見出し画像

核兵器を扱うのは社会科?いいえ理科の知識も必要なんですというお話し

☆ビーカーを最初に作ったのは?

理科室にあるビーカーやフラスコなどの実験器具を最初に作ったのは、いったい誰でしょうか。

もちろん昔の科学者だ、と答えたくなるかもしれませんが、残念ながらほんの300年ほど前まで、正式な科学者はこの世に存在しませんでした。

しかし、実験器具はもっと昔から使われていました。
いったい、どんな人たちが使っていたのでしょうか。

あなたはわかりますか?

答えは錬金術師であり、この人たちは金を作ろうとしていたのです。

☆錬金術の歴史

錬金術の歴史は古く、紀元前の、古代ギリシア、古代エジプト王国の時代にまでさかのぼることができます。

人間が青銅器や鉄器を使うようになると、冶金(やきん。例えば掘り出した鉄鉱石から鉄を取り出すこと)の技術を持っていくと同時に、同じようなやり方で金を作ることはできないかと、ごく自然に錬金術が生まれたのです。

つまり、銅や鉄は石から作り出せたのだから(本当は、元々あったものを取り出しただけなのですが)、金だって何かから作れないか、と考えたわけです。

17世紀まで、約2000年にわたって錬金術は栄えます。

☆錬金術はウソ…?

しかし1803年にドルドンが原子説を発表してから原子に関する研究が進み、
ついに錬金術にとどめが刺されます。

金は原子番号79、Auという記号で表される元素で、化合物でも合金でもないことが判明してしまいました。

究極の粒子であるところの原子を、他のものから作り出すことなんてできません。
原子論に立つ限り、こう結論するしかないのです。が…

☆核反応と化学反応

ところが、話はこれで終わらないのです。

20世紀になって、電子というものが発見され、しかもそれが原子を構成する粒子の1つであることが判明しました。

🐣<原子とは?>🐣
🍎ギリシャ語で「アトム」(これ以上は分割できない、の意味)
🍎…発見当時は「分割できない」と思われたが現在では原子はさらに陽子、中性子、電子からできていることがわかっています。覚えておきましょう!🍎陽子はプラスの電気、電子はマイナスの電気を帯びている。
🍎いわゆる原子番号とは、陽子の数を表しています。
🍎電子だけ、非常に質量が小さい(陽子や中性子の約1840分の1)。
🍎陽子と中性子をまとめて「原子核」と言います。

画像1

Wikibooksより引用。ヘリウム原子のボーアモデル。


では、陽子、中性子、電子を組み合わせれば任意の原子を作ることもできるのではないか、という考え方が当然出てきます。

例えば、水素(原子番号1、H)の原子2個をH2という分子にするのではなく、陽子2個と中性子2個、そのまわりに電子2個という原子、つまりヘリウム(原子番号2、He)にはできないのか。

それが、できてしまったのです。水素爆弾がそれです。
このときの反応を、原子核と原子核が融合するところから核融合といい、核反応は、燃焼などの化学反応とは比較にならないほど(約100万倍!)の大きなエネルギーが発生するのです。(ですから、水素爆弾は「核兵器」の一種です)

ちなみに原子力発電所では、ウラン原子が2つの原子に分かれる「核分裂」が起きています(起きている現象としては原子爆弾と同じです!)。核融合の逆ですね。これも核反応ですから、化学反応を利用した火力発電とは桁違いの電気エネルギーを作ることができます。

ダイナマイトや毒ガス、通常の銃などはすべて「化学反応」のレベルです。「核反応」を自在に応用できる原子爆弾などの核兵器が使われるようになって、戦争のレベルは文字通り「桁違い」に上昇してしまったのです。

☆太陽は実は燃えてはいない

実は太陽などの恒星が出している莫大なエネルギーというのは、この核融合によるエネルギーです。

太陽は誕生から今まで約46億年もの間、水素からヘリウムを合成し続けています。

よく、太陽が燃えているという言い方をしますが厳密には誤りです。酸素のない宇宙空間では「燃焼」は起きませんからね。

☆私たちはみんな「星の王子さま」?

