偶数2(ぐずに)

はじめまして。 「きまぐれ文筆家 偶数2」という屋号で作家業をしてます。amazonに…

偶数2(ぐずに)

はじめまして。 「きまぐれ文筆家 偶数2」という屋号で作家業をしてます。amazonにて短編小説集二冊販売中です。販売ページ→ https://www.amazon.co.jp/dp/4815013985

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

はじめまして、ぐずにです。

初めまして、偶数2(ぐずに)です。 自己紹介を書きます。 偶数2が生まれるまで幼いころから私にとって友達は本でした。学校でいじめられた時、スパルタ教育の両親の元、成績が悪くなって家から追い出されるんじゃないかという恐怖に怯えていた時、本は辛い現実を忘れさせてくれました。寄り添ってくれました。 想像の世界に刺激された私はある日からこんな事があったら楽しいなぁ、こんな事があったら嫌だなぁと日常生活の中で空想が広がるようになりました。こんな世界が見えた!と宝を見つけたようにそ

    • ロケットマン(ネタばれあり)

      ロケットマン(2019年 デクスター・フレッチャー監督 主演:タロン・エガートン ジェイミー・ベル リチャード・マッデン等) ★ネタばれありますので気をつけてください!想いが溢れて書いてしまいました(汗)知りたくない方は観終わってから読んでください。 とある事情で会社を一週間休む事になった。今までは一週間も休みがあるなら海外旅行に行っていた。が、現在コロナ禍の為、遠出はできない。どっぷりハマってしまいそうで今まで避けていたamazon prime についに入会。気づけば深

      • 放浪記

        放浪記(1962年 成瀬巳喜男監督 出演:高峰秀子 田中絹代 宝田明 加東大介等) 「放浪記」と言うと大半の人は森光子がでんぐり返しする場面(舞台版放浪記)を思い浮かべるようですが、今回紹介するのはでんぐり返しじゃない方の映画版「放浪記」です。 今作は林芙美子の自伝的小説「放浪記」が原作です。古典文学にありがちな貧しいながらも清く正しく健気に頑張る主人公は出てきません。主人公ふみ子は猫背で近眼、いつでもつまらなさそうな表情で、生意気だから仕事はすぐにクビになるし、何かと彼

        • 恋人たち

          恋人たち(2015年 橋口亮輔監督 出演:篠原篤 成嶋瞳子 三石研等) あなたはなぜ映画を観ますか?現実逃避?または今何か辛い事があって、乗り越えるヒントが欲しい?映画には色んな楽しみ方があると思います。甘いお菓子のような夢の世界もいいでしょう。ですが、そればかりが映画ではないと思うのです。 今回紹介する映画「恋人たち」はフィクションなのにより濃度の濃い現実をまざまざと見せつけられるような作品です。監督自身がうつ病や、前作「ぐるりのこと」が大ヒットしたにも関わらず、信頼し

        • 固定された記事

        はじめまして、ぐずにです。

        マガジン

        • 映画評
          4本
        • 空想インタビュー
          1本
        • 自己紹介
          2本
        • エッセイ
          4本
        • 小説
          1本
        • 1本

        記事

          もう頬杖はつかない

          もう頬杖はつかない(1979年 東陽一監督 出演:桃井かおり 奥田瑛二 森本レオ等) 白いカーテンから指す光はやんわりと重い。女はずっと窓の外に意識が向いている。隣には好きな男がいるはずなのに。 本作は1978 年、早稲田大学文学部の学生だった見延典子が卒業制作で書いた小説が原作です。発表されるやいなや「これは私の事だ」と同世代の女性から多くの共感を得て、50万部のベストセラーになりました。 主人公のまり子は売れないルポライター恒夫と将来有望な同級生橋本君の間で揺れる女

          もう頬杖はつかない

          易で私は変わりました(いそうな人インタビュー)

          瑞樹先生と出会ったのは、一年前です。  工場の嫌いな女に私の口癖の「死ねばいいのに」を聞かれて、唐揚げのラインからポテトサラダにまわされたあたりですね。ポテトサラダは唐揚げより難易度が高いんですよ。で、その女が「マジ、勘弁だわ。他の人の事も考えて動けっつーの」と聞こえるように言ってきましてね。  もう腹が立って腹が立って仕事終わったら速攻この怒りを晴らさぬでおくべきかと彼氏に電話したんですね。そしたら奴が「だから?・・・・お前、本当に自己中だよな」ってそんな感じのこと言っ

          易で私は変わりました(いそうな人インタビュー)

