【凡人が自伝を書いたら 70.夜王の不在】
ふむふむ。
なるほど、ね。
無限ループ!!
僕は「厄介な問題」に直面していた。
「夜王」がいない。
どういうこと!?
夜を仕切る人間、つまり「ディナータイムのリーダー」がいなかった。(初めからそう言え)
お客、会社だけでなく、従業員にも評価される店。スタッフだけでなく、店長・社員にとっても働きやすい店。
そんな店を作るために、この問題は割と「痛恨の極み」だった。
今までの経験上、円滑に店舗を運営する上では、少なくとも、4人の「右腕」というか、「幹部」みたいなものが必要だと感じていた。
「なぜ4人か」というと、ランチタイムとディナータイム、接客・調理それぞれで、「4人の右腕」が必要だということである。
これがいるのと、いないのとでは全然違う。指示の浸透力、教育、管理面、何から何まで変わってくる。
アルバイトとしては、言われたことを真面目にやってさえいれば、それで十分と言えば十分だ。そこまで高い時給を払っているわけでもない。
ただ、僕は思っていた。
そんなに仕事もできるのに、スタッフ達にも信頼されているのに、なんでそんなに遠慮するんだろう。
もうちょっと「出しゃばっても」良くな〜い?(ウザめ)
なんだかスタッフ達が、自らからに籠っているような感じがして、なんだか「惜しいような気持ち」もしていた。
事実、そのせいと言ってなんだが、前の店長や、チーフがなかなか休みを取れなかったのは、「ディナータイムに絶対に店に居ないといけなかった」からだ。
スタッフの気持ちの問題だった。
十分やっていける実力はある。大抵のことには対応できる知識や、経験もある。ただ、一歩踏み出せない理由みたいなものがあったのだ。
「遠慮と回避」
「Mさん。アルバイトリーダーやってみないか?」
「え、私はそういうのは、大丈夫です・・」
「Aさん。アルバイトリーダーやってみないか?」
「え、ウチそんなのムリ!」
。。。
。。。
なるほど。(チーン)
ディナータイムは主に学生というか、「たった1人のおじさん」を除いて、全て学生だった。優秀なスタッフも多く、平日ならスタッフ達だけで、余裕で営業できるような実力はあった。
ただ、その筆頭である、接客スタッフのM、調理スタッフのAは、それぞれ責任を負わされること、そんなふうに扱われること自体を「回避」していた。
そしてそれぞれの「ナンバー2」は、トップに「遠慮」し、彼女達を超えていこうとはしなかった。
理想は、まず「トップ」が責任のある立場になり、そういう働きをし、他のスタッフがそれに続く、という構図だ。
ただ、現状は違う。
ナンバー2以下は「トップの〇〇さんがやるなら。。」と遠慮し、「トップ」それを回避する。
まるで、同じところをぐるぐると回っている感じ。
無限ループ!!
これだった。
でもまあ、僕もアルバイトだった経験があるから、気持ちはわかる。
「リーダーなんてめんどくさい。」
「いきなり自分より上の人間を差し置いて、トップに躍り出ようとするなんて、周りからなんて言われるかわからない。」
僕は、アルバイト時代、そんなことは全く考えてもみなかった。
僕はただ、自分が認められるのが嬉しくて、自分の成長を実感できてることが嬉しくて、なんだか自分が「特別」であるように感じられて、必死でやっていただけだ。
社歴や歳なんてものは全く気にしていなかった。
社歴20年?年上?それがなんだい。仕事ができるやつが「トップ」だ!!
そんなふうに、ある意味「頭がおかしくなっていて」、空気を読むことを忘れていただけだ。
お昼の主婦さん達にも、同じような雰囲気はあった。
ベテランの主婦さんに気を遣って、あえてアルバイトランクを上げようとしない。そんな雰囲気があった。
「ああ、これが普通なんだなあ。」
どっちかというと、僕の方が「稀だった」んだなあ。
そんな事実を痛感していた。
時間はかかるかもしれないがやってみよう。
店長や社員が、しっかり休める店を作るためには、これは「不可欠事案」だ。
「他人は変えられないが、人間は変われる。」
ぱっと見では「何を言っているかよく分からない言葉」だが、僕はそう信じていた。
決断は彼女達にしかできない。
僕ができるのは、背中を押すことだ。
これはもう「背中押しまくり作戦」しかないな。(え、センス。)
引っ張ってはいけない。
「惹きつけつつ、背中を押す。」
ズバリ、こんな作戦だった。(曖昧さ注意)
そこからあれやこれやの奮闘が始まっていく。(期待小、不安大)
そんな話はまた次回。
今日のところは、これでお開きとさせていただきます。
それではまた。
つづく
お金はエネルギーである。(うさんくさい)