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今年をふりかえる

久しぶりの投稿です。あっという間に月日は流れ、気が付けば年の瀬になっていました。今年のことを少し振り返ってみます。 この一年は、大きな変化なく淡々と進む日々でした。体調を崩すことなく平穏に過ごせてありがたかったけれど、穏やかな日々の中でも、気持ちを揺さぶられてしまうこともありました。 このままじゃだめだと落ち込んだり、どこか別の場所へ逃げ出したくなったり。でもなんとか耐え忍んで、同じところに留まっていました。そこが自分の居場所なのだと信じて。 まわりにいる人たちには、な

    • 寂しさと、煩わしさと

      たまに、とてつもなく寂しい気持ち、に襲われることがある。 そういうときは、たいてい一日中、調子が乗らない。ぼうっとした頭の中に、ネガティブな思考がずっと渦巻いていて、なかなか追い払うことができない。 仕事を終えた帰り道、理由もなく泣きそうになる。今まさに、そういう気持ちなのだけれど、今日は、涙を溢さずに、その気持ちを言葉にしてみたいと思った。 もう何年も前から悩んでいる、やりがいを見いだせない仕事のこととか、職場でなんとなく感じる馴染めなさとか疎外感とか、でも他にどこで

      • 再会

        まこちゃんと初めて話をしたのは、去年の春頃のこと。 その日の彼女は、あまり機嫌がよくなくて、私に関心がなさそうだった。 まこちゃんと、彼女のお母さんと、私。 3人でいるのに、まるで私はいないかのように時間が流れる。私は、普段触れ合うことのない歳の離れた子どもに対する接し方がわからず、戸惑っていた。 まこちゃんは、東京生まれの、9歳の女の子だ。よく喋るし、よく動きまわる。自然が大好きで、いまは東京から遠く離れた、海のある街に住んでいる。 彼女は、普通の小学校に入学した

        • ある白鳥のこと

          子どもの頃、家族でよく遊びに行った公園がある。社会人になってからは足が遠のいていたけれど、しばらく仕事を休んでいたとき、私はよく母と一緒にその公園に出向いた。 当時の私は、からだの痛みにばかり注意が集中して、ぐるんぐるんと頭の中を駆け巡る思考に振り回されていたから、生い茂る木々の下を歩きながら、なんにも考えずに深呼吸をするのは気持ちが良かった。 何者でもない私。なんにもしない私。ただ、青い空と緑を眺めながら、新鮮な空気を吸って、息を吐く。それだけで、充分だった。 その公

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          ありのままでいること

          「後ろの席に座ってても、全く物音が聞こえてこないんだよね」 社会人になって、初めて参加した会社の飲み会で、いつも背向かいの席に座って仕事をしている管理職のおじさんから、こんなことを言われた。 私があまりにも静かで、あまりにも喋らないから、いるかいないのかわからない、と言いたいらしい。 あ、まただ。もっと元気に、もっと饒舌に、何かを発しなきゃいけない。自分の静けさを指摘されるたびに、そういう暗黙の圧力を感じとっていた。 ✦ 大学生のころ、私は、あまりにも喋らない自分の

          ありのままでいること

          好きを選択すること

          5月中旬、楽器屋さんの連なる、ある大通りを訪れたときの出来事。 私は、ウクレレかギターを始めたいと思っていて、実際に楽器を見るために、その大通りを散策していた。 まず、ウクレレ屋さんに入ってみる。 ウクレレを実際に触らせてもらうと、きれいなハワイアンな音色が響いた。楽しい。ウクレレは想像していたよりも小さい。初心者にとって始めやすい楽器だ。 続いて、大手の楽器屋さんを覗いてみる。 ここには、ウクレレもギターも置いてあった。 さっき聴いた音色によって、ウクレレに気持ち

          好きを選択すること

          ひとりでいること

          子どもの頃の記憶。学校の友達と遊ぶとき、みんなと交わらないで、ひとり口を噤んでいた。一緒にいるのだけど、そこにいない。ぼんやりと遠くの世界を眺めている。 私はここにいてもいいのだろうか。 どこにも所属することのできない、罪悪感のようなものをいつも感じていた。 学校の特別な行事のとき、特に、修学旅行のためのバスの座席を決めたりと、ふたり一組で何かをしなければならないとき、私はひそかに恐怖を感じていた。 相手が見つからなくて、ひとりぼっちで居残ってしまったら、どうしよう。

          ひとりでいること

          芽吹く希望

          色鮮やかな絵だった。空や星。海。花。春夏秋冬などの、さまざまなイメージが抽象的に描かれていた。くっきりと目に映える、さまざまな色が混じり合い、力強い輝きを放っていた。 彼女の絵を見ていると、私のモノクロだった日常に、ぱっと華やかな色が付いたように感じた。わくわくと、子どものように心が踊った。 先日、十歳年上の従姉妹に招待されて、絵の展示を見にいった。 明るく、知的で、社交的な彼女は、昔から私の憧れで、十年先の未来を歩く道標のような存在だった。いつもたくさんの人たちに囲ま

          芽吹く希望

          春めく

          実家の庭に咲く水仙は、わたしが一番好きな花だ。これみよがしに咲き乱れるその花を写真におさめ、まだ青くふっくらとした蕾を見ながら、ぼんやりと考えた。 暗く、長かった冬が終わる。 蕾のように閉じてしまっていたこころは少しずつほころびはじめ、まわりとの調和を求めている。 長いあいだ眠っていた頭が鮮明になり、こころは春めいてきた。 人とうまく繋がることのできない時期がしばらく続いていた。ひとり、ぷつっと、まわりの世界から切断されてしまったように。 人を気遣うことに疲れてしま

          人のためになること

          スペシャリストになりたかった。 資格を持って働いていた父が、私に向かってこう言ったのだ。 「ジェネラリストじゃなくて、スペシャリストになりなさい」「どこでするかじゃなくて、何をするかが大事なんだよ」 お父さんは、私が成人した年に亡くなってしまった。私が何の仕事に就いたのかも知らないままで。 ✡ 私は、父とはまったく異なる分野の仕事に就いた。専門的で、ちょっと特殊な世界。 働きながら資格をとるために勉強した。 なぜ資格をとりたいのか、これからどういう風に働いていき

          人のためになること

          私の書きたいこと

          noteを始めてみて改めて痛感しましたが、文章を書くのは本当に難しいですね。 いろいろと頭の中に考えはあるはずなのに、いざ書いてみようとすると、うまく表現できなくて、なんだか薄っぺらくなってしまうし、結局、何が言いたかったのかわからなくなってしまいます。 私が書きたいのは、主にこころのことで、それは誰かのために役立つことを伝えたいというよりは、自分のために感じたことや考えたことを書き残しておきたいからです。 私は言葉を口にするのがうまくなく、それ以前に、頭の中の考えがい

          私の書きたいこと

          漢方とその先生のこと

          漢方を飲み始めてから2年以上が経った。 漢方がどのくらい効いているのかは、正直なところよくわからない。けれども、本当に少しずつ、少しずつ、体調はよくなっているので、ちょっとは効いているのだろう。 からだには、もともと自分で治る力が備わっている。漢方は、こころとからだのバランスを取り戻す手助けをするだけなのだ。と、私の通っているクリニックのホームページに書いてあった。 私は、もともと薬を飲むのが嫌いで、風邪を引いたときも、できるだけ薬に頼らずに治してきた。そんな私にとって

          漢方とその先生のこと

          足るを知る

          新しい年がやってきましたね。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 私自身、昨年を振り返ると、環境が変わったり、新しいことを始めたりと、ゆっくりとしたペースではありながら、少しずつ前に進んでいることを実感できた、よい1年でした。 今年は、いろいろ欲張らず、いまある居場所に感謝して、いままであまり目を向けてこなかったもの、すでに私のまわりに存在するものに目を向ける年にしたいなと思っています。 今年の目標をひとことで表すなら、足るを知る、です。 これまでは、自分に足りない

          足るを知る

          与えること、奪われること

          私が心身を壊したとき感じたのは、私はまわりから何かを奪われている、ということでした。 もう奪わないで、放っておいてほしい。 からだがよくならなくて、感情のコントロールもうまくできないとき、ずっとそう思っていました。 一体、何を奪われているのだろう。 エネルギー、優しさ、愛…  言葉にすると陳腐だけれど、それは、私の中にある、形がなくて、あたたかいもの。私にとって、とても、とても、大事なものでした。 『愛するということ』の中で、エーリッヒ・フロムは、愛は与えることだ

          与えること、奪われること

          がんばらない

          世の中には、無意識のうちにがんばりすぎてしまう人間がいます。 朝起きたらまず(今日は何のゴミ出しの日だっけ…)と考える。仕事に行ったら、目の前の仕事に対して手を抜けない。人の顔色を窺っては(いまの発言、気に障っていないだろうか…)。仕事から家に帰る途中、(冷蔵庫の中に野菜が2日分あったからお肉を2日分買って帰ろう…)。家に帰ったら(明日は雨だから今日は洗濯しよう…)。友だちに会ったら(面白い話をしなくちゃ…)。 「頑張ろう」「頑張って」「頑張らないと」 ……そんなことは

          がんばらない

          言葉にするということ

          私は、話すことが苦手です。 いつから、どのようにして、苦手になったのかは覚えていませんが、幼い頃から、私は人とうまく話すことができませんでした。 いま考えても、どうしてなのか、わかりません。 話さなければならないと思うと、緊張して、ぐっと言葉を飲み込んでしまいます。 そんな調子でどんどん年齢を重ね、私は中学校を卒業するまで、家族以外の人たちと、まともに話をしたことがありませんでした。 部活動や修学旅行、青春時代の楽しい思い出。きゃっきゃ、きゃっきゃと小鳥の囀りのよう

          言葉にするということ