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夜の街叩きをする日本人 〜 メンバーシップ型雇用の負の遺産 N115

 コロナで目立った夜の街叩きとパチンコ屋叩き。ここぞとばかりに苛立ちを社会的弱者へとぶつけている。一方で夜の街ビジネスのほとんどは三密を凝縮した感染クラスターの温床でもあるので政府は即刻営業停止にさせるべきなのにそこには踏み込まない。したがってますます「あいつらのせいだ」と責任転嫁をする人たちが現れるという負のサイクルに入っている。特にヤフーコメントを見ると悲しなって言葉を失うばかりだ。

 日本社会の難しいところはしばしば敗者復活戦がないところだと言われる。これはつとにメンバーシップ型雇用形態を取るために入口の新卒入社で失敗をすると死ぬまでその失敗がつきまとう。高校中退だったりシングルマザーだったりが夜の街やパチンコ屋で働かざる理由は勤め先が限られているからだ。そして歳を重ねるにつれてさらに選択肢は限られてくる。  

 先進国と信じている日本でこのような闇のビジネスが発展するのも日本社会の仕組みに問題があることは知っておくべきだ。もし自分が普通の生活を送ることができているのであれば彼らを踏み台にしたおかげでもあるのだ。日本の仕組みは誰かが負を引き受けないといけないのだから。  

 そういった時に税金をろくに納めていないから彼らを助けるべきでないとか、社会から必要とされていない怪しげな仕事をしている彼らの自己責任だという理屈を成り立たせるのは難しい。彼らはうまく生活している人たちの負の部分を引き受けているからだ。  

 もし日本がジョブ型であれば純粋なスキルで仕事のポジションや給与が決まるので彼らにチャンスが与えられると同時に今うまく行っている人たちが落ち込む可能性は十二分にある。  

 この日本社会の仕組みは文学をはじめ各分野から指摘がされてきたが一向に解決する見込みがない。むしろ日本が衰退するにつれて悪化しており、負を引き受ける範囲が広がっている。  

 まずは政府がこの夜の街の営業を中止させるべきだ。そして雇用を提供すべきだ。一時的な資金だけを出しても同じ問題は繰り返される。今だからこそ彼らのための仕事を創出してみてはどうか。 

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