見出し画像

【アドラー心理学】子育て原則#6~子育てにおける脅しの罠~

はじめに
 
アドラー派の理論では、親の態度が子どもに大きな影響を与えるとして、下記のように子育ての6つの原則が示されています。

 ①子どもの個性を伸ばせるように関わる
 ②子どもの話をよく聴く
 ③子どもと共有する時間を有意義に使う
 ④適切な助言をする
 ⑤一貫した態度を取る
 ⑥脅さない

 これらの子育て原則を、ひとつずつ解説していきます。
今回は、⑥脅さない についてお話します。

 子育ては喜びに満ちた素晴らしい経験ですが、時には課題や問題に直面することもあります。特に、子どもが言うことを聞かないと「大声で怒る」「批判する」「褒美で釣る」などの脅しに頼ってしまうことがあるかもしれません。しかし、そのような行動は短期的には効果があるように見えるかもしれませんが、長期的な親子関係や子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。


1.脅しの罠

 例えば、親が「静かにしないとテレビを見せないよ」と言った場合、子どもはその次からは静かになる代わりに、テレビを要求することがあります。このような状況では、子どもは親の言動パターンを読み取り、自分の欲求を満たすために親の「脅し」を使うことを学んでしまいます。
 さらに、このような脅しの繰り返しは、子どもが他者との関係でも同じような操作法を取る可能性があります。このような行動は、子どもの将来の社会的な関係に悪影響を及ぼす可能性があります。彼らが協力し、他者との対話や妥協を通じて問題を解決するスキルを身につけることが重要です。

2.親子の対話が問題解決の鍵

 子どもが言うことを聞かないとき、親が取るべき行動はコミュニケーションを通じた対話です。例えば、子どもが宿題をやる気がないとき、親が「宿題をしないとおやつ抜きだよ」と脅すのではなく、子どもの立場や気持ちを理解しようと努めます。親は子どもに対して、「宿題がつらいんだろうね。どうして宿題をやりたくないのか、話してみる?」と声をかけることができます。子どもが自分の気持ちや悩みを話す機会を与えることで、親子間の信頼関係が深まります。
 そして、親が子どもと共に問題解決に取り組むことも重要です。例えば、子どもが宿題がつらいと感じる理由が分かったら、親は一緒に解決策を考えます。「宿題が大変なら、どうしたら楽になるかな?一緒にやる?それとも少しずつ進める?」といった具体的な提案を通じて、親子で協力し合いながら問題を解決するプロセスを体験することが大切です。
 このような対話と共同作業を通じて、親子間のコミュニケーションが促進され、お互いが納得できる解決策が見つかるでしょう。そして、子どもは自分の意見や気持ちを尊重されることで、より良いコミュニケーションスキルを身につけ、将来の社会的な関係にも良い影響を与えることができます。

3.子どもの自立を促す親子の共同作業

 親が、問題を抱える子どもに対して「どうすればできるようになるかな?」と問いかけると、子どもは自ら解決策を考える刺激を受けます。例えば、子どもが友達との争いに巻き込まれた場合、親がただ解決策を提案するのではなく、「どうしたら友達との問題が解決できると思う?」と尋ねることができます。子どもは自分の考えを整理し、問題に対する見方やアプローチを模索することができます。

 同時に、親も子どもの意見や要望を尊重し、共同で問題解決に取り組む姿勢が重要です。例えば、子どもが友達との争いを解決するために、「○○の部分はママに手伝ってほしい」などのような子どもの提案を親が聞き入れ、一緒に実行することで、子どもは自分の力で問題を解決できることを実感します。

 親子が協力して問題解決に取り組むことで、子どもは自己効力感を高め、将来の困難な状況にも積極的に対処する自信を養うことができます。そして、親子の信頼関係が深まり、より良いコミュニケーションと協力関係が築かれるでしょう。

最後に
 子育ては一筋縄ではいかないものですが、親と子どもがお互いを尊重し、コミュニケーションを大切にすることで、健全な親子関係を築くことができます。脅しに頼るのではなく、お互いが協力し合い、成長するための環境を整えていきましょう。

 他の5つの子育て原則も参考にして下さい。

  ①子どもの個性を伸ばせるように関わる
  ②子どもの話をよく聴く
  ③子どもと共有する時間を有意義に使う
  ④適切な助言をする
  ⑤一貫した態度を取る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?