(連載6)棚ボタでロンドンの展覧会に参加できた奇跡:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1980年後半
ニューヨークのハロルド・コーダさんからのご推薦をいただいて、「ファッション&シュルレアリスム」の展覧会に途中参加する事になった「F.I.T. の ゴリ押しの奇跡」というのを、前回、お話いたしました!
もう、これ自体が文字通りシュールとしかいいようがない展開になったのでした。
今回はその続きで、ロンドンの事をお話しようと思うのですが、まず、残念なお知らせです。
この旅行。私はカメラを旅の途中で紛失してしまったんです。。なので、皆様にお見せする証拠がない!すみません。。。。トホホ。
この頃なので、スマホもなく、いつもカメラを持ち歩くというのがかなり手間で、しかも地理的にも、言語学的にも、難あり。。。
しかし、なんとか記憶を辿って報告させていただきますので、お許しくださいませ。
さて、さて、早速、ゆきましょう。レッツ・ゴー!
まず、ロンドンに乗り込んで、我々は、「作品を着てロンドンの街を歩こう!」と、あいなりました。
これは、ふたりで、大決心をしたわけでもなく、日頃から東京でも、ロヲザは小学生の子供服をパッつんパッつんに着てたし、私自身も作品だけでなく、日頃の服装も、時代衣装や童話からインスパイアされた服を、デザインして着ておりました。時にはロヲザとお揃いというのも作ったり。
ま、いわゆる一般の方々がオフィスで働く人のような日常着とは、まったく違う種類のもので、ま、ファッション・デザイナーを目指している学生さんとか、モデルさんとか、洋服にエネルギーを注いでるのが、パッとわかるような服装です。
興味のある方は、こちらに。。。。
しかし、80年後半ですからね。流行の最先端のパンクの女王、ヴィヴィアン・ウエストウッド様も、クリノリン(フープのはいったスカート)とかコルセットを発表していたので、そういう洋服を着てるファッション関係の人は、まわりにも結構いたんです、、、、っていうか、我々のまわりだけかも?。。。。
でも、一般の方からしたら、やはり、我々は無駄に目立っておりました。街の人からは、後ろ指をさされたり、避けられたり、すれ違ったあとで、大声で笑われたり、(これは中学生が一番マナーが悪い。プンプン)地下鉄では、小さい男の子から触られたりもあった。(なんかのキャラだと思われたのでしょう。後でお母さんが、ひたすら頭を下げて謝ってくださったけど。)
妹は、「二人で歩いてるのを遠目に見たけど、絶対に普通の人じゃない!って感じだったよ〜」と言い、友人に「うちの姉は30歳過ぎたのに、大きなリボンをつけて、ルンナちゃんという名前で、学芸会のような服を着て、これからどうなるのか、とても心配している」と、こぼしてたそうです。苦笑
そんな日常だったので、。。。
話を戻します。ロンドンで、作品を着て歩くなんて、
ま、知ってる人もいないし、誰かに迷惑かけるでもなし、
怖いもの知らずでした!!!
これは写真がありました!!こんなかんじ。
ロヲザがこの時、着てるのは、これです。
そして、この直後に、何を隠そう、おまわりさんが、近寄ってきた。
「エクスキューズ・ミー。レイディース!」と。
ドキっ〜〜〜!!!!!!!
「イ、イ、イェ〜ス」と言って我々は立ち止まった。
そしたら、
「レイディース!! 失礼ですが、ここのドアが空いてますよ。」
と言って、手をのばして、締めてくれた。
この素晴らしいブリティッシュ・ユーモア!!!
ま、そういう事はさておいて、ですね。本題です。
会場は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館!!
ど〜〜〜〜〜ん!!
そして、ここで、開催される「ファッション&シュルレアリスム」展の為に持って行った作品はこれでした。
「水中バレエ」というタイトルで、スカートがダイヤモンド型のシルエットで、しかも三重構造になっています。(ちなみにこのパターンはメチャクチャ大変でした。数学をちゃんと勉強しとけばよかったと、本当に後悔しました。)
そして、これは、展示などを手伝っているところ。
これも写真が見つかりました!
