『光と私語』と微分方程式
人々がみんな帽子や手を振って見送るようなものに乗りたい/𠮷田恭大『光と私語』(いぬのせなか座・2019年)
今年の塔8月号に書評を載せてもらって以来、というか寄せる前からずっとこの歌集を読みあぐねていた。落武者のように総合誌やネット上の書評を徘徊し、何となく表面上の話は理解できても自分なりの解釈は得られずにいた。
引用歌。付録の栞文等で何度も目にした「特定しない」「あえてピントをずらす」「構造による抒情」といったような彼の短歌に見られる技法を共通鍵にして語られる歌だ。この