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アイヌの歴史4『アイヌの遺伝子』

*注意*
・これは中学生時代に書いていた文章であり、現在のものよりやや優しくない雰囲気の文体で書かれています。
・ハプログループや言語学、考古学、民俗学の専門的な内容が大部分に含まれます。
・以上のことを御了承の上、お読みください。


アイヌの歴史

  アイヌの歴史は考古学、つまり土器や住居などの形から、大きく、縄文時代から発展した続縄文時代、そこに日本の影響が加わった擦文時代、オホーツク文化の影響と日本からの影響がさらに加わったアイヌ文化時代の三つに区分され、道北・道東・千島・樺太ではアイヌ時代以前に北方諸民族系(ニヴフ族)のオホーツク文化時代がある。

擦文時代の住居
ニヴフ族

 また、かつては13世紀頃に北海道に北方からやってきた民族であるという説が唱えられ、現在でもYoutubeの動画等を見るとこの説を事実として、アイヌは先住民ではなくそれ以前には日本人が住んでいたとする場合が非常に多い。

日本の土師器の影響が強い擦文土器

 しかし、史実としては続縄文時代からアイヌ文化時代まで日本人や北方諸民族系のオホーツク文化の人々の影響を受け、緩やかな文化の変化を経ながら近代のアイヌとなったと言える。

北海道の江差にある古墳群

 北海道に存在する古墳などは、古墳時代が日本で終わった後に東北から広まってきたもので、日本人から文化的に影響を受けていたという以上の証拠にはならないので、北海道の全域には昔から日本人が居たとするのは大量に遺跡が消滅でもしないと成立しない説である。

アイヌのミトコンドリアハプログループ

 アイヌの遺伝子について言うと、篠田謙一によるミトコンドリアハプログループ、簡単に言うと母親から子供へと代々受け継がれる遺伝子に関する調査によれば現代アイヌが持つ縄文人に由来する系統ではN9bの8%とM7の16%で合計24%、北方諸民族に由来するYの19%とGの25%で合計44%、北方諸民族や日本人、中国人、朝鮮人などに広くみられるDが18%でその他の系統は14%となっている。

 そして、近世(江戸時代)のアイヌ文化時代の骨では多い順に北方系のYが31%、縄文系のN9bが19%、Dが14%、北方系のAが9%、北方系のGが8%、その他が20%でその中には縄文系のM7aが含まれていると思われる。

 それ以前の擦文時代から続縄文時代の人骨では縄文系のN9bが65%を占め、Dが17%、G1bが11%、M7aが7%となっており、アイヌは続縄文時代・擦文時代には縄文系が多い。

 これらからアイヌ文化時代にオホーツク文化の人々との混血で、北方系のYなどが非常に多くなった事が分かり、調査されていないが道東・道北・樺太・千島などオホーツク文化人を吸収したアイヌにはより多く見られると推定できるだろう。

Y染色体ハプログループの分布について

 では、次に男性に受け継がれるY染色体ハプログループについて見ていきたいのだが、余りデータが無い。

 縄文系のD12b1(旧称D1b)、北方系のC2(旧称C3)が12・5%という2004年のアツシ・タジマ氏のデータもあるが、対象が16人でこれだけではデータとして価値が余り無く、北方系の多かった女性系のミトコンドリアとは違って縄文系が多いと言う感じで、似た事例は他にも認知している。

フィン族の少女
フィン族の遺伝子分布

 例えば欧亜の間のウラル山脈付近から北欧に移動したフィンランド人の、ミトコンドリアではH36・3%、U5が20・7%、その他にはV、J、T、K、I、Uのその他の系統、Xなどが見られ、いずれもヨーロッパや西アジア周辺のコーカソイドに由来する系統である一方、Y染色体ハプログループでは北東アジア(中国北部からシベリアあたり)を起源とするNが63・2%ほど見られ、欧州系統はスウェーデン・ノルウェー・デンマークなどに多く見られるI1が28・9%、ロシア人やインド人、イラン人など(サテム語)に多く見られるR1aが7・9%だった。
 つまり、簡単にまとめるとフィンランド人の母方の遺伝子は完全に白人由来だったが、父方の遺伝子は六割以上がモンゴロイド由来だったと言う事である。

ウラル語族
韓国のソウルの櫛目文土器
フィンランドの櫛目文土器

 フィンランド語はエストニア語、ハンガリー語などと共にウラル語族と呼ばれる系統に属し、古代にウラル系民族が遼河で始まった様式である櫛目文土器を作っていたことからウラル語の起源は中国北部であると言う裏付けもできる。

 つまり父方の遺伝子は現地に同化せずに残りやすいと言え、その理由については、戦争による領土拡大は男が兵士として行う場合が多く新しい地で子供を作るのは男が多くなり父系だけが新しい領土に伝わるという事が起き、戦争や移住で男が少なくなるなどの事情で男一人に女数人という一夫多妻制に成りやすく、そうすると一つの家族の子供たちは互いに同じ父系を持つが、違う母系を持つ事となるという事なのではないだろうかと思われる。

E1b1aはニジェール・コンゴ語族の一致する
E1b1bはアフロ・アジア語族と一致する
O2の分布はシナ・チベット語族とタイ・カダイ語族の分布と一致する
O1b1はオーストロアジア語族と一致する

 こういった父方の遺伝子の方が民族に関係するという仮説は「父系言語仮説」と呼ばれ、バスク人などの例外はあるが概ねあてはまっている。

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