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ドコイル?/連載エッセイ vol.3

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.5(2001年6月)」掲載(原文ママ)。

「センセイ、いま何処にいる?」

この言葉に覚えのある方はそれだけで、わたしたち矯正師の良き理解者であると断言できる。

「センセイ、つぎは何時いるの?」

この言葉も同様だ。

これらの台詞を患者さんから聞くたびわたしは、申し訳ないと思うと同時に、何か励まされるような、感謝の念で一杯になる。
 
消費者にとって究極のサービスを提供する店舗の条件の1つは「いつでも開いていること」だと、以前何かの本で読んだ。
この点でいえば、わたしたちの院は失格に等しい。
とにかく「臨時休業」が多いのだ。

これからわたしたちの院に来ようとする患者さんもこれを不思議に思うらしく、「早く来たかったけど、タイミングが合わなくて…」というご意見を頂戴することがよくある。

しかし、この「臨時休業」はわたしたち人の体を預かる者にとって必要不可欠なのである。
つまり、「研修」に費やしているのだ。

と書くと、勘繰り深い人は「とかなんとか言って、何処に行ったもんだか…」と思うかもしれないが、やれ自分の所属する会の研修だ、やれ組合の研修だと挙げれば限りがないのが実情だ。
学生の時にこの勤勉さの何分の1かを持ち合わせていたら…、と自分で思う位、実に一生懸命である。

また中には、プロとして患者さんをみているわたしたちが、更に研修を積んでいることを不思議に思う方もいるようだ。
が、考えてみてほしい。スポーツ選手だって、プロになってから更に練習を積み、コーチングを受け、日々自己の研鑽に努めているではないか。
わたしたちもそれと同じなのである。
逆に、それらの努力をせずに患者さんに向き合うことなど、わたしたちにとっては考えられないことなのだ。

そんなわけでわたしたちは今日も院を閉めて研修に出掛ける。
患者さん一人一人にしっかりと向き合うために。

移動中の新幹線でケータイが着信を知らせる。
デッキに出て耳をあてがうと今日も患者さんのエールが響く。

「センセイ、いま何処にいる?」


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