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「十六夜に月光が舞い時計が笑う」・・・怪談、未完の連載小説



『十六夜に月光が舞い時計が笑う』

楽しみにしていた連載小説や連載漫画が、突然終わってしまう事がありますよね。
夏目漱石の『明暗』や尾崎紅葉の『金色夜叉』などは一般にも知られていますが、
出版関係者の間で有名な未完の小説があります。

この小説は、読者に文学界の話題を語り掛ける形で始まり、
不思議な世界観で純朴な恋愛物語が展開します。

しかし、この作者「A」が嫉妬に狂った浮気相手に刺殺され、連載途中で亡くなってしまったのです。
愛妻家として知られていた作家が痴情のもつれで亡くなった作家の純愛小説では
不倫も許されない不謹慎狩りが横行するご時世では世間に受け入れられない、と考えた出版社は、作者が亡くなったことを隠し、
別のベテラン作家「B」にゴーストライターを依頼しました。
Bは、残されていたAの草稿を元に、『十六夜に月光が舞い時計が笑う』の続きを執筆、完結後、Bが後を引き継いだことを発表するという事を条件に、完結まで書き上げることになったのです。

ところが、その作家が続きを連載し始めて二ヶ月後、小説の人気も上がり始めていた頃、
Bが急性心不全で亡くなってしまったのです。

他の雑誌でも連載を抱えていたため、Bの死はすぐに発表されましたが、
『十六夜に月光が舞い時計が笑う』は出来ません。
その人は表向き書いていないのですから。

そこで再度「C」という新人作家に続きを依頼することにしました。

Cは新人賞で佳作に入って以来新作が書けず、生活に困窮していたので迷うことなく快諾。

連載は何事も無かったように再開したのですが、
なんと半月後。今度はCが交通事故で急死、しかも出版社も不況のあおりを受けて倒産してしまったのです。
結局、『十六夜に月光が舞い時計が笑う』は未完のまま、原稿もどこかに散逸してしまいました。
それからしばらくしてネット上に、まことしやかにある噂が囁かれ始めました。


ある死亡した作家の未完の作品がネットに上げられている。
その作品は、誰かが続きを書くことを待っている。

そして、その作品を読んで続きを想像した人間は、
作品に命を奪われるように、数日後に亡くなってしまうとか。

それを回避する方法は、、、、あ、ああああああああああああ。


         未完

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