『包み紙パイン』
ミルキーの包紙には「1枚にペコちゃんの顔が10個あったらラッキー」という謎のジンクスが公式として存在していた。
だがかつて期間限定沖縄パイン味のミルキーにはペコちゃんの顔は一切印刷されておらず、そこには具志堅用高の顔がびっしりと印刷されていた。沖縄パイン味は、ペコちゃん好きのファンたちからとてつもない避難を浴びた。
それは具志堅用高にも向き、明朝、新宿区に具志堅の磔が晒された。
「これが、ペコちゃん沖縄パイン味事件だ。」
そういって彼、具志堅の飼い犬であるグスマンは話を続ける。
「あいつぁな、ペコちゃん沖縄パイン味を食い過ぎたせいで目ェつけられたのさ。」
「それだけで?」
「それだけって?はは、お前さん、沖縄パイン味を食う人間を見たことがあるかい?」
「……」
確かに珍しいがエアコンのリモコンを毎日鞄に入れ通勤している俺に比べれば命を狙われる危険性はない。それでも目をつけられるというのであれば沖縄パイン味ではなく別の何か…例えばそう、具志堅用高。
口の中に入った具志堅用高がアイツらが狙っている理由…!
今すぐに具志堅用高を吐き出すように伝えなければ…しかしどうやって伝えれば……
そうだ!あれを使おう!秘技・ちょっちゅね!!
説明しよう、秘技「腸注寝(ちょっちゅね)」とは、対象の腸に睡眠薬を注ぎ、即効で睡眠させる禁呪である。
「ちょっちゅね‼️」
瞬間対象は爆睡し、口からでろりと具志堅がまろびでてきた。俺は具志堅を担ぎ、夢中で逃げた。
「ぬちどぅたから」
司令室から一部始終を見ていたグスマンが、包みに入ったパイン飴を口へ放り込みながら呟く。
風味付けされただけの砂糖の塊のはずのキャンディーが、喉の奥で痺れたような気がした。
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作者 ばちんこ/少年/人外/ぱりぱり
使用ツール:オンラインじゃれ本
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