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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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2023年11月の記事一覧

小説:無口な鳥について

小説:無口な鳥について

カンガルーの足音にビッケを味付けし、ミシガン州の鳴き声で唐揚げをする。同時並行世界の金剛力士像はいつもはにかんでいて、バロック様式の音階を駆け上がるのだ。パンナコッタに糸魚川を振りかけて向こう見ずな娼婦がオッペンハイマーの帽子を盗む。その時あんまんの生地が断末魔の叫び声を上げる。ダムが決壊するときにはいつも嘘つきなお偉いさんがふんぞりかえるビジョンが見え隠れするんだ。まったくルーロー飯的な行為であ

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小説:努力の4領域

小説:努力の4領域

 彼は劇場を出た。西陽が目に染みる。帰宅し文机に向かう。日課の雑記をしたためる。

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「努力」には4つの領域がある、と「あの人」は言っていた。それは以下の通りだ。

観察

インタビュー

実行

思考

 観察とは何か? 自身が他者や他の事物を見ること。何が行われているのか? 何がどうなっているのか? それをまず見ること。あるいは受け取ること。知覚すること。受信すること。

 インタビュー

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小説:パントマイム

小説:パントマイム

 弾む手まりを過去に投げて、飛ばす柱は決定的なサイドを駆け上がる。バッシュの鋭角にそら豆をくくりつけた若者達は解放される。ビーンズ仕込みの天空犬は猟銃風味で予備校に通う。剛速球の量子は、落花生スタイルを見せつけ、パントマイムのクリスタルを施す。ピーナッツ分析に生クリームを塗布して、紫外線に晒す。柔軟な金属にアタッチメントしてパーティーソングに突き刺され、土地のかんむりに真空していく。手ほどきはムラ

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小説:夢の始発駅

小説:夢の始発駅

 太陽とは夢の始発駅である。
 自分自身の細胞一つひとつを描写する。日光は照らす。つむじからつま先まで。逆商学者の残り香。
 誰も照らさなかった箇所に光を当てる。超越した存在が誇示する。
 超越者の視点が「ある」と仮定することは「自分自身のことを彼が見ている」という自己認識を産み出す。この認識は自分に内在しつつも外的である。猫の横断。
 これがメタ認知的に作用し、その結果、自分を客観視することにつ

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小説:がらんどうの球体に

小説:がらんどうの球体に

 後ろから声が聞こえる。
 がらんどうの球体にメロンメロン病の特効薬を塗して、バンクーバーで仕上げる。ミートボールのアレンジメントが6万回再生され、バリアーはやがてオブラートになる。企みをたたえたフードの少女は地底湖に落ちたサンダルを拾う。波の角度を計測して八宝菜作りに活かす。そうだ、春雨なら分かるのではないか。緑色の現象は空間との相互作用に妥協しプリミティブな怪我をすることになる。少女は変拍子で

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小説:選択された宇宙

小説:選択された宇宙

 そこまでのヴィジョンは急に停止した。私はアイスコーヒーにストローをさし、そして、一口だけ飲む。私たちには選択肢がいくつか用意されていた。
 オレンジジュースだっていい。ソーダ、紅茶、カフェ・オ・レ、ココア。数ある中でなぜコーヒーなのか。コーヒーという権威めいた、鳴らない足音。
 選択肢。もちろん君を「選択」したのは確か。いや選択するのは常に君のほうかもしれないが。
 アルバイト店員同士の喋り声が

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小説:ペンペン草と摩天楼

小説:ペンペン草と摩天楼

 実行力をつけた、元少年はガントチャートとにらめっこしてプリン体にかじりつく。
 典型的なポジショントークに身を委ねて、アルコール度数2000%に葛藤するのだ。緊急地震速報の響きにダンスして、魑魅魍魎が跋扈する。ウガンダの記憶。道しるべの旋律。広開土王の涙。それから数枚の銀貨。そうしてペンペン草をアビリティモードにしてブレッドを頂く。クツワムシと並走しながら。
 誕生日砂漠でハイヒールを履く。余程

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小説:本の帯

小説:本の帯

 都内最大級の大型書店にやってきた。目当てはまだ見ぬ名作漫画を探し当てること。誰にも見つかっていないような、いわばネクストブレイク作品を自分の力で見極めたい。ウェブ検索ではなく、紙の書籍そのものに触れつつ。
 各本を手に取り、その帯の広告に目を通していく。

密猟で生計を立てる謙太は、「撃ってはいけない」とされるメスのニジウサギを撃ち殺してしまう。ニジウサギの魂に導かれた別世界(アナザァ)で、彼が

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小説:いつもとは違う道

小説:いつもとは違う道

 いつもとは違う道を選ぶと、そこには見慣れない喫茶店があった。私は、いつものようにアイスコーヒーを注文した。席には銀色の装飾が施されており、幾重にも重なったひらめきが散りばめられていた。コーヒーを待つ間考えるのは、近海マグロのこと。柊のセリフにピーピングした、メレンゲの塊は、ハインリッヒの法則で一瞬にして消し飛んでしまう。涙が枯れたらフビライの赦しを得られるのだろうか。バーバリアンの言語を直訳した

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小説:生姜焼き定食と死

小説:生姜焼き定食と死

今でも思い出す。前職時代の記憶。やはり軍役だったとさえ形容できる。誰かを殺さないと、自分が殺されるという構造。相場や値動きという経済的価値の変動で人は死ぬ。いとも簡単に。比喩的にも、そして、物理的にも死に至る。そういう世界。

書くことは生理であり代謝だから、止めたら思考が壊死する。

生姜焼き定食と死

「生きていることこそがバグ」(他者曰く):生きていること自体が奇跡なのかもな。生命体として意

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小説:手をポケットから出す

小説:手をポケットから出す

企画という仮想空間にいろいろな網や砦、罠、トラップ、を創る。

サイエンスだって本質はフィクションでしかない。いわゆる理論も客観的に確認されてはいるにせよ、作り話でしかない。ここから科学哲学につながる。

(    )で記述を追記することがある。その中身は前項の補足だったり、具体化だったりする。そこに書いたものこそが、自分の本当に言いたいことだったりもする。

手をポケットから出すという行為。出さ

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小説:トローチのように

小説:トローチのように

トローチ。自らを溶解させることにより、人の苦しみを癒すもの。そういう人間でありたいものだ。

雑記? いやこれは祈りであり、誓いに近いものだ。祈りを通じて、自分を一度通過する。誓うことでまず自分が第一の証人になる。

『商売ほど面白いギャンブルは無いっていうからな』と上野の定食屋にて耳にする。その通りかも。仕事ほど面白い博打はない、のかもしれない。

他者≒無限。それに共感する。他者は複数である。

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