ひとっこひとり
道ばたのさまにならない空き缶は退くと寝込みに化けてでますよ
読みきると三才老けるという本を三割ほど読んだ君は二十歳
春夏と流るあなたを見ていると飛び出してしまいそう信号は赤
「嫌な奴だ 私はもう私がいやだ」いいから君の好きな色おしえて
実はこれ僕でしたなんておどけたいぼくはあなたの傘になりたい
通り雨に濡れたワイシャツ取りこんだ あの日の証拠はどこにもないよ
あのことは口には出すな僕らだけではなく世界の平和がゆらぐ
名も顔も知らぬばあさんのおはようの無差別テロでうろたえる朝
壁際のタンスのすきまに隠れてるあなたをおやつでほれと誘う
子どもの頃よく吠えられて厭だった犬も屋根まで飛んでは消えた
無機質なアナウンサーの声だけが響く次は誰の番だろう
ずかずかと人のこころに上がりこみどの一輪をも摘まずに去った
花と向かい止まるあなたを見て僕がまたかといってぜんまいを巻く
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