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リチウムイオン電池時代はこれからよ!

2030年、リチウムイオン電池と電気自動車が来る!

リチウムイオン電池の研究で日本人のノーベル化学賞受賞の吉報が入りました。授賞理由は電気を貯めることができる電池システムを開発したことと、それがスマホやノートPCなどの製品に組み込まれたことにより、IT社会の実現に大きく貢献したという感じでしょうか。IT製品以外にも車や電動アシスト自転車、デジカメ、掃除機などにも使われていることを知っている人は多いと思います。

ところで、日本のメディアは全然報道してはいないようですがヨーロッパや北欧では酸性雨やCO2排出削減といった環境対策のためか2030年前後からガソリン車が廃止されて、代わりにリチウムイオン電池を搭載した電気自動車やハイブリッド車、水素をエネルギー源とする燃料電池車へと移行していきます。

日本はその煽りを受ける形で、来たる2030年に向けてガソリン車から電気自動車や燃料電池車に移行せざるを得ない状況になっています。これが意味するのは、自動車メーカーやバッテリーメーカーがより良いリチウムイオン電池の開発のために寝る間も惜しんで研究させられているということでしょうか。

燃料電池車の水素はぶっちゃけ扱いが難しい

エネルギー源として水素を使うというアイデアは、化学的に水素を殆ど空気中に捨てている水素水よりも余程良いものです。でも、燃料電池車は市場に出たとしてもマイナーな自動車にしかならないでしょう。一言で言えば、水素の扱いが難しいからです。

水素の貯蔵方法(水素を吸収する材料や水素が漏れない耐高圧容器の開発)に関する研究はまだ発展途上で、水素ステーションの全国への設置も全然進んでいません。加えて、水素が爆発する危険性をクリアする必要もあるので、普及するのは電気自動車よりも後になるでしょう。

燃料電池・太陽電池が特別環境に優しいわけじゃない

燃料電池が持てはやされているのは「水素を燃やしても水になるだけだから、とてもクリーンなエネルギーだ」という謳い文句があるからでしょう。でも、実際には水素は化石燃料からエネルギーを使って取り出しているので環境に負荷を与えていることに変わりはありません。これは、太陽電池に使われている材料シリコンも同じ理屈で、欲しいものを取り出すためにたくさんのエネルギーを使用しています。

最近では、太陽電池パネルにより有毒な金属成分が流出することによってその土地周辺で農業ができなくなるという被害や山を切り開いて設置することによる土砂崩れ被害のニュースを見るたびにこう思うのです。

「やる前から分かっていたことだけど、太陽電池がクリーンではないエネルギーということが改めて周知できましたね。土地に限りのある日本には向かないし、日中日照時間しか発電できないし、光を電気に変換する効率も理論上最大30%しかないからそもそも実用的じゃない。太陽電池に使うシリコンがもったいないから、いっそIT製品に回した方がマシだろう。
 どうせ環境負荷をかけるんだったら今は発電量に優れる原発に頼った方が良い。海水から採れる水素(の同位体)1グラムで石油8トンに相当する発電ができる夢の核融合発電を実現させた暁にはエネルギー枯渇の心配をしなくて済むから、原発反対派の叫んでいる通り廃炉にする方向に動けばいいよなぁ」と。

燃料電池車も太陽電池も、そして電気自動車も製品(燃料・材料)を作るまでにかかった分の環境負荷を完全に無視して、使用時だけを切り取って「環境に優しい製品ですよ」と見せかけている子供だましには私は不快感を覚えますね。そういった製品を買わないことが環境に優しい行動だと言うのに。

リチウムイオン電池はまだまだ黎明期!

確かに、リチウムイオン電池の発明は凄いものの、現状はまだまだ課題が山積しています。スマホを使っている方なら分かると思いますが、①すぐに充電が切れること、②充電に時間がかかること、③バッテリーが重いこと、④数年でバッテリーがヘタる(充放電回数に限界がある)こと、⑤火災や爆発の危険性があることが主な課題です。

②は車載用リチウムイオン電池の喫緊の課題であって、ガソリン車みたく数分で給油すれば終わるようなものではありません。急速充電でも30分程度はかかるようで、これでは急ぎの人がブチ切れるので長くても10分以内には抑えるべきです。

しかしながら、⑤急速充電の際にはバッテリーがめちゃくちゃ熱をもつので、火が出ないよう過熱対策もしなければいけません。他には、リチウムイオン電池の安全性試験には直に釘を打ち込むテストがあり、過去に製品の中には爆発するものもあったと聞きます。安全を考慮して作っている今では爆発する可能性は極めてゼロに近いものの、完全なゼロではないので、電池を専門分野として研究したことがある私の感覚からするとリチウムイオン電池の扱いはなるべく丁寧にすることをおススメします。

あとリチウムイオン電池は、③軽量化して持ち運びの利便性や車の燃費を良くすることが求められるでしょう。これは、充電の切れた電動アシスト自転車を押す人を見た時とか、コードレス掃除機を使っていてつくづく感じました。バッテリーが見た目よりも重いので、手にかかる負担が従来のコードのある掃除機と比べて大して変わりません。将来的には、半分以下の重さになって欲しいです(たぶん安全性の関係でダメなんでしょうけれど)。

このように改善点を言い出したらキリがないリチウムイオン電池はまだ黎明期であって、あと20年くらいすれば電気で動くもののほとんどはリチウムイオン電池になるような良いバッテリーに成長するはずだと私は予想していますよ ( ˘ω˘ )

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