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駆け込み結婚(式)/連載エッセイ vol.33

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.35(2006年8月)」掲載(原文ママ)。

先日、東京の仕事仲間が結婚式を挙げた。
新郎新婦ともに関わりが深く、近年は3人組んで仕事をする機会も多かった。

実際この3人が中心となって立ち上げた研究会での論文作成が、昨年6月シドニーでのWFC(世界カイロプラクティック連合)世界大会でのプレゼンテーションへと繋がり、その時の共同作業と共通『世界』体験が、結果として2人を強く結びつけたのである。

周囲からは「ドリカム状態(良い子の為に説明すると、『ドリカム』は以前、男性2人女性1人のグループだったんだよ!)であぶれた奴」と後ろ指を差させながら

「嗚呼、俺に残された道はタイホなのか…(往年のファンの皆様すみません!!)」などと嘯いていた私に、披露パーティーの司会役がまわってくるのは至極当然の事であった。

そして私は、過去にも経験がある事を強みに(ほねっこ通信vol.14参照)、二つ返事で快諾したのだった。
その後の苦労を知る由もなく…。

結論から言うと、司会進行に必要なパーツがほぼ出揃ったのは、式の前々日の夕刻であった。
これがどれだけ危機的な状況であるかは、経験者ならご理解頂けるであろう。

分かり易く言えば、通常、式の1ヶ月前か、ギリギリでも2週間前に準備されているべきモノが、開始36時間前にようやく出揃った形なのだ。

このような事態を招いたのには様々な理由がある為、ここでは割愛する。
式とパーティーが、新郎の愛する出身大学で行われる為、その準備の殆どを自分達がやらなければならなかった事が、全ての発端であったといえよう。

例えば、新郎新婦の経歴をPPT(パソコンでのスライド)にて作成する為の写真が、式の5日前にしてようやく送信されてくるも、年代やエピソードなどの注釈は一切なく、「好きに人生見繕えってコトか…」と過去の2人の笑顔に囲まれ、呆然とした事などなど奮闘記を挙げれば限がない。

とにかくその日は新居に泊り込み、作業を続けた(但し、2人の馴れ初めを聞けば聞くほど、それは惚気話の体をなし、私は当てられっ放しではあったのは言うまでもない…)。

翌朝も、隣室の2人がまだ寝静まっている頃からムックリと体を起こし、キーボードを叩く。

不意に気配を感じて顔を上げると、いつの間にやら近寄っていた新婦の愛猫が目の前にいて驚かされながらも、ひたすら叩く。

夕方、ご両家の皆様が食事会に出かけても、独り留守番しながら叩き続ける。

ようやく作業が一段落し、新居を辞して満員電車を乗り継ぎ、会場最寄の宿泊先へ着いた頃には、日付が変わっている始末であった。

当然の事ながら、当日もバタバタが続いたが、幸いにして優秀なスタッフのサポートも得られた為、国際派のカイロプラクター夫婦に相応しい、素敵なパーティーを営む事ができた。

そして終了後、「この借りは俺の結婚式で返してもらうからな~」と新郎新婦に告げた舌の根が乾かないうちに、「結婚」には相手が必要である事に今更ながらに気付き、別の意味で脱力していく私なのであった…。

チ~ン!!


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