被食系男子


僕ですか 二兎追えば二兎ともうちで飼い始めてしまうようなやつです


蛍光灯のもとにちらつく蛾にですら手を上げられない僕って一体


この心開けっ放しだとピーピーとアラームが鳴り冷気が逃げます


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だと駄々をこねうなずいてくれない扇風機


リーチインの棚のミルクティー湖の中ですやすや夢に浸かっているきみ


「こしあんとつぶあんどっちがいい?」顔をちぎるだけで十分だよヒーロー


笑う君 秒速二センチメートルで隣で静かに沈みゆく僕


光射す向きが変わればちぐはぐな僕らの影も重なったりして


眠らない街の野良猫凜として どうして僕たちあれになれない


結局は喰って喰われる御時世のサバンナの上を裸足で行く僕


#短歌

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