Hana

「刀剣乱舞」から日本刀が好きになりました。刀剣鑑賞をもっと楽しむために、出会った刀や調…

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「刀剣乱舞」から日本刀が好きになりました。刀剣鑑賞をもっと楽しむために、出会った刀や調べたことの備忘録です。鑑賞レポは亀の歩み。気が向いたら更新してます。

最近の記事

稲荷明神が相槌を打った? 伝説の刀「小狐丸」

毎年7月土用入後初の日曜又は祝日に京都の伏見稲荷大社で「本宮祭(もとみやさい)」が行われます。 稲荷山をはじめ境内の全域がライトアップされ、赤い社殿が闇夜に浮かび上がり幽玄な雰囲気が漂います。 そんな伏見稲荷のある稲荷山には三条宗近が太刀を打った時に使った井戸が残る、御劔社(みつるぎしゃ)【別名:長者社】と呼ばれる神社があります。 御劔社に伝わる伝説は能の謡曲『小鍛冶』となっています。 謡曲『小鍛冶』のあらすじ 「小狐丸」という名前の刀は複数存在していますが、謡曲『

    • 浜松城の刀剣

      2020年の6月、静岡へ旅行に行きました。 今回は偶然立ち寄った浜松城で出会えた刀について書きたいと思います。 浜松城といえば徳川家康ゆかりのお城。家康が武田信玄との戦(三方ヶ原の戦い)に敗れて逃げ帰ったお城です。 三方ヶ原の戦いは敗戦時の家康の姿として『徳川家康三方ヶ原戦役画像【別名:顰像(しかみぞう)】』が描かれたことでも有名です。 この絵、なぜか愛嬌があって好きなんですよね。 そんな浜松城の中には徳川家ゆかりの刀が展示されていました。 情報量の多い写真ですが、私

      • 鶴丸国永について

        墨染駅から徒歩5分ほど、京都の観光地からは少し離れた場所にある藤森神社。 宝物庫には「太刀 鶴丸国永の写し」が奉納されています。ほぼ常設で展示されており、神社の雰囲気も好きなので、年に何度かお参りしています。 鶴丸国永の逸話といえば「霜月騒動で安達一族が滅ぼされた際に北条貞時が墓を暴いて手に入れた」という説があるのですが、この話のソースが気になったので、調べてみることにしました。 鶴丸の来歴ネットで調べたところ、大まかな来歴は以下のような流れでした。 「鎌倉時代に北条貞

        • 熱田神宮 宝物館 大太刀 末乃青江

          2020年 小暑の時期に熱田神宮へ参拝しました。 熱田神宮は三種の神器の一つ草薙剣をご祭神としており、多くの刀剣が奉納されています。 2mを超える大太刀宝物館の入り口には2mを超える大太刀 「末乃青江(すえのあおえ)」が展示されています。 話には聞いていたけど、本当に大きい。 全長303cm、刃長 221.5㎝。刀身だけの重さで訳4.5Kgあります。刀装具を付けたら何Kgになるんでしょう。 刃長に対して茎は短めでわずかながら朱銘の跡が残り、記録では「末乃青江」である

        稲荷明神が相槌を打った? 伝説の刀「小狐丸」

          盆梅と刀剣展 天光丸

          2020年3月7日 大阪天満宮の「盆梅と刀剣展」で展示されている「重要美術品 太刀 銘安綱 号天光丸」を見に行きました。 天光丸は壺井八幡宮所蔵の太刀ですが、この時期だけ大阪天満宮に貸し出されます。 天光丸は平安時代の刀工 大原安綱 の作です。 平安太刀らしく腰反り高く小峰が優美な太刀姿。 (写真は2019年に撮影) 茎は生ぶ、目釘穴の上に安綱の銘が切られます。 (写真だと見えない…) 鍛は板目に杢目交じり。 そして、分かりますか?この肌立つ鍛え! (肌立つとは鍛え

