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日本人は何故過労死をするのか? N60

 日本人が過労死をすることが欧米人からは全く理解できないらしい。これは日本人が海外で働いた上で初めて何故外国人は過労死をしないかがわかるのと同様に外国人が日本の職場環境で働かない限り理解はできないだろう。過労死をしない健全な職場環境にするために海外はどのような働き方をしているから過労死がゼロなのか?について書いてみたい。ゼロと言い切れるところにまずは着目いただきたい。

 ちなみに欧米人(特にアメリカ人)はトップが恐ろしく働く。日本人は信じられないくらいの労働時間だ。成果報酬なので働けば働いた分の報酬があり、怠ければクビの世界だからだ(日本企業はトップになれば上がりで働かない人が多いようだが)。逆にボトムは定時で退社する。残業はマネージャが頭を下げてお願いするところが日本とは違うところだ。日本のマネージャはむしろ責任を問いて追い詰めている人が多いのではないだろうか?

 そんな違いがある中、日本人は海外は労働時間が短いから過労死が少ないという比較をしがちなのだが、働いた時間が長いことで死に至ったということであれば、単に労働時間を削減すれば過労死はゼロになるはずだ。まずは各国との比較を見て欲しい。

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 アメリカは日本と残業時間は同じくらいだ。だが日本のような過労死をしているという話はない。韓国はネットで検索した限りだが日本と同じような過労死をしている人がいるようである。ちなみに残業時間が多くなる理由を分析した結果は下記の表の通りだ。

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 表を見る限り人手不足が原因だと一見感じられるが、私は賃金を上げればこの問題は一瞬にして解決すると考える。人は余っているのだ。その仕事に働きたいと思うインセンティブが少ないないことの方が大きいはずである。 

 むしろ賃金を上げられない構造の方が問題である。価格を顧客に転嫁すれば賃金を上げることは容易であるはずだが顧客に値上げを要求できない負け戦の状況こそ政府は認識すべき状況と私は示唆したい。つまり供給過多の市場環境が企業間の値下げ競争になりそれが従業員へしわ寄せが寄っているのだ。 

 そして長時間労働だけで人は死なないという確信はむしろ精神的に追いやられたことが死につながっていると日本人であれば誰もが感じているのではないかと思う。下の表は精神障害に係る労災請求数の推移である。この精神的な追い込みこそ本当の過労死の原因ではないだろうか?死にそうなくらいに疲れているのであれば、普通会社休むでしょ?有給休暇もあることだしというのが欧米人の発想だ。だが休めない事情があるのだというのが日本人の心理だ。 

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 メンバーシップ型の日本の組織構造では働く全員が平等である。特に10人だったり20人のような規模感の組織ではお互いの顔がよく見える。欧米のように明確に担当分けをしない日本は個々人の成果も不明瞭になってしまうため、仕事の評価がどうしても頑張っているかどうかになってしまう。この頑張っているかどうかは夜まで遅く残って働いているかどうかになってしまうのだ。すると残業時間が必然的に伸びてしまう。また仕事が過剰にある場合は周りの目が気になってどうしても仕事を断れずに働くことになる。しかもサービス残業につながったりもする。

 このような現象は母性社会の場を共有することが根底の原因である。

 韓国の過労死が多い理由も日本と同じなのだろうか?韓国は意外と実態が知られていない隣国だが日本と似通っているかもしれない。昔韓国の会社と仕事をした際は非常に価値観や仕事の仕方の親近感を感じた。もっと韓国を知るべきだと改めて思った。   


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