01_岩手県盛岡市_盛岡バスセンター142re

【1万字レポ】9月閉鎖予定の〈盛岡バスセンター〉で、屋上まで登って聞いてきた話

「バスは右肩下がり。とても持ちこたえられない」

〈盛岡バスセンター〉が、2016年9月末に営業終了し年内にも解体されると河北新法によって2016年3月に報道があったとき、私は(株)盛岡バスセンター総務部長の加藤一美さんの上記の言葉を思い出していた。

加藤さんにお話を伺ったのは、まだ解体が決まる前の2015年8月20日、『八画文化会館vol.5(仮)特集:駅前文化遺産』のための取材で同施設に伺ったときのことだ。

昭和35年(1960年)4月に誕生した〈盛岡バスセンター〉は、その前年に制定された「自動車ターミナル法」の適用第1号の施設としてスタートした、日本初のバスターミナルだ。

それから今年で56年もの長きに渡り、増築はあったものの大きな改装はなく、オープン当時の魅力を保ち、昭和30年代の生きた化石として営業を続けてきた、まことに稀有なバスターミナルである。

1階の待合所には、売店、時計屋、そば屋が入居しているが、地元盛岡市の藤原アイスクリーム工場(屋号・藤原養蜂場)が経営している藤原売店が6月30日で閉店すると報じられた。

「解体控え…藤原売店6月末閉店/盛岡バスセンター」岩手日報2016年6月9日より引用

同店は開業当時の広告看板類も残っており、貴重な店舗。閉店前にぜひ見てほしい。ということで、気合を入れて記事を書きました。現地撮影写真48枚、原稿文字数10,000字レポートです!

そして、この記事をトップバッターとして、今年の冬に紙版の発売を予定している『八画文化会館vol.5 特集:駅前文化遺産』電脳β版の先行配信をスタートします!

まだちゃんと目次や掲載スポットを出せないので、見切り発車の早割価格1300円での販売から始めます。いずれは1500円での販売になる予定です。

-------------------------------------------------------------------------------

【目次】

1. バスセンターは盛岡市のセンターでした
2. 「レールのない停車場」の内部から屋上まで
3. 資料から辿るバスセンターの誕生
4. バスを待ちながらハニーコーヒーをすする〈藤原売店〉
5. 駅に時計職人がいた時代が終わる〈吉田時計屋〉
6. 最後まで変わらなかった〈盛岡バスセンター〉
7. 盛岡中心市街地の出来事年表(おまけ)

-------------------------------------------------------------------------------

1. バスセンターは盛岡市のセンターでした

▲敷地面積は約2800平方メートル。平日には23路線253便が発車する。現在の乗降客は1日約2000人で最盛期から半減

〈盛岡バスセンター〉は、盛岡城跡と盛岡八幡宮のほぼ中間地点あたりの国道106号線沿いに建っている。

バスセンターの南西は、肴町という江戸時代から続く歴史の古い町だ。鮮魚や乾物を扱う魚商人や荒物商人が住む町だったという肴町には、現在は約365メートルの全蓋アーケード「ホットライン肴町」を中心に約80の店舗が立ち並ぶ肴町商店街がある。ガールズ&キッズ向けの健康な“昼の街”である。

そして南東方向から盛岡八幡宮の方に伸びるのは、八幡町。

八幡町は宝永の頃から茶屋など飲食店を中心とする歓楽街として発展。明治以後は、花柳界(かりゅうかい)として繁盛した。幡街(ばんがい)と呼ばれ、幡街芸者は芸事の修練でも本町の本街(ほんがい)芸者と互いに競い合った。

盛岡市公式ホームページ」より引用


▲新八幡街ビル

▲こちらは番地的には、バスセンターと同じ中ノ橋通にある。スナックのアーチ。

このようなスナックや飲み屋などの飲食街が点在している。現在でもメンズ向けの“夜の街”といった印象だ。(ただ昼間に行ってしまったので、現役かどうかは不明です。ごめんなさい)

