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『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』をやってみました

(私の『本当にやりたいこと』って何なんだろう?)

小説の資料を探すため、本屋に来た私の胸に突如疑問が湧きました。

お目当ての資料を読んでも、これから書きたかったはずの小説にワクワクするどころか、圧迫感と息苦しさを感じたのです。

その日、資料の代わりに購入した本が『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』でした。

自分だけのためでなく、誰かのためにもなることがしたい

現在私は専業主婦で、幸い今すぐ働かないといけないほど切迫してはいません。
しかし家計に余裕がある訳ではないので、いずれ何かしらの仕事に就かなければいけません。

以前正社員として勤めていた会社では、有り難いことに上司から仕事ぶりの評価や信頼を得ていました。
ですが自分の仕事がどのような方に届いて、どのように喜んでもらえているのかがよく分かりませんでした。

そのため、次に働くなら「喜んでくれる方の存在を実感できる仕事がしたい」とずっと思い続けてきました。

私の「本当にやりたいこと」は自分のためだけでなく、誰かのためにもなること。そしてその対価をいただき、家族のためにもなることなのでしょう。

では、具体的に何をやりたいのか。候補はあっても、はっきりとは決められないままでした。

本書が提唱する「自己理解メソッド」とは

本書は著者の八木仁平さんが独自に考案した「自己理解メソッド」に取り組み、「本当にやりたいこと」を見つけ出すまでの一連の流れがまとめてあります。

本書の存在は前から知っていましたが、やりたいことをやっていた私には縁がないと思っていました。

けれど「本当にやりたいこと」について考えたとき、本書の徹底的な自己理解の深め方に興味が湧き、自分で考えるだけでは至らない答えに辿り着けるかもしれないと感じ購入を決めました。

「自己理解メソッド」の簡単な構造は以下の内容です。

大事なこと×好きなこと×得意なこと=本当にやりたいこと

仕事探しで主に見られるのは、3つのうち「大事なこと」が「人(世の中)の役に立つこと」になっている図です。

人や世の中の役に立つことを自力で考えるのは容易ではありません。その点、「大事なこと」は自分ごとなので比較的容易に分かります。

本書では、「大事なこと」「好きなこと」「得意なこと」は以下のように定義されています。

○大事なこと
・価値観
・どう生きたいか
※「~べき」は親・社会から押しつけられた偽の価値観。「~したい」が本当の価値観。
(P66、93より)

○好きなこと
・興味があってもっと知りたいと感じる
・関わるだけで面白いので「これが本当に仕事でいいの?」と感じる
・「なんで?」「どうすれば?」のような問いが湧いてくる
(P53より)

○得意なこと
・やっていて心地いい
・頑張らなくても無意識にやっている
・ストレスがないので夢中になりやすい
・やっていると自分でいられる感覚がある
・仕事でなくても普段から自然とやっている
・他の人に対して「なんでこんなことができないの?」と思う
(P53~54より)

今まで考えてきた定義と違う箇所があり、これだけでも新たな学びになります。

本書ではこれらの考え方に基づき、

①大事なことを見つける
②仕事の目的を決める
③得意なことを見つける
④好きなことを見つける
⑤好き×得意で「やりたいこと」の仮説を立てる
⑥「仕事の目的」で「やりたいこと」を絞る

以上6つの過程で「本当にやりたいこと」を導き出します。
細かい実現手段は後から考えます。行き先を決めてから移動手段を考えるのと同じです。

実践①大事なことを見つける

「本当にやりたいこと」を見つけ出すべく、早速本書の内容に基づいてワークに取り組みました。ここからは私の回答を例に、どのようなステップを踏んでいくのか順を追って紹介していきます。

①では「本物の価値観を見つけ出す5つのステップ」として、5つの質問に答えていきます。

Q1.尊敬する人、尊敬する友人、好きなキャラクターは誰ですか? その人のどんなところを尊敬していますか?

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偉人から身近な人、二次元のキャラクターまで挙げてみました。特にキャラクターは系統も似通うのか、共通する価値観が複数見受けられました。

Q2.幼い頃や思春期にあった、今の自分に一番大きな影響を与えている出来事or経験は何ですか? それらが自分の価値観にどう影響を与えましたか?

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私の場合、高校生の頃受けたいじめです。当時は一日一日が重たくて、社会人になってからも相当引きずっていましたが、沢山傷ついたからこそ得られたものもありました。
根底に反骨心が芽生えたのも、おそらくいじめの経験が元です。

Q3.今の社会には何が足りないと思いますか?

