『翌日には忘れる日報』

 人それぞれ運動や勉強に得意不得意があるように、私は物事を記憶する能力が他人より低い。幼い頃は忘れん坊だねで済んでいたが、歳を重ねるとこの欠陥が職務に大きな影響を与えていることを痛感せざるを得ない。

我にかえる。そうだ銃口を向けられていたのだ。
「知ってしまったからには消えてもらおう」
待ってくれ、私は懇願した。ひどく忘れっぽいので目の前の人間の名前も出てこないが必死で説得した。知らんけど帰してほしい。
「殺さないで〜ッお願い〜〜〜ッお願いお願いお願い〜〜ッ!」
「やめろ!靴舐めるな!!」
「ンヒーッ!ヒー!ヒヒー!」
「こ、こんな生き汚い奴はじめてだ…」
名も知らぬ男はドン引きした。
「わかった、パンツならくれてやる。だから靴並びにアキレス腱を必要以上になめるのをやめろ!」
男は自身が履いていた紐パンを変態に渡し、銃で撃ち殺した。残された紐パンは自我が芽生え、僧の道へと進むことにした。

 しゅぴ〜ん!びびぴ!ひももも〜ん♡…っは!失礼、拙僧、紐パンから顕現した紐播磨伴゜蔵(ひもはりまぱんぞう)と申す。紐パンの身ながらこの世に生を授かったゆえ、こうして悟りの道を目指し日々修行中である。
ひももも〜ん♡...きょうの伴゜蔵。8のつく日は紐パンの日!いうわけで地元のパン屋さんとコラボ商品を作りましたぞ....♡その名も紐パン...なんちゃって! この記事が出回った頃には街は一変していた。
街にひしめくは紐、紐、紐…… 誰しもが紐パンを口に狂っていた。 記事による情報災害が、人類を狂わせたのだ。
「パンパカパンツ!パンパカパンツ!」
阿鼻叫喚、これがきたるべき人類栄光の未来なのか…?

 30XX年 2000年ほど続いた人類は紐パンによって滅んだ。 といっても誰も信じてくれない。いくらこの事実を語っても無駄だ。教授も鼻で笑った。


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作者 ケイマ/少年/人外/ぱりぱり
使用ツール:オンラインじゃれ本
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