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オンラインで広がるこれからの坐禅体験──禅友 品部東晟 × Gns【後編】

ITと坐禅。
一見、全く共通点のない2つの分野が出会い、坐禅を多くの人へ伝えるために坐禅コミュニティ禅友というサービスが生まれました。

「坐禅という身体技術を多くの人が自分の道具として使えるようにしたい」と話す坐禅指導者の品部東晟さん。これからの坐禅が目指す未来をお聞きしました。IT企業のGnsが体験した坐禅での変化についてもお伝えします。


前編はこちらから。



スタートしたオンライン坐禅。実現した「誰かと坐ること」

──坐禅とITが出会ったことでスタートした坐禅コミュニティ「禅友」ですが、実際に始めてみていかがでしょうか?

品部:まず、実際に禅友をスタートさせて分かったことは、「オンラインでの坐禅にはオフラインにはない素晴らしさがある。そして期待以上の効果がある。」ということです。

品部 東晟(禅僧、坐禅指導者)
臨済宗大本山 建仁寺僧堂にて雲水修行の後、建仁寺塔頭の両足院にて坐禅指導を行っている。
坐禅という身体技術を誰もが自由に使えるように、オンライン、オフラインともに坐禅指導を続ける禅僧として活動。
Instagram / 禅友Webサイト

物理的に離れた人同士でもオンラインだからこそ坐禅を共にできる。禅友だからこそ「誰かと坐ること」を大切にできていると感じています。禅友ではオンラインでの坐禅はもちろんのこと、月に数回オフラインでも坐禅を行っています。オンラインでの坐禅会の安心感や信頼感のためです。デジタルツールを用いたコミュニティだからこそ、安心してオンライン上で参加できるように心がけています。

最初は画面の向こうで坐る人たちに本当に役に立つか不安な部分もありました。ですが、ありがたいことに想像していたよりも多くの方々に坐禅での変化を実感してくださっていて、Discordで言葉に残してくださっています。
私から見ても、みなさんがどんどん変化していることを感じています。始めてよかったです。

渡邊:システムとしてはまだ完成形ではなく、少しでも使いやすいように常に変化し続けています。これからも禅友が多くの人にとって使いやすい形になるようにアップデートを重ねていきます。

──ここまでは特に問題点などなくここまでたどり着いたのですか?

渡邊:いろいろ試しました。最初はZoomを使ったこともありました。坐禅を始めるときのおりんの音が入らない問題にもぶつかりましたね。

渡邊 高行(株式会社Gns 代表取締役)
東京で創業し、2年前から京都に活動範囲を広げる。
主な事業内容はシステム・アプリ開発、Web制作、AI・DX支援など。
クライアントの次のステージへ、共に進む。
会社HP /  Facebook

渡邊:おりんは実際に鳴らすのではなく、Discoad上に録音させて、坐禅の開始のタイミングで鳴らすように工夫しました。おりんの音にこだわったのは、オフラインで体感している坐禅と同じものをオンラインで提供するためです。

その他にも、Discordを利用する上でオンライン通話の入退室音が坐禅の集中を妨げる問題がありました。こちらは、坐禅開始から5分経過すると途中入退出ができないシステムとし、ルールを決めて運営メンバーに周知し、定着しています。

オンラインコミュニティならではのイベント時のキャンセル率が高いという課題には、 継続を目的とした「一緒に坐るコミュニティ」であることを明確にし、予約制とメールでのリマインドで対応をしています。

利用者情報のヒアリング・予約管理の手間は、Excel数式を作り、利用者情報・予約状況を見える化することで時短を叶えました。

これらはほんの一部ですが、問題点や課題をITという手段で解決し、品部さんが坐禅を伝えることにフォーカスできる環境を整えて今の坐禅コミュニティ「禅友」があります。

──Gnsさんはシステム導入だけでなく、一緒にサービスを作っている印象ですね。


Gnsが体感した坐禅での変化

──Gnsのみなさんは禅友をスタートさせる前に坐禅を体験されたそうですが、実際に坐禅を継続して感じた変化などはありますか?