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自然災害やコロナ禍の影響もありますが、私はそれ以前から「元気」「思慮」が足りていないと感じていました。
本書では社会を見渡して考えたことが「仕事の目的」にもなると説いています。

Q4.「自分って人生で何を大事にしてそうかな?」と周りの人に聞いてみてください。そう思った具体的なエピソードも聞けるといいです。

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今回は主に家族、長年定期的にお会いしている方に聞いてみました。
自覚している面もあれば、客観的に「そうなんだ」と気づかされる面があります。

Q5.自分の子どもを育てたり、他人に助言するときに、一番伝えたいのはどんな行動で、一番伝えたくないのはどんな行動ですか?

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この質問は夫とも話し合いながら、息子に伝えたいこと・伝えたくないことをじっくり考えてみました。ひとつに限らず、複数挙がったのでそのまま書き残しました。

質問に答えていくと、自分のなかに眠っているさまざまな価値観が表に現れてきます。そこから似たキーワードをグループ化し、「価値観マインドマップ」を作って4~6個に分類します。

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さらに「価値観ランキング」を作り、価値観の土台から最終的な目標を決めます。

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順を追って説明していくと、このようになります。

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まずは土台を固め、順序を決めて最終目標に向かう。
これが人生の指針になります。

実践②仕事の目的を決める

①で価値観のランキング付けができたら、「仕事の目的」を決めます。

大切にしたい価値観からどのように仕事の目的を決めるのかというと、本書ではこのように記されています。

まず自分が価値観に忠実な生き方をして、自分自身を満たすことが重要です。
(中略)そして自分の心が満ち足りてきたら、自然と、その価値観を周りの人にも広げたくなっていきます。満タンになったコップが溢れて、周りに水が行き渡っていくようなイメージです。
(P115より)

私の場合、このnoteが自然と「仕事の目的」に近いコンセプトになっていました。

②では具体的に、これまでに人に価値を提供しようとした経験を10個挙げます。実際に価値を提供できただけでなく、「提供しようとした」レベルも含みます。

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これに①のどの価値観が当てはまるかを追記し、一番多かったものを仕事の目的とします。私の場合は「楽しい」が最も多くなりました。

最後に価値観を総括した私の「仕事の目的」は、好きなこと・楽しいことで人の暮らしを明るくしたいでした。noteで発信するなかで、自然と芽生えていたのかもしれません。

実践③得意なことを見つける

③では、自分の得意なこと(才能)=無意識のクセに気づくためのワークを行います。

注意点として、「知識・スキル」はここで定義する「得意なこと」ではありません。後から勉強して身につけた技術ではなく、生まれつき持っている能力が「得意なこと」です。

①と同じく、5つの質問に答えて「得意なこと」を見つけ出します。
ゴールの目安は長所が10個、多くて20個見つかっている状態です。

Q1.これまでの人生で充実していた体験は?

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だいたい趣味関係のことです。意外と自分のなかで当たり前のように思っていた・こなしていたことばかりでした。

Q2.最近イラッとした、もしくは心がザワザワしたのはいつ?

私は「気配りがなってない店員」「失礼な人」「外に出て働かなければいけない強迫観念」が主なものでした。

エピソードがあまり気持ちのいい内容ではないので、詳細は省略します。

Q3.仲のいい人に「自分の長所って何だと思う?」と聞いてみてください。

こちらも①と同じ人たちに答えてもらいました。あまり挙げるのも難なので、ひとつ挙げるならQ2の対になる「配慮がある」でしょうか。

Q4.明日仕事を辞めてしまったとして、もっとやりたかったと感じるのはどの部分でしょうか? 仕事をしていない場合は前の仕事について考えてください

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私は会社が嫌で退職しましたが、業務自体は嫌いではありませんでした。Webライターの仕事についても振り返ってみました。

Q5.これまでの人生で成果が出たことは何ですか? どうやって成果を出しましたか?

パッと思い浮かんだのは、会社員時代にある上司から「部署内ではじめさんの仕事を一番信頼している」と言われたことです。

成功体験を深堀りするマンダラチャートも用意されていますが、これまでの質問で大体の得意なことが出揃ったので私は省略しました。

長所を書き出したら、◎・○・△で3段階評価をつけます。

◎…充実感があり、成果に繋がる
○…充実感がある
△…まだ確信が持てていない

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長所に評価をつけたものを「自分の取扱説明書」とし、⑤のステップでどの長所を「好きなこと」に掛け合わせるか指標にします。

実践④好きなことを見つける

④では「好きなこと」を見つけます。一見簡単に思えますが、本書では「『好きなこと』を仕事にする」の落とし穴について言及しています。

例えば私の場合、小説が好きです。「小説家になりたい」と思い、仮になれたとします。すると思わぬ面で苦労し、辛くなって辞めてしまうかもしれません。

大事なのはその分野で、自分がどんなことをやっている時に楽しいのかという「得意なこと」もセットで考えることです。
(P150~151より)

趣味で取り組む分には問題ありませんが、好きなことを仕事にするとなると慎重に考えたい部分です。

①③同様、④でも5つの質問に答えていきます。

Q1.今お金を払ってでも勉強したいことはありますか?

