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小説:無口な鳥について

カンガルーの足音にビッケを味付けし、ミシガン州の鳴き声で唐揚げをする。同時並行世界の金剛力士像はいつもはにかんでいて、バロック様式の音階を駆け上がるのだ。パンナコッタに糸魚川を振りかけて向こう見ずな娼婦がオッペンハイマーの帽子を盗む。その時あんまんの生地が断末魔の叫び声を上げる。ダムが決壊するときにはいつも嘘つきなお偉いさんがふんぞりかえるビジョンが見え隠れするんだ。まったくルーロー飯的な行為である。戦隊ヒーローはいつの間にかアグニの炎に焼かれると同時に半導体を握りしめている。パンで叩かれた幼いアイドルは毒親に育てられて解毒剤そのものになるんだ。カッテージチーズのような優しさで添い遂げる。うなじにかかったベヒーモス。うなだれた産業競争力。旅から戻らないドラゴンの赤ちゃん。打ち捨てられ波打ち際に漂う伝説。丸太にこびりつく菌類の営み。
鍋の縁に撮られた猪の残影が煌めく。時に桟橋は通底する金切り声に聞き惚れて、蛮族の斧がそれを切り裂くのだ。いよいよペテン師が裏切りの表情を見せ、なめくじの歩みに並走するように古代思想が立ち上がってくるんだ。
軍艦鳥が鳴く。その時水中ではいささか都合の悪いスーツアクターを陽動し、別の意味での破門を予見していた。ただ幻想がうなずく限りにおいて。そして、削ぎ落とした諦念を自らの発言の足跡の下敷きにしてみる。
笑い声はいつも残響過多。炭鉱で働くミミズは確かな脚力で未来に向かう。そうさ陣形を崩してはいけない。いけないよ。メフィラス星人に諭されたらおしまいさ。
誕生日が4回来たならば42世期はあばら骨で撲殺されるであろう。預言書に挟まったブルーのチケット。楽しかった運動会の後の情景。スルメに巻き付いた足利尊氏の尊厳。だましだましのアルタイル。
それからというもの少年は一際大きく凛々しい雑草を飼育する。親の意見も聞き入れることなく。
10円は60円と同義だからキッチンペーパーでしっかり拭き取るんだ。
いいか、分かったか?

そう書きつけて、彼は眠りに就いた。

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