『上司とは食べたくないハムスター』
「堺くん、君とこうやって食事をして親睦を深めたくてね」
「それは光栄です社長」
「君は我が社の展望をどう見る?」
「そうですね…」
退屈な時間だ。しかし適当な答えを出すわけにもいかない。私はこの会社で世界征服を目論んでいるのだから。
「堺くんのその広い視野と深い見聞をお聞きしたい」
「そうですね。まずは、当社が得意とする兵器開発をより手にかけてみては如何でしょうか。例えば、毒ガスなどの開発など」
「毒ガスか…」
上司は顎に手をあて考え込む。
「…しかしなんだ、毒ガスだけなんてなんかあじけないじゃないか。なにかキャッチーな媒体はないかね堺くん。」
世界征服にキャッチーなんてあるのか。
「それじゃ世界中のモルモットを解き放つのはいかがですか?」
「!なんと大胆な!世界の均衡が崩れてしまう、私はキャッチーにと言ったはずだ!」
「お言葉ですが社長、このモルモット&毒ガス放出により、我が社の経済はより飛躍的なものになるでしょう。」
経済については知らんが、モルモットを解き放つことで人々は癒しを求めモルモットに群がり、効率的に毒殺することができる。 これで私の目的すなわち、モルモル♡人類毒殺計画…。
「素晴らしい…完璧だ。君に頼んで正解だったよ。」
上司は早速計画に金を回してくれた。 そして生まれた毒腺を持ったモルモット達。 名を「有吉弘行・乙型」と名付けた。
「これが…《有吉弘行・乙型》…」
「いかがですか。これで全てが計画通り…」
「ああ…」
可愛らしいフォルムから想像できない猛毒攻撃を繰り出す彼らを目の前に、胸が高鳴った。
プイプイ!鳴き声がする方を見ると、モルモットがいた。
ドクンと心臓が叫ぶ。彼らは人間に教えられたように目の前の人間に猛毒のガスを噴射する。倒れる私、そして周りの人間。モルモット達はプイプイ!と死にゆく人間を笑う。
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作者 少年/人外/ぱりぱり
使用ツール:オンラインじゃれ本
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