エッセイ : 物語はここから始まるのだ 鉄腕アトムが嫌いだった手塚治虫さん & イタリアのテレビ番組で見たヤッターマン

僕は子どもの頃から本が大好きで読み続けているが
漫画の本も大好きで読み続けている。

尾田栄一郎さんのワンピース等の今の漫画も読んでいるが、昔からの名作漫画も今もよく読んでいる。
僕が今でも読み続けている漫画家の方は
唯一無二の世界観を作り上げ、宮崎駿監督や小説家の筒井康隆さんにも絶賛された諸星大二郎さん
SF漫画の巨匠と言われている星野之宣さん
宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999の松本零士さん
アキラ、童夢でお馴染みの大友克洋さん
さいとう·たかをさんのゴルゴ13
そしてもう一人、物語はここから始まるのだ。
の名言を残した手塚治虫さんだ。

僕は手塚治虫さんの漫画を読みアニメを見て育った 
ジャングル大帝というテレビアニメを毎回欠かさず見ていて、ペットの犬の名前をレオにした。
ジャングル大帝の次に放映された鉄腕アトムも欠かさず見ていた。
一方で手塚治虫さんは少女向けに、リボンの騎士、ふしぎなメルモも発表した。

その後、手塚治虫さんは、ブラックジャック、
三つ目がとおる等、たくさんのヒット作を発表していく。そして、平行して、火の鳥をライフワークとして発表し続けていく。
アドルフに告ぐ、旧約聖書物語等を発表した後、
60年という短い生涯を終える。

手塚治虫さんは、雑誌のインタビューで、
鉄腕アトムが嫌いだと仰っていた。
理由は、アトムは善の心しか持っていないから。
善と悪の両方を持っていて完全だとも仰っていた。
確かに、アトム以外の手塚治虫さんが描くアニメのキャラは皆、善と悪の両方の心を持っている。

僕は手塚治虫さんの1番の名作は、火の鳥だと思っている。
火の鳥の最終話に近いストーリーだったと思うが
火の鳥の生き血を飲むと永遠の命が得られると言われていた。だが、火の鳥は燃えさかる炎の鳥。
近づくと焼け死んでしまうし、弓を射っても炎で矢が焼けてしまう。
ひとりの青年が鉄の矢を作り、火の鳥を弓で射って殺し生き血を飲み、永遠の命を手に入れる。
永遠の命を手に入れたということは、死ぬことが出来なくなってしまった、ということだった。
100歳になっても200歳になっても、その青年は死ななかった。病気になっても大怪我をしても死ななかった。
やがて年月に肉体が耐えられなくなり、肉体は滅び意識だけになってしまう。
やがて、意識だけになったその青年は、高度な文明に栄える人類を見、そして、人類が滅亡していく姿を見る。
そして、荒れ果てた地球を見つめながら、再び、
人類が現れるのを何万年も待ち続ける。
やがて現れた新しい人類を、意識だけになったその青年は優しく見守り続ける。
そして、自分という存在は神かもしれないと思うようになる。
こんなストーリーを描けるのは手塚治虫さんだけかもしれないと思う。


日本のアニメは今や世界中で有名だが、1980年代後半には、欧州で既に日本のテレビアニメは人気があった。
フランス支社に出張に行った時、フランス人の課長から、フランスの男の子たちの1番の楽しみは、
毎週日曜日にテレビ放映されている日本のアニメ
マジンガーZを見ることだと教えてもらった。
奥さんと新婚旅行でスペインに行った時、ホテルの部屋でテレビをつけると、日本の少女向けアニメ
エースをねらえ! をやっていた。スペイン語を喋る
お蝶夫人というのも乙なものだと思った。
出張でミラノに行った時、夜、イタリア人の担当者の人とイタリア風居酒屋のレストランで夕食を食べた。途中からお店のお客様は皆、お店のテレビを見始め大笑いし始めた。僕も見てみると、そのテレビに写っていたのは、日本でも人気のテレビアニメ、
ヤッターマンだった。
僕は、イタリアの人たちが日本のテレビアニメを見て大笑いしているのを見て嬉しくなって来た。
イタリア支社の担当者の人は、ヤッターマンはイタリアで大人から子どもまで大人気で特にドロンジョが大人気だと教えてくれた。

誰にも大切な漫画の本ってあると思う。
僕は本棚に小説と一緒に大切な漫画の本を並べている。今日、これから、久しぶりに星野之宣さんの
名作 2001夜物語を読もうと思っている。
そして、2001夜物語の横には、奥さんが大切にしているガラスの仮面が並んでいる。






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