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ぐん税ニュースレター vol.46 page03 -マーケティングコンシェルジュ-

前回の記事では戦略策定のアプローチについてポジショニングベース型とリソースベース型の解説をしました。そしてどちらも経営資源が重要になります。今回はその経営資源の要件を分析するためのフレームワークであるVRIO分析について解説します。

前回の記事

VRIO分析

例によって頭文字を合わせてVRIO(ブリオ)分析と言われていますが、4つの要素の頭文字からなっています。基本的にすべて文字通りの意味合いです。

Value・・・経済的価値
その経営資源に経済的価値があるか?

Rarity・・・希少性
その経営資源に希少性はあるか?

Inimitability・・・模倣困難性
その経営資源は模倣されにくいか?

Organization・・・組織能力
その経営資源を組織で活かしていく体制があるか?

このフレームワークのポイントはすべて問いかけになっていることです。これを順に問いかけて全てにYesと答えることができれば、その経営資源は最大活用され持続的な競争優位を築くことができるとされています。

1つ目の問いかけ「その経営資源に経済的価値があるか?」にYesと答えられない場合は「競争劣位」となります。経済価値がなければ誰も欲しがらないので当然ですね。経済価値とは外部環境、つまりSWOT分析でいう機会と脅威の変化に適切に対応できるかどうか、ということです。さらに外部環境は技術革新、経済状況、政治、国際情勢といったマクロ経済環境によって変化すると考えられており、それらが競争状況や商流、代替品、新規参入者といったミクロ経済環境に影響を及ぼすとされています。こうした経済環境の変化からニーズが生まれ、それらに対応する価値を生む経営資源が必要となります。

2つ目の問いかけ「その経営資源に希少性はあるか?」にYesと答えられない場合は「競争均衡」となります。経済的価値があるだけで希少性が無い場合には、競争することはできても優位に立つことはできず均衡に留まるということです。レアリティは私達にとっても馴染みにある単語ですのでイメージがつきやすいと思いますが、需要はあるけど手に入りづらいものです。

3つ目の問いかけ「その経営資源は模倣されにくいか?」にYesと答えられない場合は「一時的競争優位」となります。経営資源に希少性があったとしても、それが模倣されてしまうと競争優位に立てたとしても一時的なものになってしまうということです。よく新商品が出てそれが人気になると、それを真似た商品や廉価版などが次々に登場することがありますが、それは模倣困難性が無いためです。一般的にはマニュアル化したり標準化したりするなど形式知化できるものは模倣されやすいとされています。一方で熟練した技術者のスキルや知識といった暗黙知は模倣されにくいとされています。

4つ目の問いかけ「その経営資源を組織で活かしていく体制があるか?」にYesと答えられない場合は「持続的競争優位」となります。模倣困難な経営資源があれば持続的競争優位と言えますが、その模倣困難な技術や属人化してしまったノウハウなどを持つ人材が退職などでいなくなってしまうと競争優位性が無くなってしまいます。よって模倣困難な経営資源が組織的に管理されることで「競争優位の最大化」を築くことができます。特許などは経営資源の模倣を防ぎ組織的に管理するために有効です。

VRIO分析は比較的使いやすいフレームワークです。自社で新商品や新規事業を考える時に自社に都合の良いように考えてしまったり、主観的に物事を考えたりしてしまいがちです。新商品や新規事業というものは、いくつか思いついてもVRIO分析をしてみたら希少性がなかった、模倣可能なものだった、というのはよくある話です。VRIO分析の問いかけに全てYesで答えられたとしてもそれはゴールではなくスタートであることにも注意しておきましょう。新商品開発や新規事業立ち上げにおいて、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティング 原


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