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またかなんて、思いたくないのに、

どうして、いつも同じ気持ちにさせるの。
あなたなら、もう大丈夫って安心してたのに。

またかなんて、思わせないでよ。

音楽スタジオで働く恋人は、しょっちゅう夜勤がある。仕事が終わって、寝るのは丑三つ時過ぎ。

だから、いつも私の休日に合わせて、午前から
会ってくれる所に、すごく感謝してた。

多少の遅刻くらい、逆にごめん、ゆっくりおいで
なんて、これっぽっちも嫌な気持ちにならない。

だけど、今日くらいは遅刻しないで欲しかった。

恋人になってから初めて行く、大きなイベント。
何ヶ月も前から、2人で楽しみにしていたよね。

髪色まで変えて、君と選んだカーディガンも着て
ウキウキで準備した私が馬鹿みたいじゃん。

ほら、もうリップの色落ちそうだよ。
ピンクのマスカラもアイラインも崩れちゃうよ。

夜勤だったから、連勤だから、疲れてるから、
なのに合わせてくれているのは十分知っている。

だけど、遅刻されるたびに、元彼の亡霊が耳元で
「ごめん、正直冷めたんだよね」なんて囁くの。

君が冷めたわけじゃないって、知ってるのに。

私、これからどうしたら良い?

ちゃんと、寂しかった、嫌だったって言うべき?

それとも、いつもみたいに「大丈夫だよ」なんて
余裕のある良い女のフリした方が良いのかな。

分からない。

分からないけど、好きだから、君の顔見たら、
すぐに許しちゃうんだろうな、きっと。

今日は、ちゃんと、顔見て言えますように。
もっと、風通しの良い爽やかな女に、なりたい。

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