『無能なパン喰い競争』
放課後。誰もいない広い教室。 俺は紐にぶらさげられたひとつのパンと向き合っていた。 パンの表皮はこんがりさくさくに焼かれ、香ばしい香りを晒している。 そう。このパンは、我が校の食堂のおばちゃんが特定の曜日、特定の時間に校内でこっそり焼いているアンパンマンパンだ。生徒たちにとって裏取引の対象になっているこのパンが今、俺の目の前にぶら下がっている。誰も見ちゃいないが、口でついついとつついてはこっそり自分のものにならないか試行錯誤している。そうしていると後ろから友人の玉三郎が声をか