見出し画像

沈深牛に日は昇る/連載エッセイ vol.123

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「姿勢ッコくらぶ通信 vol.125(2021年・第4号)」掲載(原文ママ)。

本通信の表面にもあるように、おかげさまで『第12回岩手県民の健康を考える講演会』が無事に終了した。

オリンピック絡みの4連休の初日、未だ収束が見通せないコロナ禍中、そして初めてとなる奥州市での開催……等々、不安要素は正直いろいろとあったものの、沢山の市民にご来場いただけたことを、心から感謝申し上げたい。

『企画自体が目的となってはいけない』……ビジネスの世界においてよく用いられる言葉だ。

つまり、各種イベントというものは、なにかしらの『目的』を達成するための『手段』に過ぎず、『手段』たる企画自体をこなすことに意識を捉われてしまうと、本来の『目的』を見失ってしまうので注意すべし……といった意味合いで使われる。

それを鑑みれば、この『講演会』自体、毎回相当の手間をかけて開催しても、『姿勢調整の道を志す方』や『お客様』が、目に見えて急増する訳ではないので、『目的』を達成するべき『手段』としては、まだまだ及第点に至らないのかもしれない。

ただ一方、我々の分野というのは、インターネットやマスコミ媒体で知識だけを拾っていけば理解できるものではなく、逆に誤解を招くリスクも大きいといえるので、このご時世でも泥臭く、県民ひとりひとりに語り掛けるこのスタンスは続けていきたい。

ご存じの方も多いかとは思うが、詩人・高村光太郎は「岩手の人」という詩において……『岩手の人沈深牛の如し。地を往きて走らず、企てて草卒ならず、ついにその成すべきを成す。(一部抜粋)』と評している。

継続することが目的となってはいけないが、継続することでしか到達できない領域もまた存在すると、私は信じている。

その意味では、『講演会の後援』に関しても、回を追うごとに各方面からご理解とご支援をいただいている。

なにかしらの企画を立案した経験のある方からすれば、『後援なんて紙一枚提出するだけでしょ』と思われるかもしれない。
しかし今一度考えていただきたい……なんの法的な下支えを持たない我々のような業種の組合が、何年も継続して公的機関などから後援を取り付けている、その意味と意義を。

さて、そんな素敵な『後援陣』の中でも、割と早い段階から名を連ねていただいているのが『テレビ岩手』さん。
そのご縁もあって、毎回、夕方の情報番組において、講演会告知の『生CM』をさせていただいている。

そして今回、少しでも告知の『インパクト』を高めようと、企画者の要請を受け、出演予定の組合員に、ある『私物』を託したのであった。

そう……『ガンライザーDVD・全13巻』を……!!

『鉄神ガンライザー』……皆様は、この『岩手が全国に誇る』ローカルヒーローを『正しく』ご存じであろうか? 

『ガン』は岩手、『ライザー』は日の出(サンライズ)を意味し、『岩手の子どもたちに元気と笑顔を!』を合言葉に誕生したご当地ヒーロー……それが『ガンライザー』。

放送開始は、2011年10月……そう、東日本大震災で傷ついた子どもたちを勇気づけようとしてスタートした企画なのだ。

しかし、その心意気に沿ってか沿わずか、局にドラマ制作のノウハウは少なく、出演者もすべて一般人からオーディションで募るなど、作品は荒々しい船出を迎える。

その独特なモッサリとした出来栄えに、当時既に(特撮マニアの間では)全国的な知名度を誇っていたお隣・秋田の『超神ネイガー』や、映画化もされるなどローカルヒーローのメジャー化の先駆者である沖縄の『琉神マブヤー』などとも比較され、SNSなどネット界隈ではかなり叩かれてもいた。

しかししかし、そこは『沈深牛』な岩手県民たる制作陣、めげずに翌年『シーズン2』を発表。

更にその翌年の『シーズン3』では、ヒーロー物の『鬼門』ともいえる『主人公交代(代替わり)』を見事達成。

そして4年目には、これまでの実績を踏まえて、監督・脚本に奥州市出身でキー局でもドラマを制作する映画監督を招聘。
出演陣も、これまでの登場人物を活かしつつ、主人公には北上市出身で『戦隊モノ』では『レッド』を演じた経験もある知名度抜群の俳優を配置。
紙面が限られているので割愛するが、それ以外にも様々な『本気要素』をぶち込んで制作されたシーズン4たる『NEO』での本格的ブレークに繋がるのである。

そして現在。

シリーズは上記の映画監督制作と地元スタッフ制作とをいい塩梅に交えながら、昨年で10作目に至り、動画配信では海外デビューも決定(ちなみに中国版では『鋼鐵英雄・ガンティエインション』)!! 

そして今年、第47回放送文化基金賞にて、『番組部門<テレビエンターテインメント番組>奨励賞』を受賞!! 

思えば10年にも渡って、毎年テレビシリーズを制作しているローカルヒーローは唯一無二!! 
ゆっくりとではあるが、確実実直な牛の歩みに時代と評価が一周回って追い付いてきた印象すらある。

つい先日、予約していた14本目となる最新DVDが届き、座を正して視聴した。

歴代ガンライザーの総登場。
歴代メインキャストもほぼ登場。

そしてなんといっても、これまでは物語の最終シーンで、悪役キャラの復活を示唆するのがお約束だったのが、今作では、初代主人公が高田松原の津波復興祈念公園で献花しつつ、10年の戦いを振り返る……というものだったので、これでいったんピリオドなのかなぁ……などと思いきや……今年も『シーズン11』制作するとのこと!! 

まさに『成すべきを成す』の心意気である。

さて話を戻して、その情報番組での生CMはどうなったかというと……現場の者曰く、『スタッフうけは最高だった』とのこと。

実際の放送をチェックしたところ……私は聴き逃さなかった……出演した組合員の手元にあるDVD全巻が大写しになった瞬間、キャスターの方が小さく吹く出したことを!! 

そして……録画したその映像を何度か繰り返し見て、私は思った……。
結局……ガンライザーのことしか頭に残らないなぁ、この告知……。

『目的』と『手段』は計画的に……そのあたりも沈深牛の歩みでブラッシュアップしていかねばと反省する真夏日の夕べであった。


☆筆者のプロフィールは、コチラ!!

☆連載エッセイの
 「まとめページ(マガジン)」は、コチラ!!

※「姿勢調整の技術や理論を学んでみたい」
  もしくは
 「姿勢の講演を依頼したい」という方は
  コチラまで
  お気軽にお問合せください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?