          盆梅と刀剣展 天光丸

          刀剣博物館で見る明石国行

          2019年6月1日 東京都墨田区の刀剣博物館で「国宝 太刀 銘国行 号明石国行」が展示されていました。 明石国行を打った刀工 来国行(らいくにゆき)は山城国の鍛冶集団 来派(らいは)の実質的な祖とされています。 鎌倉時代中期、モンゴル帝国によって行われた日本侵略(蒙古襲来)をきっかけに今まで以上に戦場で使いやすい刀の需要が高まります。 来派はより実戦向きの刀を作るため、鎬地(しのぎじ)に樋(ひ)を入れて刀の軽量化を図り、質の違う鉄を場所によって使い分けることで切れ味が鋭

          刀剣博物館で見る明石国行

          天下五剣で最も美しい 三日月宗近

          2019年9月 東京国立博物館で「国宝 太刀 銘三条 名物三日月宗近」が展示されていました。 三日月を初めて見たのは2018年に開催された京の刀展でした。刀なんてどれも同じだろうと思っていた私が衝撃を受けるほど美しく、日本刀を好きになるきっかけになった刀です。 三日月宗近(みかづき むねちか)は平安時代後期の山城国(京都)の刀鍛冶 三条宗近によって打たれました。 刀の鑑賞は姿から。 手元に近いところから茎にかけて強く反る腰反りで、逆に鋒近くは反りがほとんどない平安太刀ら

          天下五剣で最も美しい 三日月宗近

          江戸時代の名工 長曽祢虎徹と源清麿

          新選組局長 近藤勇の愛刀として知られている長曽祢虎徹(ながそねこてつ)は江戸前期の刀工 長曽祢興里(ながそねおきさと)によって打たれました。 「今宵の虎徹は血に飢えている」という有名な台詞があるように、江戸時代に刀工の切れ味を格付けした「懐宝剣尺(かいほうけんじゃく)」という本では最上大業物14工に数えられています。 虎徹の人気は当時から高く、新選組が活躍した江戸後期には大名道具とされ大変高価で「虎徹を見たら偽物と思え」と言われるほど贋作(偽物)が出回っていました。 実

          江戸時代の名工 長曽祢虎徹と源清麿

          燃えるような刃文 山鳥毛

          2020年1月に山鳥毛里帰りプロジェクトの目標金額が達成され、晴れて長船に里帰りが決まった山鳥毛(さんちょうもう / やまとりげ)。 私は山鳥毛里帰りプロジェクトの一環として、2019年10月8日〜14日備前長船刀剣博物館で山鳥毛が展示された時に見に行きました。 展示期間中は長船駅から無料の送迎バスが出ています。私はお昼過ぎ頃に到着して、少し並んでからの対面となりました。 福岡一文字派の傑作反りのある優美な姿。刃長が長い。 山鳥毛の刃文は鳥の羽毛が並んでいる様子や山が

          燃えるような刃文 山鳥毛

          最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展(前期)

          2019年1月13日 成人の日 春日大社 国宝殿で開催中の安綱・古伯耆展に行きました。 JR奈良駅からバスで20分ほど。 春日大社前で降りて国宝殿まで少し歩きます。 到着したのは15時ごろ。スムーズに入場できました。 まず迎えてくれたのは、石切丸、髭切、膝丸のパネル。春日大社国宝殿のシンボル「鼉太鼓(だだいこ)」と一緒に展示されています。かっこいい。 第一展示室は行列が出来ていたので、第二展示室から見ることにしました。 国宝 太刀 童子切安綱第二展示室の入り口に、予習

          最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展(前期)

          義経ゆかりの太刀 箱根神社所蔵 薄緑丸

          2019年12月28日〜2020年3月1日に春日大社 国宝殿で開催される安綱・古伯耆展の見どころ予習。 第三回は 箱根神社所蔵の「太刀 無銘 薄緑丸」です。 平家物語 剣巻によると「薄緑」は元々「膝丸」という名前の太刀でした。第二弾で紹介した「髭切」とつがいで打たれ、髭切と同じく何度も名前を変えています。 「膝丸」は「髭切」と一緒に源氏の宝刀として受け継がれてきましたが、源為義が所有した時に婿の引出物として贈られ、髭切と離れ離れになります。 源義経と「薄緑」「薄緑」とい

