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Advance Together ガラパゴス流 正気のアプリ制作 × 株式会社ベイクルーズ

アパレル・インテリア・飲食など、様々な業態で人々のライフスタイルを彩る株式会社ベイクルーズ。2019年6月、前ベンダーからガラパゴスが保守・運用を引き継ぐ形でECアプリのプロジェクトがスタートした。これまで3年の間、両社はどのようなパートナーシップを築き、どのような成果を実現したのか。ベイクルーズ DX統括デジタルマーケティングDiv.ディレクターの玉川氏、ガラパゴス AIR Design for Apps事業部 ディレクターである綱藤の両名に話を聞いた。

株式会社ベイクルーズ
DX統括デジタルマーケティングDiv.
ディレクター 玉川寛一氏

他業界のECディレクションを7年経験し、2018年ベイクルーズにWebディレクターとして入社。
同年現在のアプリがリリースされたのをきっかけに、リリース後のグロースを担う役割として
ディレクションに携わる。2019年にガラパゴス社へアプリ開発を移管し現在に至る。
株式会社ガラパゴス AIR Design for Apps事業部
ディレクター/デザイナーチーム マネージャー 綱藤美里
新卒でITスタートアップに入社し、Webディレクターとして経験を積んだ後、2018年に
ガラパゴスにアプリディレクターとして入社。株式会社ベイクルーズをはじめ、複数の大手企業のアプリ開発に従事。2022年3月よりディレクター/デザイナーチームのマネージャーを務める。


複数社からガラパゴスをパートナーに選んだ理由


2018年、ベイクルーズ社は主にアパレル業態におけるECアプリをリリースした。様々な経緯からリリース後の保守・運用は前ベンダーから他社に引き継ぐことが決まっており、新たなパートナーを探している中で、2019年に両社は出会う。玉川氏自身は、リリースされたアプリに山積みの課題があること、それゆえに早急な改修の必要性を感じており、スピード感と真摯さの両方を持ち合わせた企業と出会いたいと考えていたと話す。複数社からガラパゴスをパートナーに選んだ背景にはどのような想いがあったのか。

玉川「ガラパゴスさんはドキュメントに力を入れており、提案時点で具体的な画面仕様書のイメージも示してくれました。保守・運用フェーズにおける問題の本質にフォーカスされている点が強く印象に残りましたね。
また、アプリ開発時は多重下請け構造になってしまっていて、改善したいことがあってもコミュニケーションコストがかなり掛かってしまっていました。一方で、ガラパゴスさんはディレクター・デザイナー・エンジニア・QAと、各役割の方が社内に揃っていて、ワンストップで開発してくれる点も心強かったです。
あとは、一切の忖度やごまかしなく、明確な根拠と一緒に丁寧に説明をしてくれること。これは当時も今も変わらないですね。そう考えると、ガラパゴスさんのスタンスは提案段階から現在まで変わらないですね。とても信頼できるなと感じています」

▲ ガラパゴスでは各専門チームを社内に持ち、要件定義〜検証までワンストップで
 開発を行なっている。コミュニケーションを密に取り、すべての工程を社内で
完結できることがアプリの高い品質の維持を可能にしている。        


他社から引き継ぐ案件は「責任の所在が曖昧になりやすい」という理由から敬遠されることも多いという。実際何社か辞退する先もあった中、ガラパゴスは社内のエンジニアによる詳細確認の上、前向きな反応を示した。

綱藤「まずは『アプリの仕様を把握し、ドキュメントに起こす』『現状の課題の把握に努める』、この2つについてしっかり抑えること、その上で新たに生まれるベイクルーズ様のご要望にどう応えるか。その順番を常に考えていました。結果的には大きなトラブルもなく引継ぎは順調に進みました」


真剣な議論を重ねた先のアップデート、売上は4倍以上に飛躍


引継ぎ期間を経て、まずは目前のタスクとしてのプッシュ通知機能の追加や、テストを通じて判明した細かな不具合改修などに急ピッチで取り組んだ。結果、徐々にアプリストアの評価は上がっていく。
しかし、当時玉川氏が最も大きな未解決問題として認識していたのは「検索性」についてだった。

