってお子さんをグループホームに入居させられたじゃないですか。
それだけでも凄いことですよ」

私「あー。それは確かにそうですね。……少しは前進してるんだ…」

医師「うん。そう」

私「どうしていつもいつもモラハラ人間を引き寄せちゃうんですかね。
私から弱者の臭いが出てるとしか思えないんです」

医師「それは考える余地はあるかもしれない」

私「自分ではいい人だと思ってるんですけどね!(笑)」

医師、一緒になって大笑いする。


正直びっくりした。

医師、美容師、整体師等は転移性恋愛を恐れて親しくしない。

初めてタメ語と笑い声が聞けて、私を信頼してくれたんだと思い嬉しかった。



この頃から明晰夢を頻繁に見るようになった。
一大スペクタクル映画のようだ。

私が演者だったり、客席から観ていたり、随所で入れ替わったりする。
ロールエンドも流れる。

その中で
「あの人は最初から裏切ろうと思ったんじゃなくて、知識が浅かっただけ。本当に戦うべき人は他にいるでしょ」

「思い通りにいかなかった事を今の人にぶつけてはいけない」

「悪い人ばかり気にしてるけど本当にそう?いい人はいないの?」

等、諭される場面があった。

目覚めてもはっきり記憶があり、現実に向き合い一歩ずつ行動しようと思った。


具体的には、医療費申告すること(何年も溜めっぱなし)。
今もできていない。
私の生活費を圧迫している。

zoomが突然使えなくなり、会議に参加できなくなったこと。
(自分で調べても、誰かに聞いても分からなかった)
「使った事ない」と言っていたヘルパーが解決してくれた。


穴が開いて毎日羽毛が吹き出してくる布団の補修。

裁縫箱と穴の正確な位置探索を経て、やっとできた。
これで丸洗いしても大丈夫だろう。


非常識なヘルパーを本社に相談して、良い人に担当が変わった事。

何を言っても聞いていない。ずっと携帯をいじっている。
お願いしたことの半分もしない。

注意するとムスッと押し黙って、ありえない言い訳を返してくる。
おまけに30分も上乗せして記録をつけている。

今の担当者は同じ時間で倍以上の働きをしてくれる。
人間が信用できる。

小さな事でも着々と達成していくと自己肯定感が上がる。



週三回受けている整体師が
「また腰のくびれが深くなっています(悪い意味で)。
太もものつけ根の張りがなくなっているので脱水ですね。
食事摂れていないですね?」

私「二日に一回は食べるようにしてるけど、すぐ出ちゃうから苦しい。
甘いジュースとチョコとバナナで、糖分は摂ってる」

整体師「それは栄養摂取とは言えませんね」と足ツボを押す。

「痛い!!」思わず素の声で叫んでしまった。

私は普段「ぎええええ!いででで!ロープロープ!」等、男言葉で乱暴に話すようにしている。
「女」と思われたくないからだ。


整体師「初めて花さんの素の声聞きました!かわいい!」

私「………かわいいと思われたくないんだよ……。
……女っぽくも見られたくない。
お世辞で言ってくれたんだと分かっているけど、
地味で小柄な女というだけで、どれだけ大変な目に遭ってきたか…」

整体師「今、全女性を敵に回しましたね(笑)。
自分が花さんをかわいいと言う時は、話し方や満面の笑みとか…
辛いことをさらっと言ってのけることとか、リスペクト…です」

そうだったんだ!

私「そう言ってくれると嬉しい。ごめん、変なトラウマがあって(笑)」

整体師「(笑)花さんは好きな人と話す時もそんな口調なんですか?」

私「それは女っぽくなったりするよ(笑)。声のトーンもちょっと上がったりしてる!(笑)」



今日はいつもの美容院で前髪カットしてきた。

美容師「さっき有線でスタレビ流れてたよ。花さん早く来ないかなと思った」

私「どんな曲?」

美容師、サビを歌う。

私「あ、あの曲だ!私が好きなの覚えていてくれたんだ。ありがとう」

この美容師は徹底して女言葉だ。いつもお友達と言ってくれる。
見た目も中性的だし、ずっとおねえだと思っていた。

それが最近、普通の男言葉になった。

予約もいつも営業時間間際で、他の客も従業員もいない時間帯。

妻子の話もしてくれる。

施術してもらった後、頭を撫でてくれたり、頭に軽く頬を寄せてくれることもある。

全く嫌らしくない。
優しさを感じる。

美容師も転移恋愛されやすいので、トラブルにならないようおねえを演じていたのだろう。

私を信頼して素を見せてくれたことが嬉しい。

ちゃんと見ている人は見てくれている。

私は無駄な人間ではない。


本当に苦しい時は文章も書けない。

こうしてやっと文章が書けるようになったことは快復への兆しだ。

信頼してくれる人もいることは忘れないでいたい。

それが私を生きさせてくれている。

ありがとう。

私も誰かを生きさせる人間でいたい。




 


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