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小説:夢の始発駅

 太陽とは夢の始発駅である。
 自分自身の細胞一つひとつを描写する。日光は照らす。つむじからつま先まで。逆商学者の残り香。
 誰も照らさなかった箇所に光を当てる。超越した存在が誇示する。
 超越者の視点が「ある」と仮定することは「自分自身のことを彼が見ている」という自己認識を産み出す。この認識は自分に内在しつつも外的である。猫の横断。
 これがメタ認知的に作用し、その結果、自分を客観視することにつながる。宗教を持つ民族はそうやって、無意識的前提的にメタ的な思考を獲得する。6万円を3万円と見なす。猫の横断。
 悲劇を喜劇として演ずる。あるいは喜劇を悲劇として演ずる。そこに笑いが生じる。
 本当のことを書くと消しゴムのお化けが来てゴシゴシと消すんだよ。それらは幻である。あるのは認識。常に既に事実は幻を包含する。
 速く走るには脚を素速く動かさねばならない。そのためには脚を動かす股関節の筋肉が重要らしい。その筋肉を動かすには体幹の強さが求められる。
つまり何かをするにはその一つ上の階層が必要になる。そしてそれを司る更に高次の何か、そしてそれの …… かくして無限を呈する。
 笑いとは、正論の中の矛盾、あるいは矛盾の中の正論のことである。敷衍すれば、この世そのものが笑いの印画紙となる。春夏秋冬賞レース。
 限界は制限のポリープである。理性なる刃物で切除しきれないのが常である。
 もしあなたが失敗をお望みなら、全ての人を喜ばせなさい。革靴を磨きつつ、それ以外も磨きなさい。
 我々は眠らない。眠るのは夜のほうだけさ。逆商学者の残り香。

 そう書き綴って、彼は飲み物を空にした。

いつもどうもありがとうございます。