そして、展示準備も無事に終わりました。
ともかく、すべてが夢の中のことのような、あっという間にこんな事になって、信じられませんでした。
オープニング・パーティは、レッド・カーペット!!
さすが王立ですからね!!
上のはイメージ写真ですが。
人がわんさか。。。。おそらくセレブも大勢いたでしょうが、誰も知らんし。。。涙
私とロヲザは、だいぶ、浮いてる??かんじでもありましたけども。苦笑
でも、ミュージアムの人たちはみんな親切で、後で、特別に時間をセッティングしてくださり、今までの博物館が集めた歴史的な時代衣装を保管してある大きなクローゼット・スペースに案内してくれて、それはそれは、素晴らしい本物の時代衣装を見せてくださった。特に、ビクトリアンの衣装は本当に圧巻でした!!
まさに贅沢な時間。。。。
そして。この贅沢。実は、、、、、、
まだ、前菜でした。
メインのキュレーターのヴァレリー・メンカスさんが、
「あなたの作品が買いたい」と言った!!!
これは何を意味するのか。最初、よくわからなかった。
は?
つまり、これは、私の作品があの、保管場所に? 今までの歴史的な衣装と同じように、
(((( 永久保存される!! )))))
という事をだったんです!!!
もう夢見心地どころか、頭が真っ白になり、気絶しそうになりました。。(もともと血圧、低いんで、それはなかったですけども。)
続けて、彼女は「現在、展示しているのではなくて、プラスティックを使っていない布の作品がいい」とおっしゃった。
それで、例の作品箱を持参していたので、今までの作品を見せたら、(先ほどの写真でも私が持ってる赤い箱です。)
「これがいい」ということになりました。
これは、また、先程の写真でも、私が着てたやつです。
この写真、ロヲザ不在で、モデルは、やむなく自分。。。汗 ご勘弁を。
ちょっと、作品の説明を少し。。。
これは「森の探し物」というタイトルの、コンセプチュアルな作品で、着用の際の「注意書き」というのが、直接この服に書いてあり、それがお伽話のようなストーリーになっています。この服を着るために、服を森の中に探しに出かけ、手紙やバッグの中に、次はこうしろ、ああしろ、と、ヒントが書いてあります。
今から考えたら、ルイス・キャロルのアリスのシリーズの洋服版?ような?その時は意識してなかったですけど。。。
で、美術館に納めるのは、この作品に決定し、この夢のような話は現実のものとなり、無事にすべての手続きが完了しました。
しかし、しみじみ感じたのは、ニューヨークのハロルド・コーダさんといい、このバレリー・メンカスさんといい、キャリアもコネクションも、まったくなかった、この私の作品見て、即座に引き立ててくれるという、この、
彼らのダイナミックな決断に、もすごく感動しました!
日本ではこんな事、絶対に考えられない。。。。とも、思いました。大きな企業に認められてるとか、有名人のコネクションないとまったく相手にされない日本。。。。。
ま。愚痴はともかく。。。。。ですね。。。
この時から。。。私は、自分の作品が
ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムに永久保存!!
この一言を、未だに、(つまり30年以上たってますけども)自分のプロフィールに、機会があるごとに、何度も何度も何度も、書き続けています。
私が死んでも、孫子の代まで、語り継がれるであろう、このフレーズ。
あ、あたし、子供いないんだった〜。汗
この作品はその後、「ファッション・イン・ディテール」という本にも載せていただいのです。ハードカバーの立派な本です。
この本はのちに、新しいバージョンになって、ビクトリアアルバート出版から、発行される事になったのですが、それは、あと30年以上待たねばなりませんが、、、、、
待てないという方は、間をスッ飛ばし、こちらへ。
ともかく、この時点でですね、
自分の人生の幸運は、すべてこの時に使い果たしました!
あ、しかし、まだ人生は終わってなかったんだ〜。
戦いはまだまだ、続いてゆきます!!
次はロサンジェルス編をお送りします。
つづく。
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