玉川「商品を探しにくい状態を早急に改善したかったんです。『探して買う』がオンラインショッピングの基本行動ですが、当初は『カテゴリ』と『ブランド』という2つの観点でしか商品が検索できず、とても使いにくい状態でした。1スクロールで表示される商品数も少なく、大幅にUI改善が必要であることは誰の目にも明らかだったと思います」

目の前の対応すべき保守タスクを粛々と進めながら、並行して検索性向上の課題に取り組んだ。リニューアル後には検索条件を2項目から11項目に増やす想定で、UIが一気に複雑になることから、何パターンもプロトタイプを作成し、幾度も修正を重ねながら操作性や仕様面の具体的なイメージを詰めていった。良いものを作る為に一切妥協を許さない両社の議論は時に紛糾するが、そのプロセスこそが今の結果につながっている。

玉川「喧々諤々、真剣に議論を重ねました。やっぱり自分としては理想や想いが先行してしまうんです。具体的なイメージを出して『◯◯社のようなUIが良い』と伝えるのですが、なかなか首を縦に振ってもらえない(笑)。『なぜできないのか』を問うと、『技術的にはできる』と回答をくれた上で、想定される運用・保守上のリスクや工数など、先々のリスク・デメリットまでセットで丁寧に説明をしてくれていました。当社の予算やプロダクトの事情を汲んだ上で最適解を提案してくださる姿勢にこちらも冷静になることができ、議論の度に原点に立ち返ることができたように思います」

要望をただ聞くのではなく、客観的・長期的な目線を持ち、クライアントにとって最もバランスの良い状態を考える。かつ、デザインとエンジニアリング、両方の視点で提案できる点はガラパゴスの強みのひとつだ。「メンバーのとりまとめは大変」と笑いながら、ディレクターの綱藤はこう振り返る。

綱藤「当社としては、常にご要望に応えたい気持ちはあるんです。ただ、他社の事例を真似るだけでは実装工数が膨らむ上に、保守面でもOSのバージョンアップの度に崩れる等のリスクがあることが分かっていました。であれば、ベイクルーズさんの特性やOSの標準に合わせた別のUIを検討した方が良いはずです。そういった前提を踏まえた上で、ユーザーにとっての使いやすさとベイクルーズさんにとっての運用のしやすさ、両方の実現のために、何を採用し、何を見送るか。その取捨選択については、その都度とことん話し合いましたね」

紆余曲折を経て、2020年8月に第1弾の大幅なアップデート(改修)を実施。命題であった検索性は大きく改善され、この年のアプリ経由での売り上げは前年の4倍以上に伸びた。
翌年の2021年7月には、第2弾のアップデートとして商品詳細表示の改善を行う。この際、追加された類似検索(AIによる類似商品の表示)とレコメンド機能は大きな反響を呼び、カート投入率と購入率が前年の5倍にまで上昇。売上はさらに右肩上がりに推移していく。

玉川「検索性については、大幅な改善によって本当に使いやすくなりました。如実に成果が表れているのは売上の推移です。両社が同じ方向を向いて創り上げたものだからこその成果だと思います。特に商品詳細に関しては毎日眺めてしまうくらいデザインが良くて気に入っていますね」

▲ベイクルーズ公式ファッション通販アプリ「BAYCREW'S STORE」
(上:検索画面 下:商品詳細画面)


年数を重ねるごとに関係は深くなり、品質は磨かれていく


プロジェクト開始時の契約期間は3か月。以降は、6か月、1年と更新され、「ひとまず初期の改修フェーズは終えたと言える」と玉川氏。年数を重ねるごとに深まり、強固になっていることが伺える両社のパートナーシップ。一朝一夕には醸成されないその関係性は、妥協せずに共に歩んできた証だろう。