私は栄養学、心理学、ワードプレス、ハンドメイド作品の作り方でした。

実際にネットで調べたことがあったり、通信講座のチラシで興味をひかれたこと、漠然としたものまで挙げてみました。

Q2.本棚にはどんなジャンルの本が眠っていますか?

元々本好きなので、本棚にはだいたいの好きな分野が詰まっていました。手帳関係の本が多いです。

Q3.これに出会えて「良かった!」「救われた!」と思える分野・ジャンル・ものはありますか?

手帳はもちろん、HSPに関するメンタルヘルス、noteなどのネットの世界などが挙がりました。

いずれも広めてくれた方がいたおかげです。

Q4.これまで生きてきた中で「お礼を言いたい仕事」は何ですか?

病気やけがなどで看護師さんにお世話になり、同じく看護師を目指すという話を聞きます。

今度は自分が過去にお世話になった人のような存在になりたいと思うのでしょう。

私も色々挙げてみましたが、今のところ突出している仕事はありませんでした。思いつかなかっただけなのか、後々繋がってくるのかもしれません。

Q5.これまでの人生で世の中に対する怒りを感じたことは何ですか?

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これは私の本音を書きました。なので言葉が荒い部分も所々あります。

後から妹に話してみたところ、「暮らしを明るくして自分を満たすってなかなか現代人は出来る人少ないかもね」と返ってきました。
少ないからこそ世の中から求められるのではないかと、私は考えています。

実践⑤好き×得意で「やりたいこと」の仮説を立てる

ここからが大詰めです。

③④で見つかった「好きなこと」と「長所」を並べて書き出し、掛け合わせます。
長所は◎(充実感があり、成果に繋がる)がついたものを優先し、○も採用します。

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好きなことは④で特に挙がった3つの分野に絞り、③で具体化した得意なことと掛け合わせ、何ができるか、思いつくだけアイデアを書き出します。

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今後生かせるかもしれないアイデアは伏せています。ご容赦ください。

実践⑥「仕事の目的」で「やりたいこと」を絞る

最後に、⑤で掛け合わせた「やりたいこと」の仮説を②の「仕事の目的」に繋がるか、ひとつずつ照らし合わせます。

ここで大事な考え方を本文から引用します。

あなたは人からどんな「ありがとう」を受け取りたいですか?
(中略)あなたは関わってくれた人に、何と言ってもらえたら嬉しいでしょうか?
(P174より)

冒頭で述べたように、仕事は誰かのためになり、その対価をいただくことです。単に自分がやりたいだけなら趣味でやればいいのです。

これを自分の価値観から考えてみた結果、次のような言葉が浮かびました。

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自分が掲げるだけでなく、人や世の中にも広げたい価値観とマッチすることが、「本当にやりたいこと」=仕事・生業にしたいことなのです。

私が自分の価値観を広め、どのように喜んでもらいたいのか。⑤の仮説に照らし合わせていった結果、私が辿り着いた「本当にやりたいこと」は、

「好きな分野のコラムで『暮らしを明るくする』方法を伝えるオウンドメディア(Webサイト)を立ち上げ、運営する」ことでした。

おわりに…人生の指針となり、道を照らしてくれる1冊

本書に基づいた「自己理解メソッド」に取り組んだ結果、「本当にやりたいこと」が突然落ちてきた宝箱のように現れました。

「こんなこと、私にできるんだろうか」と現在進行形で思っています。
ですが自分の経験や思考、趣向から徹底的に掘り下げた結果でもあります。

「本当にやりたいこと」を見つけ出した今、ドキドキとワクワクが身体の中を駆け巡り、未知のものに向かう、久しく感じていなかった感情が湧き出ています。
むしろnoteでやっていることの発展形なのが興味深い結果でしたし、自然と納得がいきました。

著者の八木仁平さんは本書でこう述べています。

今この瞬間に、やっていることに対して充実感を感じていれば幸せであり、人生の成功です。
(中略)結果を出すのに時間はかかりますが、自分に嘘をつかずに生きると決意することは今この瞬間にできます。
(P186~187より)

あの本屋で漠然と感じた、「私の『本当にやりたいこと』って何なんだろう?」という不安は、すくなくとも消えました。

不安は必ずつきものです。ですが本当にやりたいことなら、自然と行動が伴い、打ち克っていける。私はそう信じて、走り出しました。

幸い家族も「やらなかった後悔とやった後悔なら後者がいい」「やってみる価値はある」と応援してくれています。やれるだけやってみようと思います。

もし「本当にやりたいこと」が上手くいかなかったとしても、本書で見出した自分の価値観や得意なこと、好きなことは必ず人生の指針となり、行く道を照らしてくれるでしょう。

※2021.11.2追記
Yoshiさんがnote記事で取り上げてくださいました!ありがとうございます!
同じワークに真摯に取り組まれています。応援しております。


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