見出し画像

シキ プロローグ「今」


あらすじ

美山みやましきはただの普通の高校生。小学生の頃は絵も上手く勉強も出来て周りからもてはやされていたが、年齢があがるにつれてその世界の広さを知り、挫折を味わっていた。さらに高校生になってからは忙しい日々の中で自分のことをするのに精一杯な生活でかつて目を輝かせて見ていた世界を見れなくなっていた。そんな中、ただの趣味でぶらりと広く小さな世界を写真に収める古都ふるいち貴嗣たかあきやいつかは世界を描きたいと前を向く空知そらち詩季うたとの出会いを通して、また少しずつ背筋を伸ばし、前を向いて人生を歩いていく。これは彼女の少し暗く、でも希望を持った明け方のような少しの人生のお話。


プロローグ「今」

 「シキさんは今回も満点でした!みんなもシキさんをお手本にしましょう!」

 小学生の時は毎日の授業が楽しかった。
 テストではいつも百点が取れて、先生からもみんなからもちやほやされていた。
だから頑張れたし、なんならテストが楽しみだった。
 特に図工の時間は頑張った。
 成績がいい上に学年で一番絵が上手いときたらその反応はとてもいいものだった。賞状を貰うたびに私は誇らしかった。
幸い私の通っていた小学校はみんないい人だったので妬みなどは目の届く範囲では無かったのも大きかったように思う。
 「将来はビダイに行ってガカサンかねえ」「いやいや、ダイガクでケンキュウよ!」なんてよく言われたものだ。
 だが今の私はどうか。
 中学校でも成績は上位を維持していたものの、高校に上がればただの平民になる。
 部活動も中学の美術部ではいわゆる「天才」にこてんぱんにされて幽霊部員に。高校では当然美術部なんて入らなかった。
 かつてはその手で美しい世界を描かんとしていた私は自分がいかに狭い世界で生きていたかを痛感させられていた。
 今では普通の人だ。
 きっとこのまま普通に生きて普通に死ぬ、特別なんて、私には才能が無い。
 私は今までの人生で「上手くいくこと」はそんなにないということを学んでいた。
 そんなに、というのは「人によって」とうことだ。
これが大人になるということならそうなのだろう。
 そして自分を見つけることが出来る人を本当に尊敬する。
特に学生時代になにか自分の中を奮い立たせることを見つけられる人は凄い。きっとそういう人はその後もどうにか上手くいくのだと思う。
 さらに自分がしっかりとある人も本当に尊敬する。
 芯があるといった人も凄い。私は「私なんて…」と思ってしまうのだから。
 だから今日も私は与えられたポジションで心の内を隠してその役職を全うする。
 私がいつに生まれていても、きっと私は今と変わらない。


第一章「春風駘蕩」
第一話:シキ 第一章「春風駘蕩」第一話|逆倉青海 (note.com)
第二話:シキ 第一章「春風駘蕩」第二話|逆倉青海 (note.com)
第三話:シキ 第一章「春風駘蕩」第三話|逆倉青海 (note.com)
第四話:シキ 第一章「春風駘蕩」第四話|逆倉青海 (note.com)
第五話:シキ 第一章「春風駘蕩」第五話|逆倉青海 (note.com)
第六話:シキ 第一章「春風駘蕩」第六話|逆倉青海 (note.com)
第七話:シキ 第一章「春風駘蕩」第七話|逆倉青海 (note.com)
第八話:シキ 第一章「春風駘蕩」第八話|逆倉青海 (note.com)
第九話:シキ 第一章「春風駘蕩」第九話|逆倉青海 (note.com)
第十話:シキ 第一章「春風駘蕩」第十話|逆倉青海 (note.com)
第十一話:シキ 第一章「春風駘蕩」第十一話|逆倉青海 (note.com)
第十二話:シキ 第一章「春風駘蕩」第十二話|逆倉青海 (note.com)

第二章「夏雲奇峰」
第一話:シキ 第二章「夏雲奇峰」第一話|逆倉青海 (note.com)
第二話:シキ 第二章「夏雲奇峰」第二話|逆倉青海 (note.com)


ぐんぐんどんどん成長していつか誰かに届く小説を書きたいです・・・! そのために頑張ります!