          義経ゆかりの太刀 箱根神社所蔵 薄緑丸

          源氏の宝刀 北野天満宮 所蔵 鬼切丸(別名 髭切)

          2019年12月28日〜2020年3月1日に春日大社 国宝殿で開催される安綱・古伯耆展の見どころ 予習。 第二回は 北野天満宮 所蔵の「太刀 銘安綱 鬼切丸(別名 髭切)」です。 源氏の宝刀「髭切」「髭切」という刀は源氏の宝刀として受け継がれる中で何度も名前を変えていきます。 「髭切」について書かれた物語は複数あるのですが、まずは『平家物語 剣巻』を簡単にまとめました。 平安時代中期、源満仲が「天下を守る者に相応しい刀」を作ろうと刀鍛冶を集め太刀を打たせたが、なかなか満

          源氏の宝刀 北野天満宮 所蔵 鬼切丸(別名 髭切)

          酒呑童子を切った 童子切安綱

          2019年12月28日〜2020年3月1日に奈良の春日大社 国宝殿で開催される安綱・古伯耆展が待ちきれないので、展示される刀の見どころを予習していこうと思います。 第一回は天下五剣「国宝 太刀 銘安綱 童子切安綱(どうじぎりやすつな)」です。古備前の名刀 「大包平(おおかねひら)」と並び日本刀の東西の横綱とも言われています。 名前の由来と逸話「童子切」の名前は平安時代に酒呑童子(しゅてんどうじ)という鬼を切った伝説から名付けられました。 (大江山酒呑童子 歌川国芳/怪異

          酒呑童子を切った 童子切安綱

          薬研藤四郎の再現刀に会いに行く

          2019年11月2日~10日 京都の船岡山にある建勲(けんくん)神社で「短刀 銘吉光 薬研(やげん)藤四郎」の再現刀が公開されました。 主人は傷つけない守り刀薬研藤四郎は京都 粟田口派の刀工 粟田口吉光(あわたぐちよしみつ)打ったの短刀です。吉光は短刀の名手で、彼の作った短刀は守り刀として武士たちの間で大変人気がありました。 「詳註刀剣名物帳」によると薬研藤四郎の名前の由来は『畠山政長がこの短刀で腹を切ろうと三度突き立てたが通らず、腹を立て投げ捨てたところ側にあった薬研に

          薬研藤四郎の再現刀に会いに行く

          数珠丸恒次に会える 本興寺さんの虫干会

          11月3日 文化の日 兵庫県尼崎市にある本興寺(ほんこうじ)の虫干会(むしぼしえ)で天下五剣の一振り「重要文化財 太刀 銘恒次(つねつぐ) 数珠丸」が一般公開されます。 数珠丸さんに会えるのは1年でこの日だけ。 本興寺と数珠丸恒次本興寺は法華宗本門流の大本山。法華宗の開祖は数珠丸の元主 日蓮上人です。 数珠丸は日蓮が祀られている身延山(みのぶさん)の久遠寺(くおんじ)で鎌倉時代から大切に保管されてきました。 しかし江戸時代に突然お寺から姿を消してしまいます。 そし

          数珠丸恒次に会える 本興寺さんの虫干会

          福岡市博物館 特別展「侍~もののふの美の系譜~」(後期)

          福岡藩主 黒田家ゆかりの名宝豊臣秀吉の参謀として活躍した黒田官兵衛(孝高/如水)と長政親子が築いた福岡の町。 福岡市博物館で開催されている特別展「侍~もののふの美の系譜~」では、黒田家のゆかりの宝はもちろん全国の武将たちの名品が展示されています。 今回はその中から特に印象に残った4振りについて書きたいと思います。 鋭い切れ味 国宝 へし切長谷部名前の由来は織田信長が棚の下に隠れた茶坊主を棚ごと圧切った逸話から。「圧切(へしきり)」とは押し当てただけで切れるという意味で

          福岡市博物館 特別展「侍~もののふの美の系譜~」(後期)