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「闇の中の愛と苦行」・・・批判を許しますか、許しませんか?



『闇の中の愛と苦行』


「批判を許さないのは、もはや政治ではなく信仰である」
という言葉があります。

それと同じようなことが、映画や演劇の世界にはよくあります。

先日、後輩のA君とB君が同じく後輩のC君に向かって、

「自分たちが大好きな映画監督の新作作品を貶すな、貶すなら見るんじゃない!」

と憤っていました。

ところが後日、A君とB君が連れだって、その監督の新作映画を観た時、
二人ともがっくりと落ちこんでしまったのです。

「面白くない・・・」

「駄作だな・・・」

二人はとてもショックを受けたようです。

A君は、

「でもあの監督の作品なんだ。Cが貶すのは間違っている。
明日、Cの前では面白かった、と言おう」

と熱く宣言し、B君も、

「ああ・・・」

と、一応の同意を見せませしたが、心の中は複雑でした。

「Aはこう言ってるけど、やっぱり今回の作品はつまらなかった。
それは変えられないからな・・・」

A君への忖度と、自分の感覚の狭間で苦しんだそうです。

結局、B君の出した結論は、

「歴史に残る大監督でも、全てが名作という訳ではない。
駄作も傑作もある。大監督なら、冷静に観客の声を聴くことが出来るはず」

そして翌日、A君がC君に向かって「面白かった」と言ってしまう前に
B君は頭を下げて、素直に自分の感想を言いました。

「面白くなかった」

梯子を外された形のA君が怒るかもと思っていたのですが、
大丈夫。怒りませんでした。

「実は俺も、自分の感想を曲げてまで、
あの監督を守る事は無いな、って思ってたんだ。
批判を許さないのは、もはや映画ではなく信仰だよ」

とB君と一緒にC君に頭を下げました。

その後は、3人で、

「あそこがおかしい」

「あの場面が変だ」

「ここだけは良かった」

などと大いに盛り上がったそうです。

失敗作があるから、名作が光る。
まさに傑作は幸福な時間を作り、駄作は会話の時間を作る
という状態でした。


ところで、先日、私も同じような事がありました。
昔から好きだったシリーズの新作映画を観たのですが、
劇場で眠気を押さえるのが難しいほど退屈でした。

もはや鑑賞というより『苦行』。

入場料というより、『お賽銭』と言った方が良いな、思いながら
最後まで我慢して観続けていたのでした。

              おわり




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