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急ぐ必要のない理由をつくっていこう

こんばんは、灰色の夜です。

街がきらびやかな宝石箱へと変わる今日この頃、
皆さんいかがお過ごしですか。

夢を見させてくれない厳しい寒さが、現実を突きつけてくるようで、僕は冬が好き。
そのくせ温かいベッドの中では夢が見れてしまう。
そんな矛盾も僕の大好物だ。





「今年ももう終わりか」
「この間まで、お正月だった気がする…」
「忘年会どれくらいある?」

毎年の風物詩的な、ありきたりな会話。

車はエンジンブレーキが効くけど、人は一定のスピードで進む傾向がある。正確には無意識に同じペース、同じ時間軸で進めてしまう。

そして必ず「あっという間だった」と、ぼやく。
いつか人間はそういう生き物だって定義されそう。

誰しも時の流れは平等であるにも関わらず、
「南国でゆったりとした時間を過ごしたい」とつい口走ってしまう、この現象が何よりもの裏付け。


土壇場で言いかけた言葉、果たせなかった約束、行き場のない後悔の集積。

もっと時間をかけたり、向き合う時間を確保できていれば、変わっていたかもしれない結末。
無意味な"たられば"は、本当に"無意味"そのものでしかない。
心当たりのある人は一定数いるんだろうね。





街中を見渡すと、なんで急いでいるんだろうと思う事が多々ある。
(12月で年締めが近いから?)

例えば、休憩や息抜きのために吸う1本。
慣れや習慣化の影響なのか、やたら吸うペースが速すぎる人を見かける。

例えば、最短到着を計算しながら小道を進むタクシー。
大通りの方が景色も良いし、信号待ちの人間観察はすごく楽しいのに。


先日、渋谷という目的地だけ決めた後、あえて各駅停車に飛び乗った。

普段なら途中駅で特急や急行に乗り換えるのだけれども、なんだか疲れてしまった。
せっかくなら各駅停車に乗る理由でもつけようと思い、"以前買った小説を読み進める"という取って付けたような理由にしてみた。

その結果、わずか数十分の差なのに急がないだけで気分が全く違った。
混んでいる電車でしょうもないSNSを垂れ流すよりも、"急がない移動"の方が、何故か心がスッキリと晴れてしまった。

そこで初めて、
いつも乗り換える事によって無意識に急いでいた事に気付いた。

"急ぐ必要のない理由をつくっていこう。"

そう深夜ラジオが教えてくれてから、
ほんの少しだけ肩の力が抜けた気がした。

日常の中で、実は意味もなく急いでいる事が多い。
別にそれで良いのかもしれないけど急がなくなる事で、
例えば「水面に映る夕日の美しさ」みたいに、普段は気付けない事に遭遇する事もある。
そして人はそれを仰々しく「発見」とか言ったりもする。


生き方もきっとそうで、
僕らは"ゆっくりと急ぐ"という矛盾を抱えながら、何かに一喜一憂して、終わりへ向かっていく。


要領悪い、良いじゃないか。
格好悪い、良いじゃないか。
それでも世界は素敵なもので溢れているんだから。


一足はやいけど、メリークリスマス。
素敵な聖夜を過ごせますように。

それでは良い夜を。

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