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はぢめて物語/連載エッセイ vol.12

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.14(2002年12月)」掲載(原文ママ)。

私は今、三陸のとある港町でキーボードに向かっている。
次の予約患者さんまで、まだ少し時間があった。
この連載エッセイは、そんな日常の隙間にに、あまり深く考えることなく、徒然と紡ぎ出されていくのである。

この一週間余りの事を思い出してみる。
思うに、初めて尽くしの一週間だった。
まずは、生まれて初めて「首都高速」なるものを走行した。

これは私が卒業したカイロの学校で開催された球技大会に参加する為で、いつもであれば公共の交通機関を利用するところであるが、時間と場所との兼ね合いで、車での移動となった。
行きは深夜であった為、高速で流れていく夜景を横目に快調に飛ばし、気分はまさに「シュトコーの狼」。
しかし帰りは、工事渋滞に巻き込まれるは、連続車線変更に肝を潰してお尻の穴がすぼまるはで、その姿は「シュトコーの負け犬」であった。
宇都宮を過ぎて片側2車線になった時、私はやっとアルプスに帰ってこれたハイジの感激を体感するのである。

次に、生まれて初めて「金屏風をバックに演説」した。

これは親しくしている知人が、来年ある選挙に立候補することとなり、その座談会でスピーチを頼まれた為である。
座談会とはいえ、そこはホテルの大広間。
聴衆も200人近い。
これに「トップバッター」の条件が揃えば燃えないはずがない。
私は元教員の視点から、夢を追う事の素晴らしさを、原稿を見る事もなくぶちまけた。
座談会終了後、関係者の口から、「立候補予定者よりも演説ぶっていた」との声明(?)が発表された。

最後に、生まれて初めて「結婚式の司会」を務めた。
これは関東の仕事仲間がパーティー形式のお披露目会をやるので、簡単な司会進行を頼まれたのである。
設定時間は2時間。
しかも余興は結構多め。
普通なら時間オーバーするところであるが、根が好きなのだろう、盛り上げつつも時間通りにまとめるあげる事に成功した。
やり遂げた満足感にひたる私の目の前を、手付かずの料理が下げられていったのは言うまでもない。

思えばこの一週間に限らず、この仕事に就いてから「初体験」を経験することが多くなったようだ。
無節操ではあるが、それだけ自分の世界が広がっていると受け止めたい。
私はまだまだ大きくなれる。

と、こんなことを書いているうちに、そろそろ次の患者さんの予約時間が近づいてきた。
自分のモードを「カイロプラクター」に戻し、「エッセイスト」は次号、恒例のアメリカ編まで少し休ませておくとしよう。


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