品部:普段から渡邊さんを「たかさん」と呼んでいるため、そう呼ばせていただきますね。たかさんは1年間坐っていますが、最近、次のステップに進んだと感じる出来事がありましたね。

渡邊:そうですね。
坐禅をしていると足が痺れて痛くなることがあります。
品部さんは「痛みも観察対象だ」とお話しされていますが、僕は足の痺れに慣れておらず、痛みから意識をそらすことで我慢し、いずれ限界がくると足を解いていました。

そのことを品部さんにお伝えしたところ、改めて痛みを観察して坐禅を行うと痛みの向こう側に行けるとアドバイスをいただきました。

次の坐禅では足の痛みがきた際に、足のどの部分に異変があるか、痛いと表現しているものを具体的に観察しました。痛みの中の重たさや血が通ってない感覚があること、その感覚は定期的に波のように押し寄せてくることを客観的に捉えていたように思います。これを繰り返していたら、痛みが突然消えたんです。自分の足の存在がわからなくなり、足の感覚がなくなりました。同時にもう足が動かなくなるのではと怖くなりましたが、恐怖も観察対象だと思い観察し続けました。

観察を続ける中で感じていた恐怖は、経験のない感覚に対するものだと気づきました。足がこの後どうなるかわからない。そこに対する感情だと冷静に捉えることができました。さらに「経験がないことに挑むことは今まで何度もやってきたはず」と未経験と自分を俯瞰し、恐怖がスッと消え、その感覚を味わいながら45分間の坐禅を終えました。

痛みの先の恐怖との向き合い方を冷静に観察することができ、今までで最も集中できた坐禅でしたね。

品部:この出来事で、たかさんが停滞の時期を大きく抜けたと思いましたね。

坐禅を始めると、坐ったことによって少しずつ変化していきます。まるで緩やかな右肩上がりのグラフのようです。ですが、誰もがある程度のところで停滞し、緩やかな上昇と停滞を何度も繰り返します。

痛みは自分の集中を邪魔する感覚ですが、坐禅を通して痛みとの付き合い方が変化していきます。

渡邊:まさか足の痛みをきっかけに、自分の根本的な恐怖という感情を見直すことに繋がるとは思いませんでした。

品部:坐禅は、坐っている本人がいろいろなことをきっかけにして、自分のことを観察する技術です。

自分の感情を観察すると、また1つ視線が俯瞰的になります。そうすると、他の感情や出来事なども同じように観察ができる。繰り返していくと、どんどん坐禅が面白く、楽しくなります。


坐禅コミュニティ「禅友」の次のステージとは

──これから禅友を通してどんなことをしたいですか?

渡邊:禅友自体をもっと磨きあげていきたいです。具体的には、

  • 禅友の参加者同士が坐禅を通して感じたことを共有する環境を盛り上げていくこと。

  • 坐禅を習得できる場として、ツールを使いやすくサポート内容を分かりやすく改善しながら、アプローチ範囲を広げていくこと。

  • 品部さんが修行道場で経験されたことを、修行という選択肢を取らなくても、近しい体験を届けていくこと。

この3つを実践していく中で、禅友を通して坐禅をより世の中で身近な存在にしていきます。

品部:私は禅友を通して、若い世代の人にもっと坐禅の技術を広げていきたいですね。修学旅行生の小学校高学年から中学生、高校生と一緒に坐る中で、特に彼らに坐禅を届けるべきだと思っています。

青春時代に「社会って何?」「自分とは?」「大人っておかしい」と思い悩むことが誰にでもあります。その時に、答えを外に探してインプットすることも大事ですが、自分で考える技術を持っていたら、それは救いになると考えています。若い世代こそ坐禅の技術を身につけてほしいです。

今も修学旅行で来てくれた子たちから禅友にアクセスがありますが、継続には至っていないので工夫していきたいですね。

渡邊:そうですね。また我々のようなビジネスマンが自分の思考を固めたり、掘り下げていくツールの1つとして坐禅をお伝えできたらと思います。創業時の多種多様な壁なども坐禅をして「自分と向き合うこと」で乗り越えやすくなると考えています。

オンラインツールを使うことで、今までアクセスできなかった人たちにも坐禅を届けられるようになりました。必要としている人の手に届けていきたいです。

──オンライン坐禅で届けられる人の幅が一気に広がりましたね。これからの禅友から目が離せません。

本日はありがとうございました。



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株式会社Gns ( https://gns-japan.com/ )
担当:渡邊 高行
電話:03-6822-3327(受付時間:平日9:00〜18:00)
メール:info@gns-japan.com
LINE:https://lin.ee/9Vuc0Xd



〈インタビュー〉仲田 匡志(株式会社SOU)
〈撮影〉黒木 康太
〈協力〉ピースホステル三条
〈ライティング〉神崎 千晶

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