haimitsu
真剣な表情で端末を握りしめ、会話をしている君は、 何度も唇を噛み、一点をずっと見つめている。 暫くして、端末を置くと、 座椅子の背に寄りかかり、ゆっくり瞬きをした…
教室を照らす陽光 柔らかな風と夏の匂い まるでレモンを絞ったような、そんな夏。 視界に入る髪を押さえ、結ぼうかと迷いながら、 白が増えていく黒板をただ見ていた。 …
カーテンが揺れる。 生ぬるい風とシャンプーの香り。 目を閉じるとそこはまるで、一面に広がる花畑。 ちらり、隣の席に視線を移す。 靡く髪を小さな手で押さえ、黒板を…
ポツリ、、、 肌を滑る雨粒。 ポツリ、、、 揺れる睫毛。 ポツリ、、、 重くなっていく髪の毛。 そっと、目を瞑ってあの日を思い出す。 ・・・・・・・ その日も雨…
2020年11月16日 19:05
真剣な表情で端末を握りしめ、会話をしている君は、何度も唇を噛み、一点をずっと見つめている。暫くして、端末を置くと、座椅子の背に寄りかかり、ゆっくり瞬きをした。内緒って言葉は人によって、重さ、刺激、高揚感を感じるものだと思うの。あの子が内緒を言った、あの人にも内緒を言える人がいて、内緒の輪はどんどん広まっていく。人間っていうのは、一人を恐れるから。そう呟く君は、溺れ藻掻いてい
2020年9月12日 16:13
教室を照らす陽光柔らかな風と夏の匂いまるでレモンを絞ったような、そんな夏。視界に入る髪を押さえ、結ぼうかと迷いながら、白が増えていく黒板をただ見ていた。―――あつい、な、五日前に席替えをしてから、右側がやけに重く、熱く、感じる。彼が居る右側が。 左から差し込む陽よりも右側があつく感じるのはなんでだろう。学校生活一番のくじ運
2020年8月10日 11:25
カーテンが揺れる。生ぬるい風とシャンプーの香り。目を閉じるとそこはまるで、一面に広がる花畑。ちらり、隣の席に視線を移す。靡く髪を小さな手で押さえ、黒板を見つめる君。―――あぁ、そっか、目なんか閉じなくてもここは花畑だ。五日前の席替えが、おそらく一年分程の幸運をくれた。雑に千切られた紙切れは、ゴミ切れとならずに、財布の中で、大吉のおみくじと並んでいる。前髪短くなった気がす
2020年7月10日 18:02
ポツリ、、、肌を滑る雨粒。ポツリ、、、揺れる睫毛。ポツリ、、、重くなっていく髪の毛。そっと、目を瞑ってあの日を思い出す。・・・・・・・その日も雨だった。朝から違和感があって、それは、肌の調子が悪いとか、前髪が決まらないとか、熱っぽいとか、そういった類のことではなく、じわじわと侵食していた灰が一面に染まり切った感じがした。放課後になるとそれは、濃く重く