玉川「お伝えした通り、リリース当時は課題だらけだったアプリですが、この3年間で飛躍的な売上を生み出すようになりました。それはやはり、段階的かつ継続的な改修の度に両社で納得いくまで議論し合って、目的と課題を共有しながら進んできた結果だと思います」

綱藤「継続的に契約いただくことで、クライアント企業のサービスやユーザーに対する理解が深まるため、より効率的な開発・提案ができているのも大きいなと思います」

「時にバチバチやり合うこともありますよ」と冗談めかして話すふたりだが、普段はどのようなコミュニケーションを取っているのだろうか。

玉川「とにかくフラットで率直です。相手がクライアントであろうが、必要な場面では皆さんしっかりと主張されますね。デザイナーやエンジニアがお互いについて深い理解と尊重の姿勢を持っていることも素晴らしいと思います。そんなメンバーが綱藤さんのディレクションにより役割を遂行している、そんな印象でしょうか。必要以上にへりくだることなく、フラットさを維持するその姿勢には、モノづくりへのプライドやプロフェッショナルさを感じます」


ECと店舗をシームレスにつなぐハブとしてアプリを機能させ、シナジーを生み出していきたい


「まだまだアプリにはポテンシャルを感じる」と話すその先に、玉川氏はどのような未来を描いているのだろうか。

玉川「当社の方針として、安易なセールや値引きは極力控えましょうという動きがでてきているんです。大量に作って時期が過ぎたらセールで売りさばく旧来の手法はSDGs的観点でも変えていく必要がありますし、正規価格で購入してくださったお客様に対して誠実ではないですよね。正規価格で売り切るには、第1に商品力やブランド力、生産量の適正化が重要だとは思いますが、僕ら売る側がフォローアップできる部分もある気がしています。Webは他社と比較検討されやすいですが、アプリはクローズド化しやすいため、アプリへ誘導する方が商品の良さを適切に伝えられるのではと感じているのと、アプリはリテンション率(再来訪率)が高いのでCRMの観点でも重要だと考えていて、アプリへの注力は自然な流れなんです。」

アプリのみならず、同社のECのあり方全体のアップデートを模索している玉川氏は、その理由についてこう続ける。

玉川「Web経由での売上は、広告やSEO対策等の集客活動によって大きく左右されますが、アプリは現状さほど関係がなく、ユーザーにとって使いやすければ自然と購入・リピートいただくことができています。年間ARPU(ユーザー1人当たりの売上金額を表す指標)で考えても、Webは500円、アプリは7,000円。その違いからも、やはりリピート購入いただくためのツールとしてはアプリが有効なのだと思います。一方で、Webは圧倒的に集客手段が豊富なので、まずはWebで当社のブランドについて知っていただく機会を作り、実際の購入はアプリでスムーズに。そんな流れを作ることができれば理想ですね。
そのためには、消費者の購買行動プロセスを意識しながらアプリを適切なタイミングで勧めるマーケティング活動が今後重要になってくるのではないかと考えています。サッカーで言えばボールを運ぶミッドフィルダーとゴールを決めるフォワードで役割が分かれるのと一緒で、集客に強いWebとリテンションしやすいアプリ、それぞれの特性に応じて役割分担するイメージです。
オムニチャネルの文脈で言えば、EC(Web)と店舗をシームレスにつなぐためのハブとしてアプリを機能させたいです。店舗への誘致など位置情報を活用しやすいアプリでシナジーを生み出していきたいですね」

綱藤「ご要望にしっかりとお応えできるよう、我々もチームとしてレベルアップを重ねていきたいです」

玉川「引き続き頼りにしていますので、よろしくお願いします」

今後はどのような成果を生み出し、変化を遂げていくのか。さらなる躍進フェーズに入った両社のパートナーシップとアプリの成長に、今後も期待したい。

※撮影時のみマスクを外しています。


<ガラパゴス流 正気のアプリ制作 実績>
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(文責:武石綾子、達橋亜希)

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