というわけで、宇宙のスケールで考えれば、ある原子から別の原子を作り出すことは可能なのです。むしろそうやって作り出された結果、今存在しているような原子があるのです。

酸素だって炭素だって、金や銀のような重金属だって、すべてもともとは水素から作られた元素なのです。

鉄(原子番号26、Fe)よりも原子番号の大きい元素は、太陽の8倍以上の質量を持った恒星が死を迎えるときに起こす大爆発(これを「超新星爆発」と言います)のエネルギーがないと作り出せないことがわかっています。

画像2

(超新星爆発の様子。ナショナルジオグラフィックより引用。)


私たちの身体には、微量ですが重金属元素も含まれています。つまり、一度は宇宙空間で生成された元素が身体に含まれているというわけです。
私たちは誰もみな、「星の王子さま」であり、「星の王女さま」なのです。

☆錬金術、復活?

79個の陽子を融合させれば、原子番号79の「金(Au)」を作ることはできます。この意味において、錬金術は決してウソではなかったのです。

ただし現在、地球上で人間がコントロールできている核反応は、核兵器を除けば原子力発電のみです。(本当にコントロールできている(アンダーコントロール)のか、という議論は当然ありますがこの記事では深入りしません。)
残念ながら今のところは、人間の手で金を作るところまでは至っていません。

人間の科学力では、そんな莫大なエネルギーを作り出すことはまだまだ当分の間は不可能でしょう。超新星爆発と同じかそれ以上のエネルギーが必要ですからね。

☆伝記で科学史を学ぼう!

今の常識で考えれば、錬金術は科学以前の怪しげな術に過ぎない、ということになっています。

しかし、その錬金術があったからこそ、今日の科学があるということはできます。

それだけではなく、さらに科学が進んでみると、今度は再び原理的には金を作ることも可能ということになってきました。このあたりに何ともいえない歴史の不思議さ、おもしろさを感じるのは、私だけではないと思います。

教科書にはさも昔から常識だったかのように書いてある事柄も、実は最近判明したばかりだったりします。ぜひ、科学史にも興味を持って伝記など読んでみてください。学問としてもとてもおもしろいですし、偉人の生き様に触れることはとても良い刺激になりますよ。

☆おわりに 8月6日に寄せて

ビーカーの話から始まったので「8月6日にわざわざする話か?」と思った方も多かったかもしれませんね。しかしちゃんと私は考えています。原子爆弾や核兵器のお話も致しました。

むしろ、戦争や核兵器の話をより深く理解するためには自然科学の知識も必要になるということをご理解いただきたかったのです。日本には「文系・理系」を峻別する謎文化があります。しかしこれは、入試科目を減らさないと受験生が確保できないという専ら大学側の経営的事情によるものであって、何ら学問の本質に関係するものではありません。

現代人は文系・理系を問わず、自然科学はもちろん倫理学・論理学・哲学・歴史などの人文科学や、政治・経済・法律などの社会科学も含めて広く深く学ばなければ、核兵器のこともCOVID-19対策のことも理解できないのです。まして高度に適切な判断を日々要求される、政策を決定する政治家さんや総理大臣には深い見識が必要なのです。今の政権与党に深い見識はあるでしょうかね。


最後までお読みいただき真にありがとうございました🙇‍♀️今後もがんばりますので励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。

核兵器禁止条約が発効して初めて迎える今日8月6日という日を、二度と戦争をしないために広く深く学ぶための契機にしましょう。広島ではこのあと8時から平和式典、8時15分から1分間の黙禱がありますのでよければ皆さまもご一緒にお願いします。またねー!💕



🌹サークル【n大政治部】始動、そしてnote初の政治イベント【投票倍増委員会】開催!もっと政治を楽しく気楽に身近に語ろう!✨


🌸🍃この記事の執筆者、Study Partnerは、コペル&アヤでした🐣

🍎チア部×Study部『チアフルな夏期講習』開催中!


画像3

No more Hiroshimas. Study more!

画像4


#note           #自己紹介           #アヤ先生           #フォロバ100           #フォローしてみて   #投票倍増委員会

この記事が参加している募集

自己紹介

あなたのスキ・コメント・サポート&おススメが励みになっています!本当にありがとうございます🙇‍♀️いただいたサポートは 🍎noteを書くための書籍購入、資格検定の受験料 🍰アヤ先生の胃袋へスイーツ補給 に主に遣わせていただきます😋私と一緒にハートフル社会を築きましょう💕