そして川を渡ったところにある盛岡城跡付近には、岩手県庁や岩手県警察本部、盛岡地方裁判所などが集まる官庁街、ビジネス街となっている。

肴町商店街やNanak(ななっく)などのデパートのある商業地区としての“昼の街”と、盛岡八幡宮の門前町から発展した色っぽい歓楽街の広がる八幡町の“夜の街”、さらに“ネクタイの街”とでも呼んでみたくなる行政機構の集まるビジネス街に囲まれた、盛岡市の中心市街地にバスセンターは存在している。

しかし新幹線も止まる盛岡駅からは、徒歩25分とずいぶん離れた場所にある。

バスセンターのある地域は、盛岡城が築城された江戸時代から城下町として栄えてきたが、明治時代に鉄道駅ができて以降は、駅周辺の大通・菜園地区が再開発されてきたという街並みの変遷があるため、現在の駅前から旧市街の繁華街が遠いのだ。

そんな時代の流れのなかにあるバスセンターに入って話を聞いてみた。


2. 「レールのない停車場」の内部から屋上まで

▲開業当時から変わらないロゴ

▲入口

▲沿岸部との交通など、圧倒的に県内利用が多いが、県外の長距離バスも1日に、東京2本、横浜1本、八戸に3本出ているという。

バスセンター開業の背景には、1960年当時は各路線バス会社があちこちに発着所を作っており、戦後の自動車の増加とともに渋滞が悪化したことがある。それを解消するためにも中心のバスターミナルを作ろういう機運が高まり、県北バスを運行する「岩手県北自動車」や地元の商店街、市などが出資して、1959年に(株)盛岡バスセンターを設立したそうだ。

現在でも様々なバス会社が乗り入れており、発着所は7レーン存在している。

色々な種類のあるバスが行き交うので、レトロファンだけでなく、バスマニアにとっても聖地。写真を撮りに県外からやってくる人もいるそうだ。

では、センター内部の様子を見てみましょう。

▲乗車券売り場。鉄道駅のような雰囲気。

▲コインロッカーの表示もレトロ。

▲現在は1階のみ開放されている。2、3階へは立入禁止。

▲オープン当時は靴屋、洋品店が営業していたという。現在は禁煙の休憩場。

▲ここからバス乗り場へ

▲左手前から、藤原売店、コーヒースタンド、たこ焼き屋。右手前から、そば屋、休憩所(旧靴屋、洋品店)、時計屋。

▲藤原売店の系列〈南部金だこ〉

▲〈そばの南部〉

▲〈吉田時計店〉

現在は1階の待合所のみ開放されており、藤原売店と、その系列のコーヒースタンドとたこ焼き屋の〈南部金だこ〉、それから〈吉田時計店〉、〈そばの南部〉のみが営業している。

この続きをみるには

この続き: 9,165文字 / 画像39枚
この記事が含まれているマガジンを購入する

2年ぶりの本誌新刊!2016年冬に紙版発売予定の、八画文化会館5号のnote先行配信です!

または、記事単体で購入する

【1万字レポ】9月閉鎖予定の〈盛岡バスセンター〉で、屋上まで登って聞いてきた話

八画文化会館

300円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
18
https://hakkaku.thebase.in/ ★あなたの町の隠された秘密を案内するインディペンデント出版社です。廃墟、レトロスポット、ローカル情報をご案内する終末観光マガジンは、紙の本も発行中。上記アドレスでご注文頂けます。

こちらでもピックアップされています

「八画文化会館vol.5 特集:駅前文化遺産」電脳β版
「八画文化会館vol.5 特集:駅前文化遺産」電脳β版
  • 18本
  • ¥1,500

2年ぶりの本誌新刊!2016年冬に紙版発売予定の、八画文化会館5号のnote先行配信です!

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。