つれづれ近況報告(写真スタジオ編)

この頃の私は
産まれの故郷へ帰郷し
神社の境内にある写真室で働くこととなった
しかしあくまで本業は画家である
作品制作を進めては油絵具を乾かし
乾く間に金を稼ぐ
それを今3週間ほど繰り返している
職場がほど近く
どこぞの誰とも知らぬおっさんと肌をくっ付けて
揉み合いになりながら悪臭に耐え乗る電車などの
公共交通機関を使わずに出勤できるのが何より良い
前職の美術館よりかは遠く
覚えることも業務内容も膨大であり
長期の休みもないが
田舎にしては給料も良く
バタバタと慌ただしく忙しなく動いていれば
あっという間に時間は過ぎる

元来子供はあまり好かない性分ではあるが
この職に就いてからは
いっとう子供と接するようになった
学生時代から子供は苦手だと言いながら
履歴書に書ける内容欲しさに
何かと子供と接する活動にばかり手を出して
参加していたため
自分で思っていたよりかは接し方に慣れていたことに
我ながら驚いている

子供はより嫌いになったように感じられる

日々こんな短期間のうちに増えていい量ではないほどの衝撃とトラウマが
次々と更新されていく
職場のベテラン先輩方は皆どこ吹く風だ
きっとこうやって人は強くなっていくのだな
と頭の片隅でうすらぼんやり思った

正直
今のこの暮らしには何も感じていない
毎日が新しい生活でまだ必死の範疇であるため
というよりかは
東京でのアレコレが功を奏し
ちょっとのことでは動じないまでに
心が鍛えられ慣れてきているのかもしれない
とにかく精神的にも肉体的にも
トラウマや疲労は当然あるが
耐えがたき苦痛や辛さは今のところあまり無いので
今を生きて活発に動き
日々に食らいついていくしかあるまい
とは言うもののこの職場は
店長も1週間ほど北海道旅行に行くような所だ
気兼ねなく休み遊びながら暮らすつもりである
息抜き
ガス抜き
力抜き


《余談》
上で述べた衝撃とトラウマの一例↓
・出張で伺った新生児の記念撮影にて
対面することとなった口唇口蓋裂の赤子。
これが今のところ圧倒的トラウマ1位。
片鼻と上顎が繋がってしまっていて
人中も三口状に裂けプレデターのようだった。
鼻がうまく機能していないためか、
常に裂けた唇をクパクパ動かしながら
「カシュー…カシュー…」と呼吸しており、
メイドインアビスのナナチの親友が脳裏をよぎった。
ホラゲーやメイドインアビスなどよりも
現実の方がグロ耐性無かったらしく、
街中で赤子を見掛けるとフラッシュバックして
だいぶしんどい。
この文章を読んで想像してしまった人も
トラウマの道連れになるがいいさ。
立ち会いに来たその子の祖母が
「手術したらまたお写真撮ってもらおうね〜」
と話し掛けていたので、
口唇口蓋裂が無事治ってから
またご来店されることを祈っている。

・私は容姿に弱いらしく、
口が常に△(三角)で閉じられず、
目も離れた状態でトロンとしていて
一昔前のアニメ等で表現される
「何も理解していない顔」のような顔面の
七五三で訪れた3歳の女の子もトラウマになった。
しかも、全くこちらの言う事を聞いてくれず、
アンパンマンの人形で気を引いてみたら
気が引き過ぎてどんどんカメラに近づいてきてしまい
撮影が難航した。
その顔で近づいて来ないで欲しかった。

・何年も遠方から通ってくるという常連家族。
事前に聞かされていない要望を、
バンバンその場で言ってくる。
更に事前に言っていた要望ですらも
その場で変更したいと言ってきた。
小道具も自分たちで持ってくるし
こちらは何も準備できない。
自由すぎる。
その家族が来店する前に店長と先輩カメラマンが
「ぶっちゃけもう来ないでほしいんだよね…」
と零した理由が嫌というほど分かった。
毎年同じメンバーで撮っていれば
カメラマンのネタも尽きるし、
こちらで事前に一生懸命ネタを捻り出して用意しようとも、
ぶっつけ本番での要望が多すぎて
ほぼ無碍にされる上、現場に混乱を招く。
母親の「アレもやりたいコレも撮りたい」の嵐に加え、
子供も絶望的なまでに言う事を聞かない。
通常30分~長くて1時間で終わる撮影が2時間半かかり、結果みんなの昼休憩が午後3時過ぎとなった。
私はアシスタントとして撮影を見守っていたのがほとんどだったが、
撮影時間が1時間半を超えたあたりで
もうすっかり心が折れていた。
粘り強く撮影に専念し続ける先輩カメラマンを
心底スゲーと思った。
これがプロや。

また個人的衝撃とトラウマが増えたら、
誰かを道連れにしたい一心で記述するかもしれない。
以上、余談でした。

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