小説:努力の4領域
彼は劇場を出た。西陽が目に染みる。帰宅し文机に向かう。日課の雑記をしたためる。
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「努力」には4つの領域がある、と「あの人」は言っていた。それは以下の通りだ。
観察
インタビュー
実行
思考
観察とは何か? 自身が他者や他の事物を見ること。何が行われているのか? 何がどうなっているのか? それをまず見ること。あるいは受け取ること。知覚すること。受信すること。
インタビューとは何か? その他者に直接聞くこと。何か自身の琴線に触れたのなら、それの作り手、送り手に教えを請うことだ。
実行とは何か? その思いを具体化すべく現実的に行為すること。平たく言えば「やってみること」だ。
思考とは何か? その「実行」により、色々な結果や成果物が立ち現れることになる。それを巡って思案すること。思い通りにはならないかもしれない。そのケースが大半だろう。
しかし、思いの5%は達成できたのかもしれない。あるいは50%の達成度だったかもしれない。ではその不足をどのように満たしていけばよいのか。
単に反省するのとも違う。悲観するわけでもない。楽観でもない。
次にどうするか、その具体的あるいは抽象的なステップを見出すことである。
その意味で思考は、その他全てに作用し連関する。思考は実行と対立せず、むしろそれと融合することになる。
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「あの人」はきっとこういうことを言っていたのだろう。自分は4領域にどれだけ力を注げているのだろうか? どれほどの強度で、どれほどの覚悟で?
特に2.なんてやったことがあるだろうか? そうだ「あの人」にインタビューをしよう。
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彼は筆を置いて、白猫のミシェルにミルクを飲ませた。
いつもどうもありがとうございます。