          目が覚めて、さぁどうする。

          古いフォルダを開いたら8年前に書いた文章が見つかった。当時勤めていた職場の会報向けに書いたものだ。8年半私は埼玉で暮らし、6年前に実家のある熊本に帰ってきた。以下はその文章。 ::::::::::::::::::::: 「変わらないね」と言われると落ち込む。 私の中では「変わらないね」イコール「成長してないね」だから。 「変わらなければ」と半ば強迫観念のように思っている。気を抜くと自分はすぐにでも路頭に迷う生活能力のない人間だと思っている。ので、変わらないと生きていけな

          目が覚めて、さぁどうする。

          忘れなかった音楽

           忘れられない音楽は普段耳にしなくてもふとした瞬間に口ずさむ。無意識に脳裏に残っている。こびりついていて、脳内ジュークボックスが状況に応じて選曲する。  小学生の頃、夕方に放送されていた「丸出だめ夫」というアニメが好きだった。のび太をさらにやぼったくした「だめ夫」に発明家の父が作った家事のほかには特技もないロボットの「ボロット」が日常の小さな出来事、事件を解決していく。ドラえもんの二番煎じのようなアニメだったが、わかりやすさ、ゆるさが夕食前のけだるい時間にぴったりだったのだ

          忘れなかった音楽

          【エッセイ】夏の日常

          夏の昼が嫌いだ。本を読んで、寝て、その繰り返し。  夏の夜が好きだ。ベランダで深呼吸して出かける。電車や車の光を追いかけるように自転車で河原へ出かける。夏の草のにおいが好きだ。心に水が流れていく。  国道沿いを走りながら妄想する。いつか緩やかな丘の頂上にある家に住み、窓を全開にして、八畳くらいの部屋に寝っころがって天井を眺めながら伴侶となる人とあれこれ話してみたい。できればくだらない事の方がいい気がする。イメージとしては私の好きな映画「ぐるりのこと」のラストシーン。  

          【エッセイ】夏の日常

          【短編小説】四月の海

          寝るには早く、出かけるには遅い21時、今日もパッとしなかったなとぼんやりしていると、突然携帯が鳴った。ロクさんからだ。 「これから海に行くんだけど、お前来る?」 ロクさんの誘いはいつも唐突だ。けれどそのタイミングは見計らったかと思うくらいたいてい暇を持て余している時なので断れない。電話を切ると萎んだ心がむくむくと期待で膨らんでいくのを感じる。今日の夜は楽しくなりそうだ。 15分後にピピッとクラクションが鳴る。ロクさんのハイエースが着いた合図だ。部屋の扉を開けると夜風がす

          【短編小説】四月の海

          【詩】腹は減る

          人生において大半の時間はじりじりと早く過ぎてくれないかなとやりすごしてあれもやりたいこれもやりたいと思っていたことは大抵忘れてぼんやりとした脳内は霧の湖上で延々ボートを漕いでいるようなまどろみを持って放れず自分が何をやりたかったのかを思い出すことに疲れて二度も三度も寝てしまってだいたいそれらの夢は罪悪感からか悪夢でじっとりした汗で体が冷えてああ寒い寒いと外へ出る。 と辺りはぼんぼりぼんやり暗くて子ども達は公園で今日最後の鬼ごっこをして部活帰りのジャージ姿の中学生カップルは犬

          【詩】腹は減る

          【エッセイ】高校生の恋愛

          高校生のころの話である。 ある日、別れた彼氏に話がある、と呼び出された。 彼とは私が高1、彼が高3のころに同じ部活で出会った。「バトルロワイヤル」という今思えばデートにはなり得ない映画に誘われたことから付き合いが始まった。 私は初めての彼氏だったので、浮かれて美容部員の従妹から服を借りてデートに臨んだが、やって来た彼はケミカルウォッシュのジーンズを履いてシャツをインしていた。それは思春期の私には並んで歩きたくないくらいダサくて嫌だったが「俺は足が長いのが自慢だからこうし

          【エッセイ】高校生の恋愛

          【実話】貝を焼く人になりたかった

          「貝灰って知ってますか?」 と聞かれたのは2014年の夏。知り合いの建築会社社長からあなたにぜひやってほしい仕事があるからと呼び出された。 貝灰(カイバイ)とは貝を焼いたもの。漆喰の材料になる。一般的には漆喰の材料は石灰(せっかい。イシバイとも読む)だ。だが、かつては貝灰が主流で、貝灰の方が調湿性、防臭性に優れ、なにより白さが映えると、日本の名城には貝灰漆喰が使われている。熊本城もそうだ。しかし温暖化の影響で貝の漁獲量が減り、貝を確保できなくなったこと、漆喰を使う家が減った

          【実話】貝を焼く人になりたかった