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【はじめての広報・PR】 コミュニケーション活動の第一歩を 「なぜ? 誰に? 何を? どうやって?」で考える

こんにちは。ごさとです。
今回は僕が「広報・PR(というより事業活動全般)で一番大切なのでは?」と思っているフレームワーク “コンセプトモデル(Why / Who / What / How)” について、僕の失敗経験や事例も交えてお届けします。

● 「型破り」と「形無し」の違い

本当は「取材を呼び込むプレスリリースの書き方」とか「メディアを攻略する方法」とか「エンゲージメントが高まる社内報の作り方」なんかを書いたりすると喜んでもらえるんじゃないかなぁ、と思っているのですが、ちょっと我慢です。。

なぜかというと、伝統芸能などで言われる「守破離」の「守=守るべき “型” 」が身についていないような状態では、新しいことに取り組もうとしても「型破り」ではなく「形無し」となってしまうことの方が多いのではないか。

それと同じく「古くからある定石」や「普遍的な考え方」を基礎に、自分の組織の現状(扱う情報や使えるリソース)を当てはめ、今できる最善策を講じるべきではないか。

古臭い考えのように見えてしまうかもしれませんが、これが失敗しないために一番重要なのだと僕は思うのです。

● 広報・PRでよくある失敗

これまでの経験上、多くのコミュニケーション活動の失敗事例に当てはまるのが、単純なこのパターンではないでしょうか。

コミュニケーション活動の失敗例

【発信者】
発信したいテーマを、自分たちの語りたい内容と言葉で、ストレートに発信
【受信者】
その情報がなぜ自分に届いたのか理解できない、興味を持ってもらえない

「読み手不在」の状態と言いますか・・・

僕もキャリアが浅い頃、きちんと精査せずにプレスリリースを送った後、メディアから「ウチの媒体読んでるのか?」と怒られたことがあります。
(媒体で扱うテーマとプレスリリースの情報がマッチしていない)

クライアントから渡された情報がWebサイトに書かれていることのみで、それでも「メディアに行け」というので訪問したら「ADでも探せる情報持ってくるな!」と席を立たれたこともあります。
(ニュース性や独自性がなく一般的に周知されている情報しかない)

メディアも、番組や記事の先にいる “視聴者や読者” を楽しませたり、新しい気づきを与えたりすることが仕事なので、扱う情報に対しては非常にシビアです。

● “Why” からはじめる

そんな多くの失敗を経た僕が、チームメンバーと一緒に企画を考える時の手順を整理すると次のようになります。

コミュニケーション活動の検討手順

①Why:コミュニケーション活動の目的やゴール
どのような状態になっていることを目指すのか(認知を広げたい、資料をダウンロードしてほしい、会員登録してほしい、購入・利用してほしいなど)
②Who:伝えたい相手
情報を喜んで聞いてくれそうな具体的なイメージ(どんな関心、困りごとや悩み、解決したい課題を持っているか)
③What:伝える内容
相手に喜んでもらえる理由(関心・困りごと・悩み・課題への理解、解決に役立つ根拠)
④How:伝える手段
“PESO(Paid / Earned / Shared / Owned で「ペソ」と読む)” での分類方法(タッチポイントや情報流通経路)

大切なこととして一番最初に “Why” を持ってきているのは、目的と目標が違えば、それに必要な準備も異なるからです。

「海水浴ではなく登山をしよう(目的)」と考えた人が「富士山に登ろう(目標A)」と「高尾山に登ろう(目標B)」のどちらを選ぶのかで、スケジュール、持ち物、コンディションなど多様な変数が生じます。

それと同じく、ゴールをどこに置くかによって、考慮すべき事項やプロセスが変わってきますので、まずはそこからきちんと設定した方が良いのです。

● 「誰に? 何を? どうやって?」の順番で考える

次に重要なのが “Who” です。
プレスリリースでも、社内報でも、Webサイトでも「その “読み手” をどれだけ具体的にイメージできるか」によって、書き方も反応も大きく違ってきます。

よくある “ペルソナ(顧客イメージ)” のような「最大公約数」を意識したものではなく、例えば自分の家族や友人、少し疎遠になったけれど昔はよく会っていた人など「この話を喜んでくれそうな身近な人」に近い感覚です。

その人を思い浮かべた後には、次の問いを考えてみてください。

「なぜ『その人は喜んでくれそうだ』と思ったのか?」

そう思い至った “背景” が具体的になるほど、その人にあわせた “伝える内容” と“伝える手段” が考えられるはずです。

例えば、この『はじめての広報・PR』を書いている時、僕と同じく異業種から広報・PRの世界に転職した後輩、異動されたクライアントの方、これから成長して各自のキャリアを築いてほしい若手を “Who” として想像しています。

僕自身が感じてきたことですが、コミュニケーションにかかわる仕事は「職人芸」「経験こそがものをいう」位置づけとされ、体系立てて進め方などを教えてもらえず作業を振られたり、クライアントとの議論も齟齬が出たり、いつの間にか “好みの問題” にすり替わったり。

そのような “躓きポイント” を回避して良い仕事をするために、身に付けておきたい考え方や整理の方法をお届けしたいと思っています。

● 「伝わった」を実感した豪雨災害の現地報告

ここで僕の経験も交えて「なぜ(Why)」と「誰に(Who)」の考え方を事例でお伝えしますね。

災害支援活動をしている団体とのお仕事で、豪雨被災地に派遣されていた職員が任務を終えて戻ることになったので「そこでの経験を社会に伝えられないか」という話になりました。

ただ、メディア各社は現地入りしており、被災状況や被災者の様子は既に報じられていたので新しい視点を設定することに。

【なぜ(Why)】
・国内で大規模災害が増えているが「豪雨」は天候が回復するまで被災の全貌が見えず、被災者がどのような状況に置かれていたのか早期に把握しづらい
・発災後すぐ現地入りしていた職員だから語れる “リアルな様子” と “支援方法の可能性” を世の中に問いかけ、自分に置き換えて考えてもらうことが必要
【誰に(Who)】
・今後いつ、どこで被災するか分からない時代に突入しているなか、妊産婦、幼い子ども、高齢者、障害者など、避難生活に配慮が求められる人と家族
・その方々が住む行政や町内会などの組織

・避難が遅れてしまったために自宅の2階などに自主的に退避され、把握が遅れてしまったケースを参考に「見えない被災者」という言葉をつくり早期対応の必要性を理解いただく

全国紙や通信社などメディアを絞った報告会を行い複数媒体で掲載され、1つのWeb記事がポータルサイトに転載されたことで、コメント欄で様々な立場から声があがることにつながりました。

ポイントはこちらです。
・「災害報道」においても、特に把握することが難しい「直後の状況」について明らかにすることで新たな視点や論点を提起する
・「身近な存在」をコミュニケーションの対象として想定し例示することで、周囲の人も含めて「自分たちにも関わりがある」と受け止めてもらう

いかがでしたでしょうか。

慣れないうちは少し難しく感じるかもしれません。
でも「基礎」や「型」といわれるものは、はじめて取り組む人はできなくても当たり前で、繰り返すことによって自然と身についてくるものです。

非常に地味かもしれませんが、有るのと無いのとではその後の成長や成果が大違いですので、早い段階から意識することをオススメします。

「何を(What)」は次回(こちら)「どうやって(How)」はその次の回(こちら)で、もう少し具体的に解説していきます。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
皆さんの参考になれば幸いです。

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