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『光と私語』と微分方程式
人々がみんな帽子や手を振って見送るようなものに乗りたい/𠮷田恭大『光と私語』(いぬのせなか座・2019年)
今年の塔8月号に書評を載せてもらって以来、というか寄せる前からずっとこの歌集を読みあぐねていた。落武者のように総合誌やネット上の書評を徘徊し、何となく表面上の話は理解できても自分なりの解釈は得られずにいた。
引用歌。付録の栞文等で何度も目にした「特定しない」「あえてピントをずらす」「構
【完】黄道12星座ネプリ #こうどう を読みまくる(Team4)
こんばんは、拝田啓佑です。読みまくります。月丘ナイルさん率いるTeam4。(遅くなりました)
あかねさす七夕の空数光年離れた君へLINEを送る/若林芳樹
七夕の夜に、織姫-彦星間の距離を自分達に重ねている。心理的な距離か、それとも遠距離恋愛の喩でしょうか。ほんとに数光年離れてると、届くのも数光年後になっちゃいます。そんなこと考えてると、ただのLINEが宇宙との交信みたいに壮大なものにも思え
黄道12星座ネプリ #こうどう を読みまくる(Team3)
こんばんは、拝田啓佑です。読みまくります。千原こはぎさん率いるTeam3。
二十二時君とベットでひつじ色のシャドウを互いの瞼にのせる/尾崎七遊
「二十二時」「ベット」「ひつじ色のシャドウ」の具体物が自然に混じり合う。互いの瞼にのせる、とあるから女性二人がいるのかな。それも含めて一首通してやわらかい印象がある。アイシャドウになにか凝縮されていて、おまじないの儀式のように感じる。
回すほ
黄道12星座ネプリ #こうどう を読みまくる(Team2)
拝田啓佑です。読みまくります。かざなぎりん(杉谷麻衣)さん率いるTeam2。
鉄壁の鎧の隙間からのぞくウールマークが強そうである/ともえ夕夏
鉄壁の鎧を纏っていながら、中にはウールマークが付いているほどの質の良い服を着ている。真の強さは、外側の鎧よりもそういうところなのかもしれない。勝てなさそう。
牛乳にうっすら膜が張っていてダーリンずっと一緒にいよう/海老茶ちよ子
下の句が強烈。
黄道12星座ネプリ #こうどう を読みまくる(Team1)
タイトルの企画に参加させてもらいました拝田啓佑です。4チーム読みまくります。僕のいた、御殿山みなみさん率いるTeam1から順に。
眠れない子の枕辺を照らすため羊のまなこに三日月はある/志稲祐子
羊の黒目はほんとに三日月みたいに細い。その黒さが夜になると月となって光を放つ。眠れないのに消灯の時間が過ぎてしまって真っ暗。暗いとよけい眠れないのに。羊の目が照らすあかるさで本を読んでるうちに夢の中