NO.2の育て方㊶人材の抜擢
ウチにはナンバー2になれる人材などいない、彼には無理だろう、さまざまな理由をつけて部下に仕事を任せられない社長がいます。ところが任せてみると期待以上の働きをしてくれる場合があります。
今回は社内に埋もれている人材を見つける、そんな話です。
忙しいと感じている社長の悪癖にこれは自分にしかできないという思い込みで仕事を抱え込んでしまうものがあります。
社長をはじめベテランと言われる人に多い傾向かもしれません。
そういう人は一から十まで自分が直接関わらないと成果が出ない、教える時間があるなら自分で進めた方が早いと考えています。
何にもできない、知識がない人であっても大事な仕事を任せてみろということではもちろんありません。
素養がありそうな人、基礎力が十分にある人を選んで、関わり方を考えて、任せてみましょうという話です。
そもそも社長の仕事とは何でしょうか?
・経営戦略を考え、実行させる
・人材を育成する
これだけです。
事業運営に関する一切の責任を負うことだとして、社内にある仕事の全てに関与することだと思っているのであれば、無為な忙しさから抜け出すことはできないでしょうし、社長にしかできない仕事も疎かになるのは必然だと思います。
また、違う観点で言えば、社内にいる人材の働きぶりをまったく把握できていない証拠でもあることになります。
さらに言えば、優れた人材がいないとしたら採用をしているのは誰なのでしょうか。無能な人をわざわざ選んで雇用しているのでしょうか。
もちろんそんなはずないでしょう。
この業務に必要な経験や知識を持った人を選り分けて採用し、担当業務に就かせているはずです。
ところで、同じ業務を担当しているのに、他の人とは成果が違う。そんな人材がいたら担当業務をこなす以外の才能を持っている可能性があります。
周囲の協力を円滑に引き出すことがうまい、ミスすることが全くない、報連相のタイミングが常に適切である、仕事の優先順位の付け方がいい、など。
どれも目立つことではないことばかりですが、仕事のセンスや工夫が見え隠れします。
社長によっては見ているものは毎月の売上だけということもあるでしょう。
数字を分解して、何をどこまで分析するかは社長によって異なるかもしれませんが、部門ごと、担当者ごとくらいは見ているはずです。
数字は同じでもプロセスが異なる場合がある。こういう捉え方をしないとなかなか社内で埋もれている有能な人材を見出すことはできません。
当の本人が営業など数字が伴う仕事以外の職務ではさらに気が付きません。
ムードメーカーであったり、裏方として段取りを組むのが手際がいい、人のサポートが上手い、これらもリーダーシップを発揮するうえでは重要な才能です。
まだ若い、社歴が浅い、大した貢献をしている訳ではなかろう、もう少し現状の仕事での成果を観察しよう、そういう固定観念だけで部下を見ていると才能には気づくことはなく、大事な仕事を任せる機会は生まれません。
そしてある時、本人から退職したいという申し出があり、その後の業績の推移を見て、初めて有能だったことに気が付いたりすることもあります。
(やっぱり気がつかないことの方が多いかもしれません)
将来のナンバー2候補として社内を広く見渡した時に気になる人材がいる、
もしそう感じたら、一度じっくり話し合ってみたら良いと思います。
本人が前向きに一段上の仕事に挑戦したいと感じてくれたなら、思い切って任せてみることです。
そして、もしその本人が若く、社歴が浅いとしたら、仕事がしやすいように社長から支援をすることが重要です。
何らの支援もせずに、丸投げのように任せたところで、現場はその人材の指示など全く聞きませんから成果など上がりません。
「彼に任せた、彼が出す指示は自分が出した指示であることを肝に銘じて、従うように」と号令をかける。
このことを理解し、意識している社長はほぼいません。
丸投げして、成果が出ないのは所詮その本人の実力がその程度という認識なのでしょう。
もしくはそんな環境でも先輩社員などを率いて成果を出すのが本物くらいに思っているのかもしれません。
そうした仕事の与え方をしても無理です。
社長は社長なので自分の指示に従うのは当たり前でも、権限のない人間に対しては他の社員は表面的には協力的でも、全面的な協力などしません。
この現実をわきまえたうで、仕事がしやすいように支援しなければなりません。
前回の投稿でも、諸葛孔明の初陣に際して、関羽と張飛などの古参武将が命令を聞かないことを見越して劉備は剣と印綬を貸し与え、孔明の命令は絶対であることを示させたという話をしました。
・社長は自分で仕事を抱え込まない
・見込みのありそうな人材を社内で見つける
・話し合ってみる
・任せてみる
・仕事がしやすいように支援をしてやる
どうでしょう。難しいでしょうか?
最初から期待通りには成果は出せないかもしれません。
けれども本人が成果を出すことを簡単に諦めずにいて、自分の足りない部分の指摘とアドバイスを素直に受け入れて行動していけば、いずれ成果を出せる人材に育ちます。
小さな仕事で小さな失敗の経験を積ませてから、次第に大きな仕事を任せてみたら良いです。
ウチには有能な人材などいないと嘆く社長はやるべきことをやってない。
ただそれだけの話です。
頼りになる出来上がったナンバー2がある日自分の前に現れるということは
ありません。
社長は自分で自分に合ったナンバー2を見つけ、育てないといけないのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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