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3年後に見る夢/連載エッセイ vol.9

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.11(2002年6月)」掲載(原文ママ)。

「最近よく眠れてますか?」

医療に携わっているものの常套句だ。
睡眠と健康は非常に関わりの深いものだからである。
特にも我々の扱う「骨格」の分野に関しては、睡眠時の環境が大きく影響する為、このような質問をすることが多い。

斯く言うわたしは、もう申し訳ない位に寝つきが良い。
それでいて夜更かしが苦手ではない。
これはどういうことかというと、修学旅行や合宿で最後まで騒ぎまくり、いざ就寝となると誰よりも早く寝息を立て始める、あのいやらしいタイプである事を意味する。
この仕事をするようになって、移動中の不安定な状況でも寝入る術を身につけたため、周りからのヒンシュク度はますます上昇している(らしい…)。

よく寝るということは当然よく夢を見る。
他人の見た夢の話をされる程退屈なとはない、とはあるヨーロッパの文人の言葉であるが、今回は敢えてそのタブーを侵してみようと思う。
少々重たい話になるかもしれないがご勘弁願いたい。

皆さんは同じような夢を繰り返しみる、といった経験をおもちだろうか。
わたしはそのような経験が幼少の頃から割りとある方で、しかも未だに断片的にではあるがその内容を覚えているものが多い。
そして、ここ数年繰り返しみてしまう夢の内容は以下の通りだ。

わたしは学校にいる。生徒としてではなく教師として。
それが自分の意思によるものなのか、学校側の要請なのかはわからない。
とにかくおかしくなってしまった学校を立て直すために、わたしは教壇に立っている。
見渡せば生徒は皆どこかで見たことのあるような顔ばかり。
わたしは生徒に語りかける。
しかし、わたしの声は届いていない。
わたしは必死に声を張り上げるが、生徒は思いに反するかのように行動し、荒れていく。
わたしはどうすることもできなく、ただ叫び続ける。

このあたりで決まって目が覚める。

ここまで読んでくださった方はおわかりだろうが、わたしの以前の職業は教員である。
その仕事を嫌いになって辞めたわけではなかった。
今の仕事に切り替える際、たくさんの人に迷惑をかけ、傷つけてしまった。それを承知でわたしは自分の道を選んだ。

次の患者さんを待つ院で、休憩をもてあます研修会場で、移動途中の新幹線で、不意に訪れる閉じ込めておいたはずの記憶に出会う度にわたしは自問する。

「今の自分はしっかり前に進めているだろうか」。

この春からCSCプログラムがスタートした。
わたしも1期生として参加している。
3年後、このプログラムを修了したとき、わたしは今よりも確実に前へ進めているだろう。

そしてその時、私はどんな夢を繰り返しみることになるのだろうか。
実に楽しみである。


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