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最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展(前期)

2019年1月13日 成人の日
春日大社 国宝殿で開催中の安綱・古伯耆展に行きました。

JR奈良駅からバスで20分ほど。
春日大社前で降りて国宝殿まで少し歩きます。
到着したのは15時ごろ。スムーズに入場できました。

まず迎えてくれたのは、石切丸、髭切、膝丸のパネル。春日大社国宝殿のシンボル「鼉太鼓(だだいこ)」と一緒に展示されています。かっこいい。

第一展示室は行列が出来ていたので、第二展示室から見ることにしました。

国宝 太刀 童子切安綱

第二展示室の入り口に、予習した童子切安綱が展示されていました。

腰反り高く、小峰のスラッとした姿に大板目肌が肌立つ鍛え、足や金筋がよくついた小乱れの刃文。
ワイルドなのに全体から漂う雰囲気は優雅でギャップがやばい!

地鉄と刃文を見過ぎて、他部分はあんまり覚えてない…。それぐらい夢中になる地鉄と刃文でした。何時間でも見ていられる…。

江戸時代前期に描かれた酒呑童子絵巻も展示されており、童子切の名前の由来となった場面が鮮やかに描かれています。

童子切の名前の由来について→

箱根神社 太刀 薄緑丸

細身で腰反りが高い平安らしい姿。のたれが混じる直刃調の刃文をよく見ると金筋が見られます。上品な雰囲気ですが、鍛えは板目で肌立ち、重ねも厚いらしく武士の刀らしい風情があります。

無銘ですが、箱根神社の社伝では三条宗近作とされているそうです。

義経特に悦びて「薄緑」と改名す。その故は、熊野より春の山を分けて出でたり。夏山は緑も深く、春は薄かるらん。されば春の山を分け出でたれば、薄緑と名付けたり。
(平家物語 剣巻)

薄緑丸は義経との逸話どおり春の山を思わせるような美しい太刀でした。

薄緑の逸話はこちら→

北野天満宮 鬼切丸と壺井八幡宮 天光丸

この2振りが並んで展示してある所を見れるなんて!

鬼切丸と天光丸はどちらも安綱銘で、同じ鉄から作られた雄雌の太刀と言われています。

でも全然似ていないのです。

鬼切丸の鍛えは地沸がついてよく詰んでいるのに対し天光丸は野趣味があるかなり肌立つ鍛え。
同じ鉄で作ったとは思えない。でも刃文は少し似ているかも…?
見比べて鑑賞するのが楽しかったです。

天光丸の名前の由来が図録に書いてありました。

土中から発見されたが錆びることもなく凛々と霜を凌ぐ様子であったことから天光丸と名付けられた。
(安綱・古伯耆展図録)

天光丸は安綱の刀でもかなりワイルドな雰囲気があると思います。

天光丸 詳しくはこちら→

一方で鬼切丸は美しく神々しい雰囲気です。逸話は怖いけど。

鬼切丸の逸話はこちら→

安綱ファミリーは個性豊かです。

鬼切丸は前期のみの展示なので、この2振りが揃っているところを見たい方は1月26日まで。

国宝 沃懸地酢漿兵庫鎖太刀

こちらは私が美しさに感動した刀です。
読み方は「いかけじかたばみもんひょうごぐさりたち」・・・読めない!
平安時代後期から鎌倉時代前期に打たれた春日大社蔵の太刀です。

よく詰んだ明るい地鉄に丁子の刃文。
図録によると鑑賞用としての役割が強く、ほぼ制作当時の姿を留めているそうです。
綺麗すぎて、思わず「めっちゃきれい・・・」と声に出してしまいました。

どうやら私は鍛えが詰んだ明るい地鉄が好きみたいです。

ふりかえり

午後からだったので前情報ほど混んでませんでした。(午前中の方が混むらしい)
展示室は少し並びましたがストレス無く見ることが出来ました。

展示はライティングが素晴らしかったです。
刃文も鍛えもとても見やすかった。
図録も情報量が多くておすすめです。
後期も楽しみです!


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