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「恐怖俳句」・・・怖さを詠みこむこと。


「怖い俳句」「恐怖俳句」「怪異俳句」などと呼ばれるジャンルがある。

五七五の十七文字に、不思議や怪異を詠みこむ、世界一短い怪談と言っても良いだろう。

有名な句人や作家も作っている。

例えば、

「狐火や髑髏に雨のたまる夜に」   与謝蕪村

「わが恋は人とる沼の花菖蒲」   泉鏡花

「流燈や一つにはかにさかのぼる」  飯田蛇笏
  
現代句でも、

「戦争が廊下の奥に立つてゐた」   渡邊白泉

「首をもちあげると生きていた女」  時実新子


など、考えさせる句が多い。


そこで、過去の自分の短編から恐怖俳句をひねってみた。


・直接的なもの

「忘れ物貸してと首のない幼女」

「踏切で血まみれの子が袖を引き」

「怪談会脅した子供がすうっと消え」


・ちょっと考えて怖いもの

「夜の墓地撮ったばかりの動画消す」

「今帰るメールを今日も亡き夫」

「振り向くな囁かれつつ墓参り」


・現代恐怖

「ナンパした女が越し来る隣部屋」

「『これでいい』棺桶の妻を見て男がつぶやき」


「惚れた数から事故死を引くと、あとは女房が残るだけ」


最後のは都都逸であるが、
言葉の向こうにあるものを考えるとやはり怖くなってくる。

結局は人が一番怖いのかもしれない。







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