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【天文学】宇宙の年齢を手計算してみよう

宇宙の年齢はまだ正確には分かっていません。でも、おおよその数字は分かっているので、このエッセイでも手計算して求めてみようと思います。理系っぽい話なのでご注意な方はご注意を。それでも、興味がある方はこの先までお付き合いください。

おさらいとして、宇宙が膨張していることはほとんどの人が知っていると思います。膨張するっていうのは、簡単に言えば風船に息を吹き込んだら膨らむようなものです。宇宙を巨大な風船だという風に見立てた模式図が下になります。

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青いエリアが宇宙空間で、点はそこにある星や銀河だと思ってください。ふつうはこんな等間隔には並んでいませんが感覚的に分かりやすいように表示しています。時間が経つと、宇宙の膨張に引っ張られるようにしてお互いの距離はどんどん開いていきます。図の中の赤点を中心にして2つを重ね合わせると、右下の図のようになります。そうなると、自分と相手との距離が大きいほど遠ざかっていく速度が速くなっていくことが分かります。

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自分と相手が遠ざかる速度をV[m/s]、距離をd[m]、比例定数をH[1/s]とすると上のスライドのような関係式V=H・dが導けます。この比例定数Hはハッブル定数と呼ばれています。

リンク先ではHの値がおよそ70[km/s/Mpc](1Mpc≒326万光年)になっていますが、Mpcというのは個人的に見慣れない距離の単位だったので、黄色い枠で囲ったように計算によって[1/s]に簡単化した数値を出しました。[1/s]は1秒間に起こる頻度を表していて、逆数は[s]で時間Tを表します。果たして、これは何の時間を表しているのでしょうか?(答えはもうスライドに書いてますけどね)

たとえば、西日本・東日本で違っている家電製品の周波数[Hz]は1秒間に電気が流れる方向が変わる頻度を表していて、正しく書けば[Hz]=[1/s]で同じ次元になっています。東日本では50Hzなので、1秒間に50回電気の方向が変わります。電気の方向が1回変わるのにかかる時間は、その逆数を取って1秒間の50分の1、つまり0.02秒となります。

それでは、ハッブル定数の場合はどうでしょうか?ハッブル定数は宇宙の膨張頻度で、1Mpc(326万光年)離れた2つの物体が1秒間の宇宙膨張によって離れる距離が大体70kmだということを表しています。その逆数は、スライドに書いたように秒→分→時間→日→年と言う風に単位換算していくと、約134億年となりました。実は、これが現在推定されている宇宙の年齢になっているのです。

天文学者たちがより正確な宇宙の3D地図を作ろうとしているのは、宇宙の年齢を計算するためでもあったんですね。宇宙スケールの物差しがなくても、論理的思考だけでこれだけの真理に近づけるという事を考えると、全く日常生活に役立たなくても科学ってすげぇなぁ、と感じさせられますね( ˘ω˘ )

追記:単位換算NOTEを作りました


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