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ボスと呼んでもいいですか?!大物感漂わせるデンマーク人のお爺さん

ある週末の朝、自転車に乗り近くの海へと出かけた私と旦那さん。
少し汗ばんだ身体を海風が心地よく通り抜け、誰もいない桟橋を2人占め!

辺りを見渡すと、犬の散歩をしたりジョギングをする人がいるくらいで、まだ眠りから覚めたばかりの朝の空気が心地よく、思わず何度も深呼吸してしまう~ハァ~。

もうすでにお腹がペコペコの私たちは、桟橋の先端にあるウッド調のテーブルに朝食を広げ、焼きたてのパンがまだ温かいのを確認すると、それだけでワクワクが止まらない!
もし、海の近くに住んでいなければ、こんな景色を求めて旅をしていたかもしれないと思うと、少し自慢げに贅沢な気分に浸ってしまう♪ 

太陽の光に反射しながら漂う波の上で、ついに解禁した【悪魔のパン】をかじり、近くでセーリングを楽しむヨットをぼんやり眺めていると、、、背後から足音が聞こえてきました。

「グッドモーニング!」私たちが挨拶したのは、背筋がピンとしたネクタイ姿のお爺さんでした。
「グッドモーニング!」彼も明るく挨拶を返してくれて、
「今日は何て気持ちの良い日なんだ!そうだろう?!」
私たちも同じ事を思っていたので、夫婦でうなずきながら返事をしました。

「せっかくのセーリング日和なのに、これからワシの88歳の誕生日パーティーがあるんじゃよ、、、」と遠くを見つめるお爺さん。。。
ワォ~そんなお歳には見えない!それに、こんな朝から身なりをきちんとして、自分の誕生日会が始まるのを待っている、、、この驚くほど若く見えるお爺さんは、なんだか只者ではない雰囲気を醸し出しながらつぶやいていました。

「ちょっといいかい?!」と言いながら、私たちが座っていた長椅子の向い側に座り、ゆっくりと話し始めたお爺さん。

デンマーク人は見ず知らずの人に話しかけたりしないと聞いていたけれど、なぜかちょいちょい話しかけられる私たち夫婦。
そんなことを思いながら、お爺さんのトークが始まりました。



ここのビーチ沿いは高級住宅地エリアで、海を眺められるような設計をしている豪邸が建ち並んでいます。
その家の1つに住んでいる彼は、セーリング用のヨットもすぐ側にあるヨットハーバーに停泊してあり、趣味のひとつとして楽しんでいるそうです。
もうすでに大物感が漂っている、、、豪邸+ヨット=大物。。。(*'▽')

そんなお爺さんから、「面白い話を聞きたいかい?」と言われ、もちろんですー♪とうなずいていたら、この桟橋は10年以上も前に、自分が作ったと教えてもらい、ビックリ仰天の私たち!

大会社のCEOのような風格と話しぶりの彼は、ある時、地元の人たちが楽しめるようにと、家の目の前のビーチに桟橋を自分で作りはじめたそう。
後で確認しなさい!と言われた桟橋の入口には、彼の名前やメッセージなどが金属のプレートでしっかりと打ち付けてありました。

私たちは最近よくこの桟橋を利用していて、公共サービスとして建てられたものだとばかり思っていたので驚きました。

お爺さんは、時々この辺りをパトロールしながら、ゴミをそのままにしたり、海を汚すような人は追い出してきたそうです(;'∀')
マナーを守って利用してくれるなら、この桟橋は誰でも大歓迎だよ!と言いながら、私たちがゴミを落としていないか、さりげなくチェックしている。。。アハハハ( ;∀;) 心の中でビビる私。

最初はリラックスしながら会話をしていた私たちは、だんだん彼の風格に圧倒され、お爺さんと同じように自然と背筋が伸び、片手に持っていた食べかけのパンをそっとお皿に戻しました(笑)

数年前の嵐で、数百メートル先にある他の誰かが建てた桟橋は壊れたけれど、ここはロープが1本切れただけで、びくともしなかったと教えてくれました。さすがです、、、お爺さん。

話し終えて満足したお爺さんは、
「ワシはもう行くから、ここで朝ごはんの続きを楽しみなさい」と言い、桟橋を戻っていきました。
私たちは、ボスをお見送りする部下のように立ち上がり
「ハッピーバースデー!良い誕生日会を!」と言いながら、彼が無事に橋を渡り終えるまで見送りました。

のんびり朝ごはんを食べようと思って来ただけだけど、こんな出会いがあるとは、、、ちょっとしたプチトークができて楽しかったな~(^^♪
ただ、お爺さんがいる間に強い風が突然吹き、パンを入れていたタッパーが海に落ちそうになって一瞬ヒヤッとした私たち(笑)

あのままタッパーが海に落ちていたら、旦那さんはお爺さんの目の前で、海に飛び込んで取りに行っていたはず。。。たぶん(;'∀')

今度はタオルと旦那さんの着替えを持って行くのを忘れないようにしよう!と、海対策を考えながら次の朝活は、どこへ行く?!


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