見出し画像

素材の美しさを活かした、もうひとつのリサイクルプラスチック「ParallelPlastics」とは?

スマートフォンアクセサリーと、ネットショップの運営支援システムを提供するHameeグループは、2023年5月にリサイクルプラスチックサービス「ParallelPlastics(パラレルプラスティックス)」をスタートしました。
多くの製品を流通させてきた企業が、なぜプラスチックをリサイクルするのでしょうか。


日本の廃プラ事情

国内の廃棄プラスチックの多くは燃やすための燃料として有効活用されていますが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が出ることが課題とされています。
これまで日本のプラゴミの大部分は中国に輸出してきましたが、2018年に中国がこれを禁止したため、日本の廃プラは行き場を失っています。

商売をしていると少なからず不良品や売れ残りが発生するのですが、残念ながらその多くは廃棄されています。
40,000店を超える店舗に受注・在庫の管理システムを提供しているHameeグループは、商品の大量廃棄を業界の課題と捉えており、特に二酸化炭素の排出が課題とされているプラスチックの有効活用に取り組んでいます。

廃棄プラスチックの多くは燃やすための燃料になる

リサイクルプラスチックの主流

プラスチックが燃やされる理由の一つに、リサイクルするよりも燃やした方が安いことがあります。

世の中の製品には、異なる種類のプラスチックを組み合わせて作られたものが多く、そのまま混ぜて再成形しても強度や色味が不安定で、使い道がありません。

一般的なリサイクルは、プラスチックの種類ごとに分別して、ペレットという粒状に加工し、更にバージンプラスチックを加えることで強度を高めて新品に近い品質を目指す方法が主流ですが、工程が多いためコストがかかってしまいます。
バージンプラスチックを使うということは、原料となる化石燃料を使い続けることにもなります。

そもそも捨てることを考慮せずにつくられた製品は分別が難しいため、処理コストが安い燃料にされます。

使い道がないプラスチック製品を粉砕したもの

もうひとつのリサイクルプラスチック

ですが、使い道のないプラスチックを溶かして混ぜると、天然石のような美しい模様が現れます。
プラスチックも石も、もとを辿れば地球の中から出てきたものなので、見た目が似ているのは自然なことなのかもしれません。

分別作業やペレットにする工程を省きコストを抑え、組成の異なるプラスチックを混ぜることで生まれる天然石のような美しさを活かしたリサイクル。
新品に近づけるリサイクルの主流ではなく、より簡単なプロセスでつくる、この新しいリサイクルの形を私たちは「ParallelPlastics(もうひとつのリサイクルプラスチック)」として、リサイクルプラスチックの使い道の多様性を提案するサービスを展開することにしました。

ちなみにHameeは26年前に天然石の販売からスタートした会社です。
時を経て、天然石のようなリサイクルプラスチックにたどり着いたことは、何かの縁なのかもしれません。

天然石のような美しい模様のリサイクルプラスチック

混ぜ加減が肝

ParallelPlastics の最初の仕事は老舗哺乳瓶メーカーからのご依頼で、製造過程で出る不要なプラスチックを有効活用するというものでした。
私たちはそれらのプラスチックを混ぜ合わせて、100%リサイクルプラスチックの製品をつくりました。完成した製品はご好評で、株主総会のご来場者に手渡しされたそうです。

私たちは気づきや共感をもとにサービスをつくっていますが、その際に大切にしているのが自分達の好奇心です。自分達が面白いと思っていなければ新しいことは生み出せないと思いますし、お客様にもサービスの魅力が伝わらない気がします。
固定観念から自由になるために、領域が異なる専門家のみなさんの多様な視点を混ぜ合わせるように心がけています。

偶然にも、混ぜることで魅力的になるリサイクルプラスチックと似ています。ただ、混ぜ過ぎると均質でつまらなくなってしまうので、素材の特性を活かした混ぜ加減が肝になります。

100%リサイクルプラスチックで作ったマグネット

ものづくりのこれから

猛暑や豪雨など気候変動が、身近になるにつれて、環境負荷の少ない商品を選ぶことが世の中の当たり前になってくるのではないかと思います。

言うのは簡単ですが、対応を迫られるメーカーにとって、製品の作り方を変えることは簡単ではないと思います。
製品をつくり、コマースのプラットフォーマーとして多くの企業に伴走してきたHameeだからこそ、変化の触媒になれるのではないかと考えています。

そういう私たちも、最初は何をすれば良いのかわかりませんでした。ですが、一歩踏み出したことで見えてくることが沢山ありました。

ぜひ、みなさんの一歩目をお手伝いさせてください。

◆記事を書いた人

執筆者PROFILE:宮口拓也(みやぐち・たくや)
ビジネスデザイン / ParallelPlasticsディレクター。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。アラビア語翻訳会社でWEBデザイナーのキャリアをスタート。2013年にHameeに入社し、デザインチームの立ち上げ、パーパス・カルチャーデザインに従事。2023年5月、素材の美しさを活かしたリサイクルプラスチックサービス「ParallelPlastics